【G大阪】完全移籍で名実ともにガンバ大阪の選手となった満田誠「サポーターの皆さんと共にタイトルを獲りたい」◎開幕直前・連続インタビュー
クラブ創設35周年を迎えるガンバ大阪のキーマンたちを取り上げる『集中連載』。第4回は昨季途中にサンフレッチェ広島から期限付き移籍で加入し、2026年より完全移籍となった満田誠だ。イェンス新体制のガンバ、そしてそのガンバでの自身の役割について語った。
ユニフォーム売り上げ1位に「なんで?」
サンフレッチェ広島からの完全移籍となった今シーズンは、心機一転、背番号『6』を背負う。
「去年は広島のアカデミーの先輩で、子どものころから憧れていたムツくん(加藤陸次樹)への思いもあって同じ『51』をつけていたんですけど、今シーズンを迎えるにあたって、ムツくんからも電話をもらい『11』をつけると聞いて。僕も完全移籍になったから変えようと思っていたんです、ってことも報告して『6』にしました。サッカーキャリアにおいて初めてつける番号ですけど深い意味はなく……とりあえず心機一転というのが一番ですね。聞いたところではレプリカユニフォームの売上げが一番らしくて、自分ではなんで?って感じですけど(笑)、ありがたいです」
その言葉にもあるとおり、シーズン開幕を前にしたレプリカユニフォームの売上げは、チームの顔である宇佐美貴史を抜いて堂々の1位。これはいうまでもなく、昨シーズンのパフォーマンスへの信頼、そして完全移籍となった新シーズンへの期待の表れだろう。
「自分にとって去年は初めての期限付き移籍で、気持ち的な難しさはありました。もちろん、ガンバのために全力で戦っていましたけど広島に籍があるのも少し不思議な感じで……。契約上、広島戦にも出場できたんですが、広島のファン・サポーターの皆さんも馴染みのあるチャントを歌っていて……とかっていうのもまた不思議な感覚でした。ただ、今年からは完全にガンバの選手になったので。気持ち的な整理もついて、より頑張っていかなきゃいけないと思っているし、ガンバの勝利に貢献できる選手になっていきたいです」
昨年の2月末、シーズンがすでに始まっていた状況下で、ガンバへの期限付き移籍が発表された。デビュー戦はそのわずか4日後、第4節・東京ヴェルディ戦だ。チームメイトに関する情報すら多くは得られていない中で後半から途中出場した満田は、選手同士の距離間、セカンドボールへの対応、相手が困るようなポジショニングを意識しながら一気にチームのギアを上げ、勝利を引き寄せる原動力になった。
「(選手同士が)近い距離でプレーできたことで、シンプルにボールをはたくとか、相手を食いつかせておいてボールを出すといったプレーがスムーズにでき、テンポ良く攻撃ができました。今シーズンに入って自分自身、(広島で)なかなか試合に絡めていない状況もあって期限付き移籍を決断した中で、この試合に懸ける思いはすごく強かった。得点やアシストはできなかったけど、チームの勝利に少しは貢献できたと思うのでよかったです。ただ、ファン・サポーターの皆さんやチームメイトに認めてもらうためには結果が必要だと思うので、今日の試合をきっかけにまた貪欲にそこを求めていきたいです」(※ガンバでのデビュー戦後のコメント)
以来、その言葉はシーズンを通してピッチで表現され、存在感を際立たせていく。チーム事情もあって、本来のトップ下やサイドMFといった前線でのプレーに限らず、広島でも経験したボランチを預かることもあったが、それぞれのポジションで的確に役割を汲み取りながら、運動量をフル稼働させて中盤を彩った。シーズン終了後、期限付き移籍の選手としては異例の『ミスターガンバ黄金の脚賞』に選出されたのも、その活躍を示すものだったと言っていい。
「攻撃の意識を強めることと並行して、失点を減らす」
そんな25年シーズンを経て、完全移籍になった今シーズンを戦う上で満田が意識するのは、目に見えた『結果』だ。思えば一昨年まで在籍した広島時代はボランチやウイングバックなどでのプレーが増えた中で「前への選択や思い切りの良さという本来の自分の持ち味より『横』の選択をすることが増えていた」と満田。それもあってガンバでの昨年は「シュートの回数や足を振る場面を増やしたい」と話していたが、今シーズンもそこは引き続き追求していくことになる。
「広島時代の24年もそうだったように、どれだけ短い時間でも『結果』を出さなくちゃ評価はされないということはプロになってあらためて感じた部分。だからこそ去年もとにかくピッチに立つ限りはペース配分をすることなく、与えられた時間の中でとにかく最初からギア全開でゴールを狙いにいこうと思っていました。結果的に後半戦はガンバでもボランチでプレーすることが多かったとはいえ、そこを自分の中で持ち続けられたのは良かったと思っていますし、その中でもシュートとかゴールへの意識がより強くなったのは今年につながる部分なのかなと思っています。ただ、一方で、1試合の中で最低でも3本くらいはシュートを打てるようにならないと明確な数字にはつながらないのかな、とも感じたので。そこは今シーズン、より意識していきたいところです」
