宇佐美貴史・移籍会見全文|『壁にぶつかって、こけて、また起き上がって、という人生を選んだ』

「挑戦したい、という気持ちは割とすぐに固まりました」

 G大阪のエース、FW宇佐美貴史のドイツ1部アウクスブルクへの完全移籍が発表され、6月21日13時から記者会見が行なわれた。

多くの報道陣が詰めかけるなか、宇佐美は自身2度目のブンデスリーガへの挑戦について「心の底から愛しているクラブよりも、またゼロから環境を作っていけるような、壁にぶつかって、起き上がって、という人生を選んだ」と語った。

今週末に市立吹田サッカースタジアムで行なわれるJ1第1ステージ17節の名古屋戦が、G大阪のユニホームを着て戦う、ラストマッチになる。

以下、記者会見での宇佐美のコメント全文を紹介する。

こんにちは。G大阪の宇佐美です。移籍に関してですが、こんなにも自分自身が愛しているガンバでサッカーをできることは本当に幸せだと思っていましたし、僕自身、ガンバはファンから始まったクラブで、そのファンの人たちに応援してもらえるこの環境を心の底から愛しています。

ただ、挑戦のない人生というか、壁にぶつからない人生は自分らしくないと思いますから。自分が道を外れた時には軌道修正をしてくれる人がたくさんいるこ の環境、また常に失敗をしても期待して応援し続けてくれるファンの人たちがいるこの環境ではなく、またゼロから環境を作っていけるような……壁にぶつかっ て、こけて、また起き上がって、という人生を選びました。

そっちのほうがおそらく苦しいはずだし、楽しくない事も多いはずですが、自分の成長のため、また自分の人生、サッカー人生のために移籍を決断させていただきました。

――オファーが来た時の率直な気持ちを聞かせてください。

タイミングとしては割と早い段階からいただいていましたし、オファーの内容自体も、熱意も含めて、自分自身が満足できる内容でしたので、挑戦したいとい う気持ちが沸き上がり、すぐにアウクスブルクのオファーに興味を持ちました。そういう意味では、挑戦したいという気持ちは割とすぐに固まりました。

――アウクスブルクの印象は?

何年か前に細貝選手がプレーしていたり、現在も韓国人選手が多く所属していますし、アジア人の選手がプレーしやすい環境は整っているという話は聞いてい るので。クラブとしても成長を続けていますし、愛情に溢れたクラブだとすごく感じたので、そのへんでより魅力を感じました。

完全移籍で退路を断つ。「今まで生きてきたなかで一番の挑戦」。

――19歳で一度挑戦して以降も常々、ヨーロッパに挑戦したいと言っていました。今回は完全移籍になりますが、自分のサッカー人生においてどういう意味合いを持つ挑戦になりますか。

自分自身、今まで生きてきたなかで一番の挑戦だなと。バイエルンの時は、挑戦ではあったのですが、経験をしにいったという感覚が大きかった。今回は完全移籍ですしね。人生をかけた再挑戦という意味合いが大きいと思っています。

そのなかで失う物も大きいと思いますが、得るものもおそらく爆発的にあるはずで、その得るもののなかで成長できるかどうかは自分自身にかかっていると思っていますし、だからこその魅力を感じています。

――前回と同じドイツですが、ブンデスリーガへのこだわりはあるのでしょうか?

ドイツじゃないと嫌だってことはなかったのですが、心のどこかでは、ドイツから帰って来てガンバでプレーしながらも、ブンデスリーガの結果をフォローし ていたりとか、どこかでリベンジしたい、このままでは終わらせたくないという気持ちは、常に頭の片隅におきながらだったように思います。

また、僕のサッカースタイルとしても、おそらくあまり一致しないというか、どちらかというと合わないほうが大きいと思うのですが、だからこそ、より吸収できるものも多いと思うので。オファーをいただいた瞬間に、再挑戦をするなら、ブンデスリーガだと思いました。

――特別なクラブであるG大阪。この3年間、いろんなことがあったと思いますが、この時間ではどういう成長ができたと思いますか?

