優勝は「5位」まで、「久保建英級エース」頼みのG大阪、柴崎岳「らしいプレー」も鹿島の問題、神戸「連覇」は【「優勝、降格は」2024Jリーグ終盤戦の大激論】(3)
いよいよ秋の声が聞こえはじめると、Jリーグも終盤戦へ。頂点を目指す優勝争いや生き残りをかけた残留バトルは、さらに激しさを増していく。各チームのこれまでの戦いを振り返るとともに、2024シーズン終了までの見逃せないポイントを、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が語り尽くす!
■G大阪5位は「宇佐美貴史のおかげ」
――現実的に考えて、首位のサンフレッチェ広島から勝点7差の5位ガンバ大阪までが、優勝を争う集団でしょうか。
大住「4位の鹿島アントラーズと5位のガンバは勝点48で並んでいるけど、両チームとも消化試合が1試合少ないから、実質的にトップと4ポイント差だとも考えられる。だから、鹿島とガンバも、まだまだ可能性はあると思うよ」
後藤「ガンバが上位にいるのは、とにかく宇佐美貴史のおかげだね。すごく頑張っているんだもん」
大住「今なら日本代表に入ってもいいくらいだよね。この間の中国戦で、久保建英か南野拓実の代わりにあのポジションに宇佐美が入っていたら、何点入っていたから分からないよ」
後藤「もっと昔からあれくらい一生懸命やっていれば、どんなすごい選手になっていたことか。中学生の頃に見て、これは日本を背負って立つすごい選手になると思って期待していたんだけどね。とにかく、今年の宇佐美はすごい」
大住「ガンバは本当に今の良い要因として1人の選手の存在が大きすぎるだけに、優勝まで到達するのは難しいかな、という感じはする。勢いによっては、という感じかな」
■鹿島「一番の問題」は佐野海舟の移籍
――鹿島はどうですか。
大住「シーズン半ばには、鹿島が上昇してくるんじゃないかと言っていたけど、時々ヨレヨレしちゃうんだよね」
後藤「そういう不安定さはあるよね」
大住「なんでなのかな。メンバーを見ると、不安定になるとは思えないような選手ばかりなんだけどな。非常にオーソドックスなサッカーを、きちんとやっている。右サイドバックの濃野公人の攻撃力は素晴らしいし、左サイドの安西幸輝だって、ポルトガルへの挑戦から戻ってきて、以前よりはるかに良くなったしね」
後藤「やはり佐野海舟がいなくなっちゃったことが、一番の問題でしょ」
大住「柴崎岳が出るようになっているけど」
後藤「持ち味が違うから、佐野の代わりにはならないよね。三竿健斗がどこまでできるか、かなあ。知念慶も素晴らしいけど」
大住「ケガしているのかな、ここ数試合出ていない」
後藤「問題はやはり、中盤だろうね。柴崎は素晴らしいパスをポンポン出すまでには、まだフィットしていない」
大住「柴崎ならでは、というプレーを見せてはいるけどね」
後藤「もっと見せてくれないとな、という感じ」
■「スーパーな選手がいる」神戸の連覇
――3位のヴィッセル神戸がするする上昇して連覇、という可能性はどうでしょう。
大住「ありえるよ」
後藤「可能性としては大いにアリだよ」
大住「非常に手堅いチームだし、監督も手堅いし」
後藤「それに大迫勇也というスーパーな選手がいるから。前にいてくれたら、いい加減なロングボールを蹴っても、何とかしてくれる」
大住「武藤嘉紀もすごく調子が良いし」
後藤「宮代大聖もね。川崎フロンターレにいた頃とは違い、点が取れている」
大住「アタッカー陣は、誰を使ってもいいという感じになっているよね。それに井出遥也や佐々木大樹といった選手が伸びて、攻撃陣がすごく良くなっている」
後藤「そもそもチーム力から言ったら、やはり優勝しないといけないチームだよ」
大住「第29節を終えた時点で首位と勝点3差というのは、非常に良いところにつけていると言えると思うよ」