昨年のデータを振り返ると満田のシュート数は、宇佐美貴史(63本)、イッサム・ジェバリ(60本)、デニス・ヒュメット(55本)らFW陣に次いで4番目の40本。チーム内では決して少なくはない数字だったとはいえ、リーグ全体を見渡すと多かったとも言い切れないからこそ、シュートの意識を強く持つことは、満田のみならずチーム全体をゴールに近づけることになるだろう。それは今シーズン、イェンス・ヴィッシング新監督が志向する「前へ」の意識を強めたサッカーにもリンクするはずだ。
「まずは任されたポジションで、与えられたタスクをプレーで表現するのが1つと、イェンスのサッカーでは、前線からのハイプレスから出来るだけ高い位置でボールを奪う、後ろもそこにしっかりついていくことが基本なので。常に前線の選手がファーストディフェンスでスイッチを入れなくちゃいけないし、そこからチームとしての攻撃が始まるからこそ、その役割は僕自身も意識しています。ただ、沖縄キャンプでの最初の練習試合となったFC町田ゼルビア戦を含め、自分たちがボールを持てているときは必然的に攻めている時間が長くなるとは思うんですけど、相手が繋いでくるチームというか、ボールを持つことを好むチームに主導権を握られてしまう展開になると、そのプレッシャーの掛け方やいくタイミングは考えないと失点のリスクが高くなるのかなと思うので。その部分はこの先、開幕までの準備期間で取り組んでいくことになるんじゃないかと思っています」
攻撃の役割のみならず『守備』のことを意識するのは、昨年は55に膨らんでしまった失点数を明確に減らすため。また、長いリーグ戦を勝ち抜けるチームになるには「不用意な失点をしないことが肝」だと考えているからだ。
「リーグ戦で上位を争えるチームは良くない試合でも勝点を積み上げられているというか。去年の鹿島アントラーズみたく、流れを相手に渡してしまったとしても我慢して、1本のチャンスを仕留め切るというような勝負強さを備えていると思うんです。それを踏まえても、うまくいっていない展開での我慢強さというか『失点しないこと』は大事になってくるのかな、と。サッカーなので攻撃力、得点力があるのも大事ですけど、リーグ戦は結局、失点の少ないチームが上位にいますしね。まして昨年のガンバの戦いを振り返ると、先に失点してしまった試合は苦しい展開に追いやられることが多かったという反省からも、今シーズンは攻撃の意識を強めることと並行して、失点を減らすことは意識しなくちゃいけない部分だと思っています」
「サッカー人生でセレッソには負けたことがない」
またすでにグループリーグ突破を決めているAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)で初タイトルを目指す上でも、『我慢強さ』は不可欠だと言葉を続ける。
「日本勢として初のACL2のタイトルを獲得することも、チームの目標に掲げている中で、ここからのノックアウトステージでは……特にアウェーではその我慢強さが物をいう試合も増えるんじゃないかと思っています。実際、僕自身は広島時代も含めて2年連続でACL2を戦ってきた中で、ホームとアウェーでは全然相手の戦い方が変わるのも何度も体感してきたし、その中でしっかり勝ち上がっていくには失点しないことも大事になってくる。特にアウェーは0-0でもいいというくらいの割り切りを持つことも必要というか。ホームで自分たちのサッカーをして勝っていればOKというくらいの心持ちで焦れずに戦うことがタイトルに近づくためにも必要だと思っています」
心身両面での準備を続けてきた中で、今週末にはいよいよJ1百年構想リーグが開幕する。相手はセレッソ大阪。絶対に勝たなければいけない『大阪ダービー』だ。会場は約5万人という収容人数を誇るヤンマースタジアム長居。キンチョースタジアムでのアウェー戦以上により多くのガンバサポーターも詰めかけることだろう。
「僕自身は昨年のアウェーが初めて体感した大阪ダービーだったんですけど、広島時代のセレッソ戦とは全然違う特別な空気を感じたし、あらためて一番『勝ちしか許されないカード』だと実感したので、勝ててよかったです。ちなみに僕、これまでのサッカー人生で、セレッソには一度も負けたことがないんです。それを相性がいいと言っていいのかは分からないんですけど(笑)、そのジンクスはガンバでも引き継いでいこうと思っています」
そういえば、満田は昨年、自身初めてとなる『大阪』での暮らしを通して「さまざまなシーンで『大阪』や『ガンバ』を感じ取った」と話す。
「街中とか、出掛けた先で声を掛けてくれる方がすごく多くて、それによっていろいろな場面で、『応援してもらっているんだな』と思ったし、ガンバでプレーする責任みたいなものを実感しました。そういう意味では、とにかくファンの方の熱量の高さをピッチ内外で感じ続けた1年でした。あとは、パナソニックスタジアム吹田の圧倒的なホーム感というか。何度戦っても本当にすごい雰囲気だなって思ったし、そうした環境を作り出してくれるサポーターの皆さんと共にタイトルを獲りたいという思いも試合を戦うごとに強くなった。今シーズンはそれをしっかりプレーと結果で表現できるシーズンにしたいです」
『大阪ダービー』では、そうした時間を通してより深めた責任感がきっと彼を走らせ、戦わせる。



