【G大阪】U19アジア選手権MVPの堂安律が語る18歳の夢&プライベート

■U19アジア制覇貢献「ふがいない」MVP

 10月のU―19アジア選手権(バーレーン)で日本の初優勝に貢献し、大会最優秀選手(MVP)に輝いたG大阪MF堂安律(どうあん・りつ、18)。2020年東京五輪世代の中心選手として、来年5月に韓国で行われるU―20W杯での活躍も期待される。次世代の日本サッカー界を背負う18歳は、高校3年生らしい素顔のまま、将来の夢やプライベートについて語った。
「U―19日本代表として、アジア王者という結果が出せたことは満足しているし、目標を達成できたのはよかったです。でも、個人的にはふがいない結果だったので、満足してない。悔しい思いのほうが強いですね」
U―19アジア選手権では、日本が7度目の進出となった決勝でサウジアラビアとのPK戦を制し、中田英寿、遠藤保仁(G大阪)らも果たせなかった快挙を初めて達成した。チームの中心選手として活躍した堂安は大会MVPにも選ばれたが、本人は、決勝までの5試合で1得点1アシストという結果に納得がいっていない様子だった。
「この大会は毎試合、1ゴールか1アシストは最低するつもりでした。だから5試合で1ゴール1アシストは少なすぎた。MVPはうれしかったんですけど…。最初は、なんでオレなんやろって感情が出てきました。でも、日本に帰ってきて、一生に1回しかない大会でMVPをもらえたので、今ではよかったなと思ってます」

■「律」という名前の由来は

 15年、高校2年でG大阪ユースからトップチームに昇格。同年、宇佐美貴史(現ドイツ1部アウクスブルク)の記録を塗り替える16歳11か月18日のクラブ史上最年少でリーグ戦デビューを飾った。左利きでドリブル、パス、シュートとすべてを高いレベルでこなし、当たり負けをしないフィジカルの強さも持つ高校生Jリーガーは、今では次世代の日本を背負う注目の選手となった。やや珍しい名前には、両親の意外な思いが託されているという。
「『律』という名前には、規律正しい人になってほしいという意味があるそうです。小学校の時に、親に名前の由来を聞いてこようっていう授業があって聞いたんですけど、(規律正しく)なれているかどうか…。インパクトのある名前で、1回聞いたら忘れない名前だと思うので、似合っているかな」
天真らんまんな明るい性格で、G大阪では先輩たちからかわいがられ、チームに溶け込んでいる。高2から通信制の学校に転入し、サッカーに専念する環境で過ごしてきたが、“普通”の高校生活にあこがれる部分もあったという。
「もう単位は全部取れたので、あとは(来年)3月の卒業式を待つだけです。2年生までいたユースの寮で、みんなに高校の話をいろいろ聞いてきたので、うらやましかったですよ。中学の時から運動会は一回も行ったことがないし、(全日制の高校に通っていた)高1の時も代表の活動で参加できなかったし、うらやましいです。でも、みんなには『おまえのほうがうらやましいよ』と言ってもらって。だからもちろん、高校生活は楽しみたかったけど、サッカーで頑張ろうと考え方は変わりました。ただ、文化祭には一回くらい行きたかったです」
同年代より一足早くプロの世界に飛び込み、厳しい競争にさらされている。現在はトップチームの若手が入る寮で生活しているが、サッカーから離れる時間は、実家に帰って家族と過ごすことが多いという。
「今の趣味は実家の犬と遊ぶことです。よく帰ってます。親と、めっちゃ仲がいいんですよ。反抗期は全くなかったんです。兄が2人の3兄弟なんですけど、家族みんな仲良くて、みんながそろったら、よくカラオケに行くんです。両親と3人の時も僕から誘って行きますよ。中学の時、友達にその話をしたら『キモッ』って言われましたけど。全く気にしていません」
家族の話ではあどけない表情も見せるが、G大阪では激しいレギュラー争いに身を投じている。今季、リーグ戦は出場わずか3試合。8月13日の磐田戦でプロ初アシストをマークしたが、無得点に終わった。さらなる成長を目指す堂安の目標の選手は、バルセロナに所属する同じ左利きの世界的スーパースターだという。
「J1で活躍することが今の一番の思い。(G大阪で)監督に使いたいと思われるプレーをすることが今、目指していることです。目標の選手は(アルゼンチン代表の)メッシ。点も取れてアシストもできる。すごいっすよね。メッシの映像はめちゃくちゃ見てます。メッシがドリブルからすごいパスを出す時、映像で見ているのに(パスを出すところが)分からなかった時が悔しいです」

■プロで生き抜くため「年齢は…関係ない」

 まだ18歳だが、厳しい競争社会で生きるからこそ、高校生離れした覚悟を胸の内に秘めている。

「プロになって、本当に年齢は関係ないと思うようになりました。それまでは年下だから仕方ないっていう言い訳を、どこかでしていたと思います。でも、今は違います。プロは誰も同じポジションのヤツに簡単にパスは出さない。その中で要求しながら、どうやってパスをもらっていくか。考え方は変わりました」

来年5月には韓国でU―20W杯が控える。各国から同じ東京五輪世代が出場する大会に向け、気持ちはすでに高ぶっている。

「アジア制覇をして、期待してもらっている感覚はある。U―20W杯で戦う相手が、東京五輪の相手になるということは意識しています。さらにヨーロッパや南米の選手たちは、ここから高いレベルの中でさらに伸びていくというのは想像してます。だから、僕ももっと伸びていかないと。U―20W杯ではアジア王者として世界一を目指したいです。将来はスペインかイングランドでプレーしたい。一番強いところを倒すようなチームでプレーしたい。でも、その前に、G大阪でレギュラーになりたい。そうしないと、世界も見えてこないので」

無限の可能性を秘めたまなざしは、4年後の東京五輪、そして、世界の大舞台へと向けられている。

リンク元

Share Button