【G大阪】ニュータイプのボランチ・倉田秋。近い将来、長谷部誠の後釜にもなり得る

ボランチ倉田が「そこは自信を持ってやっている」と語るのは――。

 いまや「ボランチ・倉田」は、G大阪にとって欠かせないピースになりつつある。

以前も倉田のボランチ起用は時折あったものの、第1ステージ13節の広島戦でボランチとして初先発。今野と2ボランチを形成し、機を見た上がりで相手エリアまで駆け上がりゴールを叩き込んだ。

以降は2列目からボランチへ活躍の場を移し、同ステージ最終戦から第2ステージ2節まで3試合連続先発。2試合連続3ゴールの連勝に貢献しており、その存在感は試合を重ねるごとに増している。

近年は2列目を主戦場としていただけに、足もとの技術は一級品。さらにハードワークも光り、現代ボランチに必要な要素を兼ね備える。そして、倉田の真骨頂がドリブルだ。その武器を引っ提げて、新たなボランチ像を築きつつある。

本人が「そこは自信を持ってやっている」と語るのも、ドリブルでの局面打開だ。ボールを相手に晒し、取りに来た瞬間、ギアを一気に入れ替えて抜き去る。マークをひとり剥がした瞬間、中盤は数的優位となり、崩しやすい状況が生まれるのだ。

「自分のところで相手をひとり剥がせば、前に相当スペースがある状態でプレーできる。ボールを取られる時もありますけど、それは自分の役割だと思っている」

また、長い距離を駆け上がる脚力も魅力のひとつ。前述の広島戦では50メートル以上を一気に走り抜き、ゴールを叩き込んだ。豊富な運動量と足もとの技術はすでに代表クラスの水準。“ドリブル打開型のボランチ”という、ニュージャンルを作りそうな勢いだ。

日本代表で不動のボランチに君臨する長谷部誠は32歳。2年後の18年ロシア・ワールドカップを見据えると、年齢的に衰えが見えても不思議はない。一方、倉田は27歳の働き盛りで、今後の伸びしろも期待できる。成長次第では、長谷部の後釜にもなり得る逸材だ。

もっとも、本人は「まだまだ足りないものが多い」と口にする。自身の課題として守備、パスの質、ゲームコントロールを挙げ、それぞれのテーマについて語り出した。

お手本はチームメイトの遠藤。「もうちょっと試合をコントロールできるようになりたい」

 もともと倉田は攻撃を得意とし、守備は課題のひとつだった。ボランチの守備ともなれば、なおさらだ。プロ入り当初こそボランチでプレーしていたが、その後は長らく遠ざかっていただけに、「守備の部分が、身体にしみ込んできたかなという段階」と語る。

守備意識が高まるなか、徐々に次の段階に移行しつつある。得意とする攻撃面だ。

「もっと決定的なパスを出したい。今までは、まず守備のことを考えて頭がいっぱいだった。でも徐々に慣れてきて、攻撃面でどうするべきか考えられるようになってきた」

さらにお手本としているのが、日本代表最多出場を誇る稀代のボランチ・遠藤保仁だ。今季の遠藤はトップ下での出場が増えているが、長年チームメイトとして組んできた存在だけに、倉田の脳裏にそのプレーイメージは焼き付いている。

「ヤットさんは場面を見ながら、早く攻撃に移ったり、あえて遅くしたりしていた。自分は、まだそこまで余裕がないけど、自分のところで上手く落ち着かせられれば、チームも冷静に攻撃に移れる。そういう意味で、もうちょっと試合をコントロールできるようになりたい」

遠藤という“最高の教材”を間近で見られるのは、倉田にとって“最高の環境”だ。守備意識が強まるなか、徐々にドリブルの特長も活き始めた。今後は課題を克服しながら、スケールアップを遂げられるか。

ひと皮剥けた時、代表定着だけでなく、代表の定位置確保も見えてくるだろう。

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