代表OB絶賛…相手選手は「ついてこられへん」 164センチ“小兵”を「MVP」に推す理由【見解】
【専門家の目|安田理大】試合の入りから冷静沈着だった大岩ジャパン
大岩剛監督率いるU-23日本代表は現地時間7月24日、パリ五輪のグループリーグ初戦でパラグアイ代表に5-0と圧勝し、白星スタートを切った。相手が前半に退場者を出し、数的優位で戦えたものの南米1位に圧勝した。日本代表OBの安田理大氏はハットトリックまで“あと1歩”の2ゴールで勝利に貢献したMF三戸舜介をMVPに選出した。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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世界に立ちはだかったのは身長164センチの三戸だった。前半19分、MF斉藤光毅のスルーパスに反応したDF大畑歩夢が左サイドを切り崩し、中央へパス。これを受けた三戸は冷静に相手GKを見てニアサイドをぶち抜く先制点をマークした。
その後相手は退場者を出して日本は数的優位に。すると後半18分、今度は斉藤がペナルティーエリア内でドリブル突破し、クロスを上げる。ドンピシャの三戸がヘディングゴールを決めて2点目でリードを広げた。その後はMF山本理仁、途中出場のFW藤尾翔太が2ゴールと大量5点をゲット。難敵を下し、好スタートを切った。
後半の決定機を決めていればハットトリックも手にすることができていた。自身も2008年の北京五輪に出場した経験がある安田氏は、大活躍だった三戸を「MVPじゃない?」と推した。
「チームにとって初ゴールというのは一発勝負の大会、短期間の大会ですごく大きいと思うし、早い時間帯のあそこでゴールを決めた。決定力の高さを感じたし、すごく落ち着いていたと思う。結果的に2点を取って、その他にもチャンスがあって、もしかしたらハットトリックができたんちゃうか、と。前線に絡む機会も多かった。あえて1人選ぶなら三戸ですけど、今日は本当に全員がマン・オブ・ザ・マッチと言っても過言ではないぐらい。悪い選手を見つけるのが難しいぐらいみんな良かったと思いますね」
三戸は昨冬にオランダ1部スパルタ・ロッテルダムへ移籍。デビュー戦でゴールを挙げると、すぐさま右ウイングで主力の座を勝ち取り、18試合2得点と上々の内容で欧州1年目を終えた。自身もオランダ1部フィテッセでプレーした安田氏は小柄な体格も含めて欧州の舞台で培ってきた経験が生きたとした。
「身長もそんなに高くなくて“キレ”なタイプ。俺も実際そういうタイプでオランダに行った。向こうの選手は日本人のアジリティー、細かいステップワークについてこられない」
大岩采配もズバリ的中し、交代選手も躍動した。MVPに挙げる三戸の活躍を含め、ピッチ内外で一丸となって掴んだ勝利。安田氏は「解説者や評論家は悪いところも探していかないとあかんのかもしれへんけど、今日はシンプルに日本代表を称えていい」と絶賛していた。
[PROFILE]
安田理大(やすだ・みちひろ)/1987年生まれ、兵庫県神戸市出身。ガンバ大阪のアカデミー出身で2006年にトップチーム昇格。プロ1年目からデビューを飾り、2年目の2007年ではナビスコカップの「ニューヒーロー賞」を受賞。大会MVPも獲得した。2008年には北京五輪メンバーに選出。2011年からオランダ1部フィテッセでプレー。その後はジュビロ磐田、サガン鳥栖、ヴィッセル神戸、名古屋グランパスと国内を渡り歩き、韓国を経て、アルビレックス新潟、ジェフユナイテッド千葉、松本山雅FCとさまざまなクラブを経験。日本代表としては7試合に出場し1ゴールをマークした。