【G大阪】宇佐美移籍でチームに復調の兆し!? 好調を支えるキーワードは「シンプル」

宇佐美の移籍を受けて、「逆にみんながシンプルにやって、それがハマっている」(米倉)。

 今夏、エースの宇佐美貴史がドイツのアウクスブルクへ完全移籍し、戦力ダウンが囁かれた。宇佐美の移籍を見据え、昨オフにアデミウソンや藤本淳吾らを獲得していたとはいえ、第2ステージの苦戦が予想された。

ところが蓋を開ければ、1節のアウェー鹿島戦に3-1で勝利すると、2節のホーム仙台戦も3-1と連勝。流れるような攻撃を仕掛ける場面もあり、エースの離脱をまったく感じさせないパフォーマンスを披露したのだ。

宇佐美の抜けた左サイドハーフには、豊富な運動量や攻守の切り替えに定評のある大森晃太郎が入り、ここ2試合はチームに安定感をもたらしている。果たして、チーム内でどんな変化が起きたのか。

仙台戦後、番記者に「ボールをキープする宇佐美がいなくなり、SBの上がるタイミングが難しいのでは?」と問われた右SBの米倉恒貴は、こう証言している。

「逆にみんながシンプルにやろうとして、そんなに無理のないプレーをしている。(宇佐美が)いないならいないなりにやるしかないし、また新しいやり方でやっていくしかない。それが今はハマっていて、みんなで連動できている」

トップ下でフル稼働中の遠藤保仁も、手応えを感じているひとりだ。

「ある程度はボールを回せたし、リズム良くボックスの近くまで行けた。全員が連動できれば、今日のような流れる攻撃が増えていくと思う。シュートの一個前のパスの精度が悪かったりしたので、そこさえクリアできれば、流れのなかからもっとチャンスは生まれる」

右サイドハーフの阿部浩之、左サイドハーフの大森を起点に、現在のG大阪は“シンプルなサッカー”へのシフトを図っている。もっとも、サイドのふたりは 三冠を達成した14シーズンの主軸であり、もともとコンビネーションに不安がなかったのも大きい。鹿島戦と仙台戦の連勝は、チーム全体で「シンプルなプ レー」を心掛けた結果と言える。

今後の課題は、「上手くボールを収めてくれる」(遠藤)というアデミウソンの活用法。

「シンプル」をキーワードに、歯車が上手く回り始めたとはいえ、まだ課題も山積している。そのひとつが、CFアデミウソンの活用法だ。相手の厳しいマークに晒され、強みである足もとの技術を十分に発揮し切れていない感もある。

ボランチの倉田秋は、「アデには厳しいボールしか入れられない状況が続いている」と現状を分析。さらに、今後の課題について「アイツも相当頑張ってくれ ている。身体を張るタイプじゃないし、前を向かせて自由にやらせたら良いプレーをするので、後ろから良い形でパスを供給したい」とイメージを膨らませる。

アデミウソンと絡む機会の多い遠藤は「上手くボールを収めてくれるし、シンプルにプレーすることもできる」と信頼を寄せつつ、連係の向上に期待を寄せた。

「周りとのコンビネーションだったり、信頼関係だったりも徐々に良くなっていると思う。できる限りサポートしていきたい」

戦力的見地に立てば、宇佐美の移籍によるダメージは決して小さくない。しかし、その危機がむしろチームの意思統一を促し、迷いが吹っ切れた印象すら受ける。今後は、いかにアデミウソンを活かすか。そこを解消できれば、ステージ優勝にも手が届くはずだ。

リンク元

Share Button