【G大阪】祝・ACL2優勝! 現地取材記者の「全部出します、裏話!」。宇佐美貴史が、GKチームが、CBコンビが…

GKチームの一体感!

決勝が始まる直前。

吉田宗弘GKコーチと最後のウォーミングアップをそばで見守っていた東口順昭と一森純は、ウォーミングアップが終わり、荒木琉偉がチームの円陣の輪に加わろうとする直前、彼の元に駆け寄り、4人で肩を組んで輪を作った。

「今回のACL2は24年の成績があって出場権を得られた。その24年のリーグ戦は純が頑張ってくれたからこそ4位になれたし、去年も9月から始まったACL2では僕が準決勝までその流れを受け継ぎ、決勝は琉偉が先発を預かった。そういう意味ではGKチームとしてここまでつないできたという思いも強かったので、意図せずとも自然とあの輪ができました」

東口が述懐する。

吉田GKコーチ含め、歴代ガンバのゴールを預かってきた先輩たちのパワーを、荒木もまた心強く感じながら、ピッチに立ったという。

「この日だけではなく、むしろヒガシさん(東口)、純さん(一森)が試合に出ていたときも、いつも二人は若手を気にかけてくれて、支えてくれた。今日も最後にヨッシーさん(吉田GKコーチ)含めて3人からパワーをもらってめちゃめちゃ心強かったですし、決勝を任された僕はとにかく自分が出せるものを全部、出そうと思って試合に入りました。ハーフタイムを含め最初から最後までほんまに支えてもらいました」

荒木は感謝する。

結果、1-0。見事にクリーンシートで締めた試合終了後、両手で大きなガッツポーズを作った荒木が、東口を見つけるや、一直線に走り寄る。そこに続いた一森も含め、偉大な先輩たちに囲まれた荒木が、試合中とは一転、初めて18歳らしい素顔を見せたのも印象的だった。

■CBコンビが声を揃えた「完璧!」

決勝から約1週間が経った5月22日、G大阪の相手だったアル・ナスルはサウジ・プロフェッショナルリーグ2025/26の最終節で4-1と勝利し、リーグチャンピオンに輝いた。シーズンを通してリーグ最多の91得点を挙げ、得失点差も+63という脅威の数字を残したことも話題を集めた。

その得点力を武器に臨んだACL2でも、準々決勝のアル・ワスル戦で4得点、準決勝のアル・アハリ・ドーハ戦では5得点と攻撃力を爆発させてきた。その強敵を唯一、無失点で封じ込めたのが決勝のG大阪だった。

相手の圧力を受ける時間帯もありながら、中谷進之介は終始「動けている、守れている」実感を持ちながら試合を進めていたという。

センターバックでコンビを組んだ中谷と三浦弦太がともに「完璧だった!」と声を弾ませたのが、後半立ち上がり、50分にサディオ・マネと対峙したシーンだ。

最終ラインのシマカンを起点にクリスティアーノ・ロナウドを経由して、マネに前線に抜け出された状況に、中谷と三浦が連携して対応。ペナルティーエリア内への侵入を許しながらもマネにシュートを打たせることなくボールを奪い返した。

三浦がその瞬間のプレーの判断について説明する。

「最初は二人で挟み込んで奪うことを狙いつつ、シン(中谷)がマネをスピードアップさせないというか、プレーを遅らせてくれたので、僕もしっかりポジションを取り直し、落ち着いて1対1で対応できた。自分の右側にシンがいることを視界にとらえつつ、ゴールとの距離感、相手のステップ、右利きだということも含め、いろんなことを冷静に頭の中でも描けていました」

このシーンに代表されるように、迫力あるアル・ナスルの前線に対してパーフェクトと言っても過言ではない連係を示したセンターバックコンビ。スタジアムは終始ものすごい歓声が轟いていたため、声が通るような状況ではなかったが「弦太とは普段から仲がいいし、言葉なくとも阿吽の呼吸でやれた!」と中谷は胸を張るのだった。

「彼らにもカップ、掲げさせたってよ」

優勝セレモニーではキャプテンの中谷進之介を中心にみんなでカップを掲げて喜んで、そのあとに「貴史くん、次、真ん中、やってよ!」と促されていたのが宇佐美貴史。

「ヒガシくん(東口順昭)と秋くん(倉田)からでしょ!」

尊敬してやまない二人の先輩に譲ったのだが、セレモニーのあとに、遠路はるばる駆けつけてくれたガンバサポーターが陣取るゴール裏前に歩みを進めると、仲間が作った輪の中心でカップを掲げ、雄叫びをあげた。

「せっかくやから、サポーターのみんなも一緒に喜べたらいいなって」

サポーターが宇佐美のチャントを歌い始めると、選手も一緒になって大合唱。その後も食野亮太郎が、中谷進之介が、三浦弦太が、鈴木徳真が、ウェルトンが、イッサム・ジェバリが……と歓喜のカップリフトが続いていった。