そこを話し始めると泣いてしまうので(笑)。どうせセレモニーでも我慢できないと思うんですよね。このクラブに対しての感謝とか愛情とか……この3年間、本当に思い出とかいろんなものが詰まり過ぎて。

でも、まだここでは泣きたくないので。今日はどちらかというと笑顔で報告をできたらいいなという感覚でいたので。ドイツでぼろぼろになって帰って来てからの3年間は、もう少し後で話をさせてほしいと思っています。

6月25日の名古屋戦が国内ラストマッチ。「自分のゴールで勝って、良い姿を魅せたい」。

――最終的にどういう選手になりたいと思っていますか。

やっぱり活躍して、日本代表で主力にというか、日本を引っ張っていけるような選手にならないといけないし、挑戦をし続けながら、チャンピオンズ・リーグ やヨーロッパで最もレベルの高い試合を経験していけたらな、と思います。そのなかでまた自分の名前を広げていけたらと思っています。

――6月25日の名古屋戦がラストマッチになります。最後の試合では、どんな姿を見せたいですか。

まずは勝つこと。チームとして勝利すること。やはり自分のゴールで勝って、ガンバのサポーター、今まで応援してくれた人がたくさん観に来てくれると思うので、そういう人たちに少しでも良い姿を魅せたいというのが本音です。

セレモニーもあるので言葉で感謝を伝えられる機会もありますけど、まずはプレーとか、サッカーをしているところで感謝を伝えていけるような試合をしたいと思っています。

――海外への再挑戦になりますが、チームを選ぶうえで大切にしていたことは?

金銭面などのこだわりは本当になかったです。熱意とオファーのタイミングを一番大事にしたいと思っていたし、早ければ早いに越したことはないとは思っていたというか、早い方が僕としては熱意込みの早さだろうという感覚もあったので。

アウクスブルクはそのタイミングも早かったですし、話を聞いても、本当に獲得したいという気持ちを一番感じたので、割と即決くらいの感覚で決めました。

――代表でもG大阪でも現在は2列目のサイドですが、ドイツでやりたいポジションはありますか。

今やっているポジションでもいいですし、逆サイドでもいいですし、真ん中でもやりますし、一番前でもやれると思っています。どのポジションで出れば結果 を出しやすいというのはあると思いますが、どのポジションで出ても、結果を出していける存在感を身につけていきたいので、どのポジションで出ても結果を出 せる選手になりたいと思っています。

――希望の背番号はありますか?

昨日、希望を言わせてもらったところなのですが、今ガンバで背負っている39を背負いたいというのはあります。ガンバに帰って来た時に39を付けた時 は、そういう意味合いはなかったのですが、もしアウクスブルクで背負う時は、語呂合わせでサンキューという感謝の気持ちを強調しながらプレーする事も自分 らしいかなと思っています。

ピッチ外のコミュニケーションも重視。「まずひとりの人として認めてもらうことが重要だと思っています」

――ドイツでボロボロになったという言葉がありました。今回は移籍にあたって、やれる自信はありますか?

一度行っていることもあって、前回行った時よりはやれるんじゃないかという自信は強くなっていますし、ドイツから帰って来て日本でやるなかで『もっとドイツでやれるんじゃないか』という思いが溢れてきたのは事実です。

次にブンデスリーガでプレーする時はもっとこうしてやるぞ、という部分で、よりどん欲にやっていこうと思っていますし、ピッチ内でのプレーはもちろん、 ピッチ外のところでもより選手同士のコミュニケーションを図って、まずひとりの人として認めてもらうことが重要だと思っています。そういうアプローチとい うか、そういう部分でも成長していければと思っています。

――先ほど『リベンジ』という言葉がありました。宇佐美選手にとって『リベンジ』とはどういうことを言いますか?

1度目ドイツに行った時は、バイエルンではすごく良い経験をさせてもらって、ホッフェンハイムでは最初のほうは試合に絡むことができたし、通用した部分も感じられたのですが、結果的に通用しなかったということだと思っています。

だから、帰ってきてからのガンバの日々のなかでどのくらい積み上げることができたのか、どれだけ成長することができたのかをドイツで証明したい。1度失 敗して2回目で成功するストーリー自体はすごく自分らしくていいと思う。その理想通りのストーリーになるように、やっていきたいと思っています。

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