ガンバ宇佐美のラスト一冠に懸けた強い思い 去就にはノーコメント貫く Soccer Magazine ZONE web 1月1日(金)22時9分配信

左サイドで存在感を発揮した前半

 1年前の元日に2ゴールを決めて、史上2チーム目の三冠達成を成し遂げた時のような輝きは見せられなかった。それでもガンバ大阪の日本代表FW宇佐美貴史は、2年連続で立った天皇杯決勝の舞台で、浦和レッズを相手に別格の存在感を放っていた。

今季のJ1リーグでは自己最多の19ゴールをマークしながら、10月以降は沈黙。タイトルの懸かったチャンピオンシップ決勝、そしてナビスコカップ決勝で も、宇佐美はエースとして期待を背負いながら不発に終わっていた。チームがいずれも優勝を逃したこともあり、ラスト一冠となるこの天皇杯に懸ける思いは人 一倍強く、年の瀬に入って見事に復活。準々決勝のサガン鳥栖戦、準決勝のサンフレッチェ広島戦と2試合連続で2ゴールを決めて、チームを元日決勝へと導い た。

迎えた浦和との決勝、前半4分にいきなり宇佐美が魅せる。左サイドでボールを受けると、ドリブルを仕掛けてペナルティエリア内に侵入。FWパトリックに ラストパスを通して決定機を演出した。同24分にも左サイドでのキープから、DF藤春廣輝にパスを通してパトリックの決定的なシュートにつなげる。

もっとも、本人が試合後に「僕自身の出来は全然良くなかった」と振り返ったとおり、その後はなかなかチャンスに絡めなかった。見せ場をほとんど作れない まま、後半31分にMF内田達也と交代してピッチを後に。ゲーム終盤の浦和の猛攻を、必死のディフェンスで凌ぐチームメイトの姿を、ベンチから祈るように して見つめた。

「前半はすごくいい形で裏で引き出せたり、チャンスも作れて。後半にギアを上げきれず、チームとして押し込まれる中でパト(パトリック)が1点を取ってくれた。やられる気はしなかったし、負ける気もしなかった。チームで上回れたと思います」

海外移籍のうわさも「ノーコメント」

 試合後は仲間の奮闘を称え、チームとしての勝利を強調していた宇佐美だったが、序盤に自身が起点となって作った二度の決定機が、浦和守備陣の警戒感をよ り高め、周囲の選手を生かす一因になったことは間違いないだろう。「終わり良ければすべて良しで片付けたくはないですけど、サポーターにも悔しい思いをさ せた中で、最後に喜ぶ光景が見られたのは良かったです」と、今季三度目のファイナルでようやく手にしたタイトルの味を噛みしめていた。

そんな宇佐美の去就を巡っては、現在、様々なうわさが飛び交っている。シュツットガルトをはじめ、ブレーメン、マルセイユ、PSVなどが獲得に乗り出し ていると報じられているが、天皇杯決勝後に報道陣から問われた宇佐美は「ノーコメント」の一点張り。「正月に家族と過ごして、そこからという感じじゃない ですか」と含みを持たせながらも、自らの去就については明言しなかった。

2シーズンで4つ目のタイトルとなる天皇杯連覇を置き土産に、日本が誇るアタッカーは愛するG大阪を離れて欧州再挑戦を決断するのか。今冬の宇佐美の動向からは、しばらく目が離せそうにない。

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