【G大阪】美藤倫がリーグ初先発 結果には満足せずも「持ち味は出せた」半年苦しむも成長示す

<明治安田J1:京都2-2G大阪>◇22日◇第31節◇サンガS

ガンバ大阪MF美藤倫(22)が京都サンガF.C.戦でリーグ初スタメンを飾り、堂々としたプレーを披露した。

前節の浦和レッズ戦で途中出場してハイパフォーマンスを見せた美藤は、今季全29試合に出場してきたMFダワン(28)が出場停止で、MFネタ・ラビ(28)が負傷中ということもあって巡ってきた出番でその持ち味を存分に発揮。前半13分に好機の起点となると、同20分の先制点の場面では、クロスに飛び込んで相手DFを引き付けた。球際でのハードな守備や、受けてからの効果的な配球やダイナミックな動きでチームを活性化させた。大卒ルーキーのボランチは、自身の先発デビュー戦を「持ち味は出せたけど、チームが勝ててないので。まだまだできる部分があったし、もっとやらなきゃと思う。でも本当に楽しかったなっていうのが1番」と振り返った。

この試合で美藤は、巧みなターンで局面を打開する場面を何度も作った。ボールに寄ると見せて、パスを受ける瞬間に鋭く体を開いて左足で逆方向に持ち出す動き。これは自身の状態を判断するバロメーターでもあったという。「ああやってボールを運ぶのは得意なので、やっと出せている感じ。そこまでの余裕が出てきたなと感じている」。試合を重ねるごとに確かな違いを感じさせるレフティーは、充実した表情で話した。

プロ1年目のスタートから半年間は、苦しい時期になった。自身が積み上げてきたプレーがダニエル・ポヤトス監督(46)に思うように認められなかったからだ。指揮官はこの試合を前に「走り回りすぎて、オーガナイズの部分が足りていなかった。パウサ(休止)の時間も作れるようになってきた」と美藤を評価していたが、がむしゃらに走ることを得意としてた美藤は、指摘に苦しみ、反発したような動きもしていたという。「最初は動きすぎないというのがうまくいかなくて、またガーっと走って怒られて、みたいな。そんなことを繰り返してきた半年だった」。

しかし、あまりにうまくいかない時期が続いたことで「1回飲み込んでやってみよう」と意識を変えて取り組んでみた。すると、景色が変わるような違いを体感した。「フリーで受けられるなっていう感覚があるし、やりにくさはない。うまく動けているなっていう感覚が1番近くて、今ではこっちの方が楽だなと思うぐらい」。7月25日に出場したレアル・ソシエダードとの親善試合でそれまでと違う姿をピッチで見せて以降、進化は続いている。

U-15時代を過ごした京都との試合でリーグ初先発を迎えたことには、特別な思いもあった。「育ててもらったクラブであり、初めて挫折を味わったクラブでもある。ユース(U-18)に上がれなくて本当に悔しい思いをして、そこから見返してやろうとやってきた。あえてガンバに来たし、ここでしっかり自分が活躍して勝ちたいと思っていた」。チームの勝利にこそ貢献できなかったものの、背番号27は節目となる試合を、多くの人に確かな成長を示す機会とした。【永田淳

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