「どうせ決めるんやろうな」ガンバの象徴が紡いだ“300”…異次元の勝負強さ生む「他人事」
宇佐美貴史がメモリアルゴール「隅に蹴るだけだった」
ガンバ大阪FW宇佐美貴史が9月27日、J1リーグ第32節アルビレックス新潟戦(4-2)でJ1通算300試合出場を達成し、メモリアルゴールを決めた。0-1の前半37分にこれぞ宇佐美の正確なシュートでネットを揺らし同点。何度も何度も節目でチームを救ってきたG大阪の象徴は「昨日から決める気はしていた」と“有言実行”の一撃で、自らを祝福した。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
【実際の映像】「昨日から決める気はしていました」宇佐美貴史が節目に決めた”メモリアルゴール”
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これが背番号7。G大阪を背負ってきた男。前半15分に先制点を許し、追いかける展開となった同37分。右サイドMF山下諒也の抜け出しから折り返しがフリーの宇佐美のもとへ。右隅に狙いを定めた宇佐美が右足を振り抜いた。その瞬間、ゴールを確信した2万6000人を超える観客が沸く。誰も疑わなかった。宇佐美なら決めると分かっていたようだった。
「決めて当たり前のシーンを(山下)諒也が作ってくれた。僕は本当に隅に蹴るだけだった。昨日から決める気はしていましたし、節目節目で決めてきた。まあどうせ決めるんやろうなと思いながら、第三者的に自分のことを見ている感じやったので」
J1通算300試合出場の節目。1試合目からここまですべてG大阪のエンブレムを付けて積み重ねた。「まあ最近では珍しいと思いますし、海外挟みましたけど国内ではワンクラブマンなので。一途でいいんじゃないですか(笑)」。ニヤッと笑ったが、これまで悩まなかったわけではない。2021年のオフには当時連覇中だった川崎フロンターレからオファーが届き、揺れた。同郷で憧れの家長昭博、約3週間“葛藤”して残留を決意。理由は「ガンバを完成されたスーパーなクラブにしたい。チームの『礎』になりたいと思った」からだった。
昨年32歳の誕生日でJ1通算250試合出場、しかもセレッソ大阪との大阪ダービーでもゴール。自身の誕生日は何度も決めてきたし、2015年までの本拠地・万博記念公園のラストマッチでも2ゴールを挙げて、愛娘の誕生を祝った。だからこそ“やっぱり”の一発だった。
「ある種なんか他人事として見ている。自分のことですけど、自分のことじゃないような感覚ではいる。そういう局面にになった時に、特にプレッシャーも感じていないですし『300試合やから、どうせあの選手は決めるんやろうな』っていうぐらいの感じで思っている。だから別に特別な喜びもないし、驚きもない。まあやっぱり決めたか、ぐらいで。周りの人がね、喜んでくれればいい」
エンブレムの重さ、背番号の重さを誰よりも知っている。「もうちょっと頑張りたいですね」。まだ通過点。これからも宇佐美の“有言実行”に歓喜することができる。G大阪の象徴としてーー。歴史を、ゴールを積み上げていく。



