【J1タイトルを狙うガンバ大阪。今季の最新序列を考察する(2)】ダワンの穴埋めはネタ・ラヴィが一番手も、美藤倫の伸びしろにも期待。今季は最大の武器・堅守に磨きをかけられるか?
2025年のガンバ大阪にとって、昨季総失点35という堅守の維持、ブラッシュアップは非常に大きなポイントだ。
「今季はハイプレッシャーで相手陣内でボールを奪ってカウンターしようという狙いがあるので、多少それで失点が増えてしまうかもしれない」と守備の要・中谷進之介は神妙な面持ちで言う。
「だけど、やっぱり優勝しようと思うなら、やっぱり得点が必須。(ヴィッセル)神戸、(サンフレッチェ)広島を見ても、多少リスクを負って前からインテンシティを出してやっていくところは1つ、アップデートしたいところですね」とも彼は語っていて、何とか昨季水準の失点数を維持しつつも、得点力をアップできる術を模索していく構えだ。
となると、中盤は守備強度やデュエルの強さを誇るボランチの存在が必要不可欠だ。その役割を昨季担っていたのがダワン(北京国安)だったのだが、キーマンが去ったことで、ネタ・ラヴィ、美藤倫、倉田秋、ファン・アラーノのいずれかがやらなければいけない。
■昨季の4バックをベースに
1月28日の浦和レッズとのトレーニングマッチを見る限りだと、鈴木徳真とコンビを組んでいたネタ・ラヴィは悪くないパフォーマンスを見せていた。彼がダワンに近い重量感を中盤で示し、攻守の起点になってくれれば理想的だ。が、昨季も試合に出ていない時期が何回かあり、シーズン通して安定感ある仕事を見せるのは難しいかもしれない。
そこで期待値が高まってくるのが美藤。関西学院大学から加入2年目で、今年こそはレギュラー定着に燃えているはず。同期だった濃野公人(鹿島)が2024年Jリーグベストイレブンに輝いたのだから、負けじ魂に火がついたのは間違いない。美藤の成長は今季のガンバにとっても非常に大きな要素。もちろんベテラン・倉田やサイド兼任のファン・アラーノも闘争心をむき出しにしてくるだろうが、美藤は今季が真価の問われるシーズンになりそうだ。
守備陣の方は基本的には半田陸、中谷、福岡将太、黒川圭介という昨季の4枚とGK一森純がベースになるのは間違いない。ただ、半田がケガがちで不在の状況も多いため、右サイドバック(SB)は岸本武流の存在感が高まりそうだ。左SBも10代の頃、ポテンシャルを高く評価されていた中野伸哉にもう一段階、飛躍を遂げてほしいところ。本人もこれだけ控えに甘んじるというのは考えていなかったはず。ポヤトス監督の要求にしっかり応えられるようにメンタル・フィジカル両面を整えるべきである。
■守護神はハイレベルな競争
センターバック(CB)は三浦弦太のケガがまだ治らず、本格稼働は4月以降になると目されるため、やはり中谷と福岡に頑張ってもらうしかない。ただ、V・ファーレン長崎から加入して3年目の江川湧清、ジェフ千葉から移籍してきた佐々木翔悟の台頭も求められるところ。鉄壁の守備陣を形成していくためには、中谷らに依存しているだけでは難しい。新たなメンバーが活力をもたらしてほしいところだ。
守護神は一森に加え、ベテランの東口順昭、17歳の新星・荒木琉偉がいて、かなりハイレベルな競争が繰り広げられそうだ。特に荒木は17歳ながら、U-20代表のレギュラー格と位置づけられており、そのポテンシャルは鈴木彩艶(パルマ)にも引けを取らないと評判だ。そういう逸材がいるのは、ガンバの未来を考えると非常に明るい。アカデミー育ちの若い世代がどんどん出てくるような状況を作ってほしい。
いずれにしても、今季のガンバは昨季とあまり陣容が変わっておらず、ベースを維持しながら上積みしていくチームという印象が強い。だからこそ、1人1人がレベルを挙げ、より大きな存在感を示せるようにならないといけない。それが叶うか否か。まずはセレッソとのダービーをしっかりと見極めるしかない。
(取材・文/元川悦子)