【G大阪】福岡将太が新生ガンバのけん引車に!「チーム全体を動かせられるような選手になっていきたい」◎開幕直前・連続インタビュー
クラブ創設35周年を迎えるガンバ大阪のキーマンたちを取り上げる『集中連載』。第2回はガンバ大阪在籍5シーズン目、プロキャリア13年目を迎える最終ラインの要の1人、福岡将大だ。イェンス新体制のガンバ、そしてそのガンバでの自身の役割について語った。
G大阪在籍5シーズン目「ガンバのために戦う」
イェンス・ヴィッシング新監督のもとで始まった今シーズン、始動日からここまで、CB陣の中で一度も離脱することなくアピールを続けてきたのが福岡将太だ。キャンプを含めて高強度のメニューには「流石にキツい!」とこぼしつつも、すべてのトレーニングにポジティブに向き合ってきた。
「イェンス(監督)のトレーニングは、セッション毎に100パーセントをしっかり発揮できる時間配分、強度になっているせいか、毎回『出し切った』感がすごくある。次のセッションが始まるまでの間も止まって水を飲むとか、休むわけではなく、必ずジョギングが入るのも溜まった乳酸を抜いた上で次のセッションに向かえて自分的にはリズムを作りやすいです。最初こそ『うわぁ、またジョギングかよ』って思っていましたけど今はむしろそっちのほうがいいくらいになってきた。イェンス(監督)のトレーニングに体が順応してきたということじゃないかな」
その中では、2026年を迎えるにあたって自身に課したミッションも常に意識下に置いているという。
「去年はとにかく失点が多かったので。もちろん、そこはチーム全体で改善していかなきゃいけない部分ですが、守備を預かる一人として、24年のような強固な守備を取り戻すシーズンにしなくちゃいけないと思っています。イェンスに求められる守備は、ある意味、昨年までとは真逆で、サイドバックが高い位置を取る分、センターバックのプレーエリアが広くなったし、チームとして前に、速いサッカーを目指す上ではDFラインにもその意識が求められる。その中で自分の良さでもある縦パスだったり、前にボールをつける意識をしっかりリンクさせながら積極的にプレーしようと思っています」
2014年に湘南ベルマーレで始まったプロキャリアは今年で13年目を迎える。その間に所属したチームは5つ。一時はJ3リーグまで戦うステージを落としながら経験を積み上げ、這い上がってきた印象だ。うち、ガンバには22年から在籍。自身最長の5シーズン目を迎えている。
「ガンバでは在籍年数が伸びるにつれて、いろんな充実感を味わわせてもらっています。1年間を通してピッチに立ち続けられるようになったのもガンバだし、優勝には手が届かなかったとはいえ天皇杯のファイナルという舞台に立てたのもガンバ。AFCチャンピオンズリーグ2への出場によって『アジア』を体感させてもらったのもガンバです。
また、これは前監督のダニ(ダニエル・ポヤトス)にも感謝していることですが、試合での個人的な結果というか、自分のパフォーマンスでチームを助けられたという手応えを得られる試合が増えたのもガンバに来てからです。もちろん、まだまだその回数は物足りないし、成長しなくちゃいけないところだらけだけど、ガンバでのそうしたたくさんの経験が刺激になって今の自分がある。だからこそ、クラブにはすごく感謝しているし年々、僕のガンバへの想いも強くなっています。それは『ガンバのために戦う』『ガンバのために勝ちたい』という思いにも繋がっています」
CBとして「しっかりやりたいではなく、やらなくちゃいけない」
また、福岡が在籍した22年以降、彼が主戦場とするCBには、昌子源(FC町田ゼルビア)やキム・ギョンウォン、三浦弦太、中谷進之介、佐々木翔悟ら、代表経験のあるライバルたちが顔を揃えてきた中で、着実に試合経験を積み上げられてきた事実も自信につながっているという。
「徳島ヴォルティス時代に一緒に仕事をさせてもらったダニと再びガンバで仕事ができたのも大きかったですが、僕がこのガンバで一番影響を受けたのはシン(中谷)の存在です。一昨年の最終戦では、僕がJ1リーグ100試合、シンが300試合出場のセレモニーをしていただいたんですけど、同い歳でありながらその数字の差を突きつけられて素直に『すげぇな!』って思ったし、一緒に仕事をする中では、彼がそこに辿り着けた理由みたいなものもたくさん感じ取ってきました。中でも、印象に残っているのが24年です。その前年、僕らはすごく失点が多くて……(注◎リーグワーストタイの61失点)。僕のミスでやられたこともあって、DFとしてその失点数にはすごく責任を感じていたんです。
だからこそ、24年は『安定』を意識して臨んだ自分がいました。その中で、シンの隣でプレーすることも増えたんですけど、一番驚いたのがシンの『対応力』でした。監督が意図すること、求められることを汲んでプレーを適応させていく力というのかな。そこが早くて的確だから、(前所属の)名古屋グランパスでも必要とされ続けてきたんだな、と感じたし、その姿からたくさんの刺激、学びももらった。例えば、センターバックである以上、守備でしっかり存在感を示さなきゃいけないと思わせてもらったのも1つです。
