ガンバ大阪、名和田我空がプロ3シーズン目にかける思い。ACLE本戦出場決める決勝弾も「それを証明するのは結果に他ならない」【コラム】
ガンバ大阪の名和田我空が、2026/27シーズンの公式戦2試合目で大きな仕事をやってのけた。AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2026/27 プレリミナリーステージの江原FC戦で、延長戦に決勝ゴール。チームを本戦へ導いた一撃を「決めなきゃいけなかった」と振り返る一方、本人が見据えているのは、ここから始まるプロ3シーズン目の戦いだ。(取材・文:高村美砂)
【ACLE 2026/27 プレリミナリーステージ】 8月11日 江原FC 0-1 ガンバ大阪(江陵総合競技場)
●ACLE出場を決める決勝弾も「ただ、大会、試合によって…」
「特別シーズンを入れるとプロ3シーズン目。自分の価値を証明するシーズンにしたい」
ガンバ大阪の名和田我空は、2026/27明治安田J1リーグ開幕を前に話していた言葉を、早くもピッチ上で体現してみせた。
その舞台となったのが、チームにとって今季2試合目の公式戦となったAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2026/27 プレリミナリーステージ、江原FC戦だ。
スコアレスで迎えた延長前半103分。山下諒也がドリブルでペナルティエリア内に仕掛けるのに合わせてゴール前ににじり寄った名和田は、左ポスト前でバウンドしたボールを左足で合わせ、ゴールネットを揺らす。
「相手のサイドバックの集中力が切れているなと感じていたのもあって(延長戦は)チャンスがあるかもな、と思っていたなかでの得点でした。(ハーフバウンドの)難しいボールでしたけど、あの距離なので、さすがに決めなきゃいけなかったし、決められて良かったです」
この得点が決勝点となり、ガンバは2021年以来5年ぶりとなるACLEへの出場権を手にした。
「昨シーズンACL2(AFCチャンピオンズリーグ2)2025/26に出場して優勝できましたけど、ACL2とACLEでは全く違う大会と思っていますし、僕たちはACLEに出たいという一心で韓国に来たので勝てて良かった。ACL2 2025/26もそうですが、ACLは個人的には相性のいい大会。大事なところでしっかり点を決められてきた印象もあります。
ただ、大会、試合によって自分のモチベーションが何か変わるかといえばそうじゃない。どの試合も、もっといえば試合に出る出ないに関係なく常に高いモチベーションで毎日と向き合っていますし、もちろんJ1リーグでもコンスタントに活躍する姿を見せたいと思っています。
この先、チームの主力として活躍するにはこの序盤の結果次第だとも思うので、ここ数試合は自分にとっても大事な正念場だと感じています」
思えば、名和田にとってのプロ2シーズン目となった特別シーズンは悔しさを募らせる時間が続いた。
●「本当の意味での優勝は体感できなかった」名和田我空がプロ3シーズン目に込める思い
明治安田J1百年構想リーグへの出場は全20試合中10試合。うち先発出場はわずか4試合で、若い選手が数多くピッチに立ったプレーオフラウンド以外はほぼ途中出場にとどまった。
また、グループステージを首位通過して臨んだACL2ノックアウトステージにおいても、7試合のうちピッチに立てたのは途中出場での3試合のみ。
準々決勝第1戦・ラーチャブリー戦ではチームに勝点1をもたらす同点弾を決めるなど存在感を示し、決勝のアル・ナスル戦ではサウジアラビア遠征にも帯同したが『タイトル』はスタンドから見守った。
「正直、決勝戦は嬉しさより悔しさのほうが大きかったです。優勝の瞬間には立ち会えましたけど、プレーでは貢献できなかったし、本当の意味での優勝は体感できなかったと思っています。あの経験によって、改めてああいう瞬間にピッチに立って貢献できる選手にならなければいけないと思いました。
