【J1タイトルを狙うガンバ大阪。今季の最新序列を考察する(1)】問題は2列目。右利きのウェルトン、山下、奥抜をどう配置して最大値を引き出すか?……2列目が得点源に
2月14日の2025年Jリーグ開幕戦、ガンバ大阪対セレッソ大阪の「大阪ダービー」まで1週間。各クラブともチーム作りの最終段階に突入している。
■【画像】今季の布陣はいかに……「ガンバ大阪の2025年シーズンスタメン予想図」■
ガンバは沖縄キャンプで「より高い位置でのボール奪取と素早い攻め」という新たなテーマに取り組み、それを具現化させようとしている。その精度は徐々に上がっている様子だ。そこでチームのカギを握る今季攻撃陣をまずは分析してみたい。
最前線の1トップは、やはり宇佐美貴史が絶対的な主軸となっている。昨季は11月に右ハムストリング肉離れを負い、シーズンラストを棒に振ったが、今季は始動時から合流。キャンプ中のトレーニングマッチでもゴール前の鋭さを見せていた。
「ケガもなく、再発もなく来ている。大切なのは2月14日なので、そこに向かってどう進んでいくかということだけです」と本人も集中力を高めている様子だ。
その宇佐美が12ゴールを挙げた昨季並みの働きを見せることが、ガンバ躍進の絶対条件。もしも彼が不調に陥ったり、負傷で離脱するようなことがあると、一気に得点力不足に陥りかねない。そこが一番怖いところだ。
宇佐美依存に陥らないためにも、イッサム・ジェバリや栃木SCからレンタルバックした南野遥海が奮起する必要がある。昨夏、欧州から戻ってきた林大地がキャンプに帯同できず、実戦復帰までにかなりかかると見られるため、2人にかかる期待は非常に大きいのである。
■選手層が厚くなった2列目の行方は
一方で、2列目は日本代表経験のある奥抜侃志、超高校級ルーキーの名和田我空、ロアッソ熊本からレンタルバックした唐山翔自が加わったことで選手層が厚くなった。2月初旬の時点でウェルトンが練習に姿を見せておらず、開幕戦の出場が危ぶまれているが、彼がサイドの軸を担うのは間違いない。
その前提で見ると、右にウェルトン、左に奥抜、トップ下に山田康太というのが当面のファーストチョイスではないか。1月28日の浦和レッズとのトレーニングマッチでも右・ウェルトン、左・奥抜という形にトライしていた。
「僕もウェルトンも(山下)諒也君もみんな右利きで、左サイドがやりやすいと思うんですけど、うまくローテーションしながらやっていけるかなと思います」と奥抜は前向きにコメントしていたが、彼ら3人が両サイドで脅威を示せるような形を模索していくことになりそうだ。ファン・アラーノや唐山、最前線兼任の南野もサイドでプレーできる選手たちだが、ポヤトス監督はまず上記3人をベースにやりくりしていくだろう。
その中央に山田を置くか、名和田を置くかという選択肢になるわけだが、やはり実績・経験で秀でる山田がまずは重視されるのではないか。ただ、トレーニングマッチでは名和田も積極的に試されていて、高い位置でボールを奪うという今季の戦術を考えると、若くフレッシュな彼の方がいいという考え方もある。そのあたりは最後まで見極めが続きそうだ。
■2列目が得点源に
いずれにしても、今季のガンバはその2列目が得点源にならなければいけない。奥抜が「2ケタ取らないと日本代表復帰はない」と断言していた通り、そのくらいの高い数字を目指して貪欲にゴールを目指していくべきだ。そうしなければ、課題の得点力アップは叶わない。
昨季4点のウェルトンもチャンス数を考えれば2ケタに近い結果を残してしかるべきだし、トップ下の山田も4点は少なすぎる。昨季1点の山下、ファン・アラーノを含め、全体的に数字を引き上げ、多彩な形からゴールを取れる集団へと変貌を遂げられれば、もう一段階上の順位を狙えるはず。それはチーム全員の共通認識と言っていい。
ガンバはトルコ人FWデニス・ヒュメットの獲得に乗り出していると言われているが、その話が本決まりになったという報道はまだない。となれば、現有戦力で何とかしていくしかないのが実情だ。宇佐美は宇佐美で決定力を引き上げていかなければならないし、それ以外のアタッカー陣も現状維持では難しい。そういう危機感を持って、開幕を迎えてほしいものである。
(取材・文/元川悦子)