その宴も終わりに近づいた頃、宇佐美がクラブの運営スタッフにこそっと囁く。

「彼らにもカップ、掲げさせたってよ」

その思いを受け取ったスタッフがカップを抱えてスタンドを駆け上がると、ゴール裏のサポーターもまたカップの重みに触れ、喜びを噛み締めた。

「こんなに遠くにまで足を運んでくれたんやから、彼らも近くでカップを見たいんちゃうかなって。ここにいる選手以上に、長い期間、この日を待ち望んでいた人もいるやろうし。彼らも大事な僕らの仲間。一緒に喜ぶべきでしょ」

幼少期には一人のサポーターとしてゴール裏で声を張り上げていた宇佐美らしい言葉だった。

■「誰にも触らせない!」

帰国後、イェンス・ヴィッシング監督は改めて『タイトル』の喜びを口にした。

「本当に特別な瞬間でした。ガンバにとってということはもちろん、日本にとっても大きなことを成し遂げた決勝だったと思います。

ACL2準決勝のバンコク・ユナイテッド戦に勝利してからすぐに決勝戦があったわけではなく、その間、国内のリーグ戦においても、ヴィッセル神戸戦、名古屋グランパス戦、サンフレッチェ広島戦という重要な試合がありました。それを戦った上で決勝に臨むのはスケジュールとしても、気持ちの部分でも難しかったです。

ですが、とにかく目の前の試合に集中することを意識してチームづくりを行い、そこをしっかり戦い抜いた上で向かった決勝戦でした。

そうした難しい状況でも、選手たちは本当にたくましく、勇敢な気持ちを持ってアル・ナスルに向かってくれました。試合前の1週間も本当にいい準備ができました。その上で、みんなでこの素晴らしい成果を出せたことをうれしく、誇りに思います。最高の瞬間でした」

『監督』として手にした初めてのタイトルでもある。その喜びは、試合が終わってからずっと、その腕にウイニングボールを抱え続けていた姿からも見て取れた。

しかも、試合を終えて、ホテルに戻る道中も、食事会場でも、翌朝、空港に向かうバスの中でも手放さないのである。いつも行動を共にしているハリープファル・アシスタントコーチが隙を見てイタズラを仕掛けても「ダメだ! これは誰にも触らせない!」と死守。

バスを降りて、手荷物検査場に向かう間もまだその手にはボールが……。さすがに最後は空気を抜いて、大事そうにバックにしまったけれど。

■中谷進之介の「終わりなき旅」

ACL2 2025/26のチャンピオンという栄誉をつかみ、その足でホーム、パナソニックスタジアム吹田に戻ったG大阪の面々を待ち受けていたのは、喜びをともに分かち合おうと詰めかけた約6500人のファン・サポーターだった。

「優勝、おめでとうございます!」

スタンドからのお祝いメッセージを受け、イェンス・ヴィッシング監督の挨拶に続いて、キャプテンの中谷進之介がマイクの前に立つ。

「ただいま戻りました! 平日にも関わらずこんなにもたくさんの方に集まっていただきありがとうございます」

そう切り出すと、真っ直ぐに想いを伝えた。

「11年ぶりに10個目のタイトルを獲ることができました。お待たせしました! 本当に僕ら選手もそうですが、ACL2は移動が大変で、ここにいる裏方スタッフたちが本当に頑張ってくれました。

いったん、ACL2という旅は終わります。ただ、優勝したことによって来シーズンはACLエリートのプレーオフから戦うことが決まっています。僕らの終わりなき旅はこれからも続きます!

これから強いガンバを取り戻せるよう、この優勝を機に頑張りたいと思いますので、今日はいっぱい飲ませてください。ありがとうー!(一部抜粋)」

最後は両手でガッツポーズを作って声を張りあげた姿はパナスタで、あるいはG大阪の公式YouTubeで確認した方も多いことだろう。

裏話はここから。

「僕らの終わりなき旅はこれからも続きます!」と言ったあと、背後に座る三浦弦太、宇佐美貴史ら選手がややどよめき、中谷が『してやったり』の表情を浮かべたことにはお気づきいただけただろうか。

実はこの台詞、中谷が優勝直後の興奮の中で「言おうと思ってたのに忘れちゃった!!」と後悔を残していたワード。試合後の取材エリアで明かしていた。

「さっき、公式の動画を撮ったときに、Mr.Childrenさんの曲にちなんで『僕たちのアジアでの戦いを終わりなき旅にしたい』って言おうと思ってたのに、忘れちゃった! あー、失敗した! ミスチルさん、大好きだし、僕らにぴったりのフレーズだと思ったのに、忘れた! 悔しい! またどっかで言う!!」

