【バイタルエリアの仕事人】vol.57 デニス・ヒュメット|サッカーはひとつの“言語”。日本への慣れと兄の存在が結果に繋がっている

スキルと能力を最大限に表現する場所

相手の嫌な存在であり続けること

今季、ここまでリーグ戦で7得点(35節終了時点)を記録するなど、異国・日本での挑戦1年目でさっそく本領を発揮している。

Jリーグのスタイルを身体で理解し、チームメイトとの連係も深まったことでプレーが結果に直結し始めた。相手にとって常に“嫌な存在”でいることを意識し、G大阪の攻撃に新たな風を吹き込んでいるストライカーの活躍には、陰で支える兄の存在があった。

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最近、コンディションが上がってきて結果に繋がっている理由は、やはり日本でのプレーに慣れてきたことが大きいと思います。違う大陸でのサッカーは初めての挑戦で、最初の数か月はJリーグのサッカーを知るための期間でした。

夏頃から、チームメイトが私の動き方やプレースタイルを理解してくれるようになり、私もチームメイトのプレーが分かってきました。その相互理解が深まったことで、ようやく自分のプレーを形にできるようになり、パフォーマンスに繋がっていると感じています。

Jリーグには守備ブロックを固めてくる相手も多いですが、そういう相手を崩すために心がけているのは、とにかく動き続けて「相手にとって嫌な存在」であり続けること。これは以前にも話したことがありますが、常に意識しています。

たとえ裏への走り出しにボールが出てこなくても、冷静さを保ち、その動きによって味方のためのスペースを作る。そういうマインドセットでプレーしています。

相手選手の分析については、実はスウェーデンにいる兄がとても詳しいんです。彼が相手チームの試合を分析してくれて、「この選手はこう動く」といった情報を共有してくれます。柏レイソル、鹿島アントラーズ、京都サンガF.C.など、対戦相手に応じて、自分がどうプレーすべきか話し合っています。

兄はキャリアを通じての良き相談相手で、彼の助言がなければ、今の僕はなかったかもしれない。それくらい大きな存在です。時には厳しい意見も言ってくれますが、公平な立場で僕をサポートしてくれています。

参考にしている3人のストライカー

ヒュメットは、ゴール前での駆け引きに独自の美学を持つ。裏への抜け出しと、味方との巧みなコンビネーションを自在に使い分ける姿勢が、プレーを際立たせている。言葉の壁も感じることなく、ボールを通して意思を伝える彼にとって、サッカーは共通の「言語」だという。

母国スウェーデンの英雄イブラヒモビッチを参考とする29歳は、技巧と創造性を備えた“現代型ストライカー”への進化を目ざしている。

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ゴール前では、常に良いタイミングで裏へ抜け出すことを心がけています。もしスペースがなければ、少し下がってボールを受け、コンビネーションプレーに切り替える。仲間との巧みなコンビネーションから生まれたゴールは、やはり格別で、サッカーの楽しさを感じられる瞬間です。

試合中の日本人選手とのコミュニケーションですが、特に大きな問題は感じていません。もちろん、とっさの場面で言葉が通じないこともありますが、僕にとってサッカーというスポーツ自体がひとつの「言語」だと思っています。ボールを通じてコミュニケーションは取れますし、練習を通じてお互いの感覚は研ぎ澄まされてきていると感じます。ですから、ストレスは感じていません。

バイタルエリアでのプレーで参考にしている選手がいます。アイドルというわけではありませんが、見ていて「こういうプレーがしたい」と思えるのは、カリム・ベンゼマロベルト・フィルミーノ、そして私の母国の英雄であるズラタン・イブラヒモビッチです。

彼らは単なるストライカーではなく、ボールを巧みに扱い、高い技術を持っている。私もそういった選手になりたいですし、技術的にボールを扱うプレーが好きなので、彼らのプレーはとても参考になりますね。 ※後編に続く。次回は10月31日に公開予定です。

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