それに、僕ももうプロ3シーズン目ですから。今シーズンこそは活躍しなければという思いもあります。僕自身は、チームと並行して日本代表としての活動も視野に入れていますが、そのためにもJ1リーグで活躍することが1番の近道だとも思うので、今シーズンこそ、しっかりピッチで活躍しなければいけないと思っています」
そのためにも課題とされてきた前線からの守備や強度、プレーの連続性のところは「意識して取り組んできた」という。それによって局面での1対1や守備力には確かな成長も見られるようになったが、「そこは当たり前のように意識しながらも、やっぱり攻撃のところで違いを出さないと」とも気を引き締める。
今シーズン、主戦場であるトップ下に加え、ウイングとしてプレーする機会が増えている中でも『数字』は常に自身に求めるところだ。
●「どのポジションであっても得点に絡める選手は重宝されるはず」
「プレシーズンではケガ人が出てしまったこともあってウイングをやることが多かったです。ミョウさん(明神智和監督)にもトップ下とウイングの両方で考えてもらっているのかなと思っていますが、どちらをやるにしても、自分は攻撃の選手だからこそそこで数字を残すことが大前提だと思っています。
もちろん、僕自身は『ポジションはどこだ?』と聞かれたらトップ下だと言い切れるくらいの自信は持っていますけど、ウイングもできるようになれば、自分にとってもポジティブなこと。
江原戦のようにケガ人が出てしまったときに、どのポジションであっても得点に絡める選手は重宝されるはずなので。自分の特長とチームに求められる役割をうまく使い分けつつ、でも持ち味はしっかり表現することを考えながら、それを数字に繋げることで信頼を勝ち取っていきたいです」
7月24日に戦ったプレシーズンマッチのツエーゲン金沢戦でも56分から出場し、最初は右ウイングで、途中からはトップ下にポジションを変えてプレー。
60分にはピッチ中央から植中朝日へ、62分には似たような展開から左のウェルトンへスルーパスを通しシュートチャンスに繋げるなど、効果的なポジショニングから好機を演出する姿も目を惹いた。そうした試合中のスイッチが可能になれば、それはより出場時間を伸ばすことにもつながっていくことだろう。
ちなみに、その金沢戦では後半アディショナルタイムに自身のプレーによって手にした好位置からのフリーキック(FK)でキッカーに立つシーンも。名手・宇佐美貴史からキッカーを託されたのも印象的なシーンだった。
●名和田我空が実はまだ記録していないもの「流石に今シーズンは…」
「自信のある位置だったので蹴りたいって思っていたし、(自分が)蹴る気でした。(宇佐美)貴史くんもこれまでいろんなFKを決めてきた選手なのに託してくれて嬉しかったし、ありがたかったです。
だからこそ、ああいうシーンで決められる選手になりたい。このチームにはFKに自信を持っている選手も数多くいるからこそ、結果で自分を証明していかないと継続してキッカーは任せてもらえない。しっかりそこも決めていかなきゃいけないと思っています」
ところで、先に書いた江原FC戦をはじめACL2や、J1百年構想リーグプレーオフラウンド第2戦・東京ヴェルディ戦では2得点をあげるなど『数字』を残してきた名和田だが、実は、J1リーグではいまだ初ゴールを決められていない。今シーズンはそこをより強く意識した序盤戦にもなっているという。
「流石に今シーズンはJ1リーグで点を取らないとヤバいと思っています。コンディションはすごくいいし、自分に対して試合に出れば点が取れるんじゃないか、といういいイメージもある。まだまだ物足りないとはいえ、過去2シーズンに比べると自分が『できるプレー』も増えてきたという感覚もありますしね。
ただ、それを証明するのは結果に他ならない。シーズンが始まって2試合目で得点が取れたことを追い風にしながら、J1リーグでもしっかり結果を残していきたいです」
危機感と欲の両方をしっかりと燃やしながら、その才能を結果に証明するための名和田我空の戦いが、始まっている。
(取材・文:高村美砂)