おそらくは、それを知っている仲間からの「やったな!」のどよめきであり、温めに温めて届けられたキャプテンからのメッセージだった。

「10人」が収まった一葉の写真

試合後、優勝セレモニーを終え、ガンバサポーターとも歓喜を分かち合ったあと、ピッチでは10人の選手が肩を組んで写真に収まった。

東口順昭、倉田秋、宇佐美貴史、初瀬亮、食野亮太郎、唐山翔自、南野遥海中村仁郎、山本天翔、荒木琉偉

共通項は『ガンバアカデミー育ち』。その中では『中堅』にあたる初瀬が、声を弾ませた。

「なんか自然に、アカデミーで撮ろうぜ! みたいな感じになった。ファイナルという舞台にこれだけのアカデミー出身選手がいるのはガンバならではの良さ。アカデミー時代は一緒にプレーしていなかった選手同士が、プロとして同じガンバのユニフォームを着て、同じピッチで戦えるなんて、こんな幸せなことはないでしょ!

考えてみれば、最年長のヒガシくん(東口)から最年少の琉偉(荒木)まで年齢差は22くらいあるけど、ってことは、いまジュニアユースやユースでプレーしている選手たちと僕たちが、近い将来、こういう舞台をともにできる可能性もあるってことですから。

これこそがプロの育成組織としての理想系というか『アカデミー』の良さだと思うので。こういう歴史をもっともっとつないでいきたいと思いました」

一番の年下の荒木も感慨深い。

「クラブにとってアカデミー出身選手がたくさんいるのはすごく意味があること。これからももっともっとアカデミーからいい選手を輩出していきたいです…あれ? これを僕が言うのはおかしいな(笑)。違う! 僕もアカデミー出身として、後輩たちが続けるように頑張っていきたいってことです」

初瀬も気がつけば28歳。最年少の荒木とはすでに10の歳の差があるが、後輩たちの姿をどう見ているのか。

「いやぁ、たくましい! たくましいし、僕らが彼らの年齢だったときのことを思い返すと、断然、のびのびサッカーをしています! 僕らの時代はもっと偉大な先輩方に怯えてサッカーをしてたけどなぁ。僕らの偉大さが足りないのか、優しすぎるのか、はたまた彼らが鈍感なのか…いや、きっと時代ですね(笑)! いまの時代にはこの空気が合っているってこと。みんなかわいくて、生意気な後輩ばかりで先輩冥利に尽きます!」

余談だが、帰国後の優勝報告会では、ビールかけ会場で念願の「ガンバでのパーリー!パーリー!」を実現させた初瀬。 「ガンバでタイトルを獲りたいという思いでここに帰ってきましたけど、こんなに早く実現できるとは思っていなかった。僕、持ってると思います(笑)! というか持ち続ける男でありたいです!

ちなみにパーリーパーリーは、シンくん(中谷)にやらされました! そしてあの日だけはほんまにもう呑み過ぎました! 呑んで吐く…どころか、吐いたのかどうかもわからん状態で、気づけば家のベッドで寝ていました」

ビール掛けのあとも、極上の勝利の美酒に酔いしれたことを明かした。

池谷銀姿郎のプレイリスト

G大阪の公式YouTubeで、試合を終えてホテルに戻ったチームが食事会場でケツメイシの『仲間』を大合唱していたシーンはご覧になっただろうか。

あのシーンに限らず、試合前後のロッカールームやウォーミングアップ場ではいつもさまざまな音楽が流れているが、そのセレクトを担当してきたのが池谷銀姿郎だ。筑波大学時代もその役割を担っていたという彼は、決勝の舞台でも「新しい曲を、継ぎ足し、継ぎ足しで作っている」という自作プレイリストから曲を選び、その場の雰囲気に見合った音楽を流してきた。

「みんなが『これいいんじゃない!』みたいな曲を僕が編集して作っています。基本、みんなが知っていそうな、口ずさめて楽しめそうな、気持ちが上がりそうな曲を選んでいます」

食事会場で流した『仲間』もその一曲。

「あの時はもう盛り上がり過ぎていて、みんなが『この曲を流せ、ギン!』みたいになっていたので、『わかりました、いきます!』って次々にみんなのリクエスト曲を流していった感じでしたけど、あんなにみんなで大合唱したのは初めてだったし、あんなふうに喜びを共有できたのはうれしかったです!」

残念ながら決勝で池谷自身の出場はなかったが、たくさんの刺激を得ることができたのだと言葉を続けた。

「自分自身が貢献できた部分はまだまだ小さなものだけど、1年目からこういう経験をできたのは運もいいなと思いますし、ここに来ることができたから『こういう瞬間をより多く味わえるようにもっと頑張ろう』とも思えた。自分でそのチャンスを掴み取るためにもまたここから頑張っていきます」

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