近い将来「J復帰」はあるのか? 自身の立場やチーム状況的に“あり得そうな選手”は

近年、日本人選手の海外移籍が増加し、低年齢化も顕著となっているが、それに伴って頻発しているのが、“出戻り”とも称される国内復帰である。

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昨夏の中山雄太、相馬勇紀(ともに町田)、三竿健斗、田川亨介(ともに鹿島)、川辺駿(広島)、森岡亮太(神戸)、本間至恩、二田理央(ともに浦和)らに続いて、今冬も荻原拓也(浦和)、橋本拳人、佐藤恵允(ともにFC東京)、伊藤達哉(川崎)、シュミット・ダニエル(名古屋)、奥川雅也(京都)、奥抜侃志(G大阪)、高嶺朋樹(札幌)といった面々が欧州リーグからJリーグに復帰し、即戦力として大きな期待と注目を集めている。この数はまだ増える可能性があり、さらに欧州シーズンが終了する今夏にもJリーグに復帰する選手は必ずいるはずだ。

すでに国内復帰が取り沙汰されているのが、元日本代表のGK中村航輔(ポルティモネンセ)だ。驚異的な反射神経を武器に柏の守護神として名を高め、2018年ロシアW杯メンバーにも選出された実力者。2021年1月にポルトガルのポルティモネンセへ移籍し、2022-23シーズンから正守護神として活躍して代表復帰も果たした。だが、今季は負傷による長期離脱もあって出番を失い、今年1月にポルティモネンセとの契約解除が報じられた。まだ29歳。頼りになるGKを探しているJクラブも多く、争奪戦になっているとも言われる。今後も欧州挑戦を続けるのか。それとも日本で再出発するのか。動向が注目されている。

同じく、小田裕太郎(ハーツ)も今冬時点で復帰が取り沙汰されている選手だ。神戸のアカデミー育ちで年代別代表の常連でもあったスピード豊かなアタッカー。2023年1月にスコットランドのハーツに移籍すると、2シーズン目の昨季は度重なる負傷離脱がありながらもリーグ戦25試合(スタメン10試合)に出場して5得点1アシストをマークした。今季も開幕直後は出番を得ていたが、昨年9月にハムストリングの負傷をすると、12月に戦列復帰3試合にベンチ入りしたのみで、年明けからはベンチ外が続いている。右ウイングを主戦場とし、身長181cmのサイズ感も魅力。まだ23歳と若いが、自身の能力が評価されずに出番を得られなければチームを変えるべき。国内復帰も悪い選択ではないはずだ。

ドイツで奮闘を続けている室屋成(ハノーファー)は、今夏にJリーグ復帰の可能性が大いにある。青森山田高、明治大を経てFC東京に入団し、抱負な運動量を武器に4年半プレーして日本代表にも選出された後、2020年8月にブンデス2部のハノーファーに加入した。ドイツでも右サイドバックのレギュラーとして活躍を続けてきたが、1部昇格は果たせずに2部でのプレーが続いており、今季も現時点で8位と微妙な順位となっている。ハノーファーにとっては必要な戦力であることは間違いないが、現契約は2025年6月まで。計算できる右サイドバック探しているJリーグクラブは多くあり、今年4月に31歳となる室屋がJリーグ復帰を選択する可能性は大いにある。

そして今季のチーム順位によって大きく状況が変わりそうなのが、ベルギー組である。多くの日本人がプレーしているベルギー1部リーグはプレーオフ制度が導入されており、現時点で下位2チームが2部降格(入れ替え戦で最大3チーム降格)となる「プレーオフ3」の圏内に、シント=トロイデン(14位、勝点25)、コルトレイク(15位、勝点20)が位置しているのだ。

日本企業が経営権を取得しているシント=トロイデンには現在、小久保玲央ブライアン、谷口彰悟、小川諒也、藤田譲瑠チマ、山本理仁、伊藤涼太郎、小森飛絢が所属している。現時点で「プレーオフ2」圏内の12位までは勝点差6であり、まだまだ逆転の可能性があるが、もし仮に2部降格となれば、他クラブへの移籍を選択する選手が出てくるはず。アキレス腱断裂による長期離脱中の33歳のDF谷口だけでなく、高い身体能力と強力な左足を持つ28歳の左サイドバックの小川、足元の優れた技術とパスセンスにシュート力も身に付けた27歳のMF伊藤は、年齢的にもベルギー2部でプレするのはナンセンスであり、他クラブからのオファーの中でJリーグ復帰も真剣に考えるべきだろう。

コルトレイクには、藤井陽也と角田涼太朗の2人のセンターバックが所属している。レギュラーとして絶賛活躍中の藤井は現在24歳で、187cmの長身を生かした空中戦だけでなく、優れたスピードでのカバーリングも評価される大型CB。チーム内での評価も高く、昨年6月に2028年までの4年契約を結んだことが報じられたが、2部降格となった場合にどうなるか。

一方、2024年1月にイングランド2部のカーディフへ完全移籍し、ベルギーのコルトレイクへレンタル移籍中の25歳の左利きのCB角田は、加入直後にレギュラー定着も負傷による長期離脱。今年に入って戦列復帰を果たしてスタメン起用もされているが、2部降格となれば選択を迫られることになる。藤井、角田ともにベルギー国内での移籍が大いに考えられるが、Jクラブとしても高い実力を持つCBは喉から手が出るほど欲しいところ。調査に乗り出すはずだ。

そのほか、町野修斗(キール)や藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)、三好康児(ボーフム)、常本佳吾(セルヴェット)といった面々の動向も気になるが、果たしてJクラブからのオファーは届くのか。今後、Jリーグが秋春制に移行すれば、さらに日本と海外との移籍が活発化することが予想されるが、それは決して「行く」だけではなく、「戻って来る」ことにも繋がるはず。今年も多くの元海外組が、Jリーグを盛り上げてくれるはずであり、今季の優勝争いを大きく左右することになるかもしれない。

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