当たり前のことではあるんですけど、それこそ以前の僕はビルドアップや攻撃的なプレーが好きなのもあって、それを示すことが自分らしさだと思っていたんです。でも24年にシンのプレーを体感して、いやいや、まずは守備があっての攻撃だ、と。そこを自分の中で整理できるようになったら、自然と守備での『安定』も見出せるようになった。あとは、シンを含め、毎年素晴らしいライバルの存在を近くに感じていたことも大きな刺激にしてきました。実際、試合に出続けているときも、安心したことは一度もなく、いつも自分に『いつ(ポジションを)奪われるかわからないぞ』とプレッシャーをかけていました。その競争に身を置けたことも近年の出場数に繋がっている部分だと思っています。ただ、まだまだ足りない。昨年はまた失点数が増えてしまって、安定とはほど遠いシーズンになってしまった反省からも、もっとやらなくちゃいけないし、もっと成長しなくちゃいけない。今年はイェンスが就任してまた1からの競争になることを考えても、練習からしっかりアピールを続けます」
今シーズンの戦いにおいて、CBとして大きく意識しているのは2つ。冒頭の福岡の言葉にもあった、広くなったプレーエリアをカバーするべく縦横のこまめなスライドを徹底することと、最終ラインも含めチームとして『前へ』の意識を持つことだ。
「イェンスもダニと同じくボールを繋ぐことを大事にする監督ですが、前線からのプレッシングからより高い位置でボールを奪い、前へ、ということはより強調されている部分。実際、僕らセンターバックのところでボールを受けても横ではなく、前にということは強調されています。あとはさっきも言ったプレーエリアが広くなる中での、より的確な予測や裏への対応ですね。そこは自分の良さともリンクする部分でもあるし、今の時期、これだけ走って、体を作っているのもそのためなので。しっかりやりたい、ではなく、やらなくちゃいけないと思っています」
新シーズンに向けて「高いレベルで『凪』の状態を保てるチームに」
チームとしてもポジティブな空気のもとで準備が進んでいるという。
「やらなくちゃいけない、って思いは、おそらく僕に限らずみんなが思っていること。初日からみんながポジティブにトレーニングと向き合っているのもその証拠だし、それが今年のチームに漂う『メリハリ』にも繋がっている。実際、みんなキツい、キツいと言いながらやるときはしっかりやるし、互いに厳しく求め合っているし、でもみんなすごく仲がいいですしね。またイェンスがよく口にしている『勝ちにこだわる』という意識も順調に育っているというか。チームのあちこちで『競争』への意欲も感じるし、いろんな局面において『最後は勝たなきゃ』ということにみんなが気持ちを揃えられている。その雰囲気はチームが強くなっていく予感にも繋がるものです」
あとはその予感を、確信に変えていくのみ。「シーズンを通して波なく、安定した結果を求められるチーム」への成長を意識しながら、だ。
「去年は特に浮き沈みの激しいシーズンでしたけど、今年はその波を最小限にするというか、高いレベルで『凪』の状態を保てるチームになりたい。特にガンバの場合、うまくいっている試合は勢いも出て、波にも乗れるけど、うまくいかない試合や、チームが乗り切れない状況を抜け出すのがあまりうまくないですしね。その浮き沈みがある限り、チームは安定して結果を求められないからこそ『凪』は意識したいです。そのためにも苦しい状況に陥った際に、何をどうすれば現状を打開できるのか、どのプレーの選択を変えればゴールに近づけるのか、というような、立ち返れる『原点』というか、確固たるベースをチームとしてしっかり備えなきゃいけないと思っています。
チームとしての軸があるかないかは順位にも大きく影響するものだと思うから。そういう意味でも、このハーフシーズンでは勝つことはもちろん、チームスタイルに確固たる自信を持てるような土台をしっかり作りたいし、それを2026-27シーズンに繋げていきたいと思っています」
そのためには、今年で31歳になるという年齢を踏まえ「チームを引っ張る姿を見せていかなければいけない」と考えている。もともと、明るいキャラクターで、ムードメーカー的役割も担ってきた福岡だ。その面倒見の良さも相まって、沖縄キャンプでは新加入選手と既存の選手との橋渡し的な役割を担いながらチームを盛り上げていたが、それも自身の立場や役割を意識すればこそだろう。
そういえば、沖縄キャンプでは2つめの練習試合、湘南ベルマーレ戦(45分×3本)では、出場した2本目で初めて左腕にキャプテンマークを巻いて、ピッチに立つ姿も見られた。その重みには何を感じたのか。
「フラットに今のチームを見ているイェンスの目には年齢も含めて僕はそう映っているんだなと自覚したし、改めて、自分がこのチームでプレーする責任を再確認して、しっかりそれを背負ってやっていかなきゃいけないと思いました。ガンバには頼れる選手もたくさんいますけど、今シーズンは、そこに頼りっぱなしではなく、自分もチーム全体を動かせられるような選手になっていきたいです」
その自覚が今シーズン、どんなふうに福岡のプレーを引き上げるのか。「ケガをせずに、プレーを安定させる」ことを自身の目標に据えた、福岡のプロ13年目のシーズンが始まった。
【◎PROFILE】ふくおか・しょうた/1995年10月24日生まれ、東京都出身。180cm73kg。実践学園高-湘南14-福島15-栃木SC17-徳島19-G大阪22~



