男子サッカー大岩監督に「3つの誤算」 5-0大勝発進も56年ぶり五輪メダルには懸念材料ばかり
アジア王者が五輪開幕戦で圧勝劇を見せた。
パリ五輪のサッカー男子が日本時間25日未明、27日の開会式に先立って計8試合が行われ、1次リーグD組の日本は、パラグアイとの初戦で5-0と大勝。勝ち点3をゲットした。
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序盤からパラグアイはラフプレーを連発。日本が1-0とリードして迎えた前半23分、J町田から英2部ブリストルへの移籍が決まった平河悠(23)が、パラグアイの背番号10を背負ったMFビエラに右足を踏みつけられ、10分後に自らピッチに座り込んで負傷交代。ビエラは一発レッドで退場に。1人少ない10人となったパラグアイは後半18、24分の連続失点で戦意喪失したのか、ファウルを繰り返して攻守のリズムを乱した。自滅するような形で日本の圧勝劇をアシストした。
日本は過去の大会で、初戦の勝利を弾みにして、2000年シドニー大会、12年ロンドン大会、21年東京大会で決勝トーナメントに進出している。
■佐野海舟の不同意性交事件で弟が代表離脱
チームを率いる大岩剛監督は、銅メダルを獲得した1968年メキシコ大会以来のメダル獲得を目標に掲げ、「金メダルを取りたい。選手にも伝えてある」と話している。幸先良いスタートとなったが、懸念材料はある。
本番前に誤算が相次いだからだ。
まずは「7月14日の日本代表MF佐野海舟(ドイツ1部マインツ)不同意性交事件」である。
このあおりをモロに受けたのが、佐野の実弟でオランダ1部NEC所属の航大(20)。バックアップメンバーに登録されていたが、急きょ外れることになった。
大会直前の規約変更によって「登録メンバー18人に加えてバックアッパー4人の計22人から試合ごとのベンチ入り選手18人を決める」ことに。選手起用の幅が広がり、航大の能力を高評価していた大岩監督にとって大きな誤算となった。
航大は「NECのクラブ事情によって五輪代表を離脱する」という“とってつけた”ような理由でフランスを離れ、横浜Mに所属するMF植中朝日(22)が、現地21日夜に五輪チームに合流するドタバタに見舞われた。
五輪代表実績が乏しい植中では、戦力アップにはつながらないとの見方もあり、大岩監督も頭が痛いのではないか。
■DF半田陸が負傷離脱、平河も負傷交代
そんな日本代表に追い打ちをかけたのが、G大阪のDF半田陸(22)の負傷による離脱である。
「22日の練習中に昨年骨折した左腓骨を再び故障した。左SBの先発要員としてチームの主軸を担っていた半田は、逆サイドの右SBも高いレベルでこなせる<使い勝手の良い選手>。代表に欠かせない選手です。代役としてドイツ2部のDF内野貴史(23)が緊急招集されたとはいえ、5月27日の独リーグプレーオフ以降はオフを過ごしており、フィジカルコンディションと試合勘に不安が残ります。大岩ジャパン発足以来、中心選手としてプレーしてきた半田の離脱は大きな痛手。誤算もいいところです」(元サッカーダイジェスト編集長・六川亨氏)
サイドアタッカーの先発要員・平河の負傷の程度も気掛かりな点だ。
■開幕前に「ロス五輪の代表監督は本当に大変」と…
大岩監督にとって、参加16カ国で唯一、オーバーエージ(OA)枠選手を招集できなかったことも誤算だった。あるサッカー関係者がこう言う。
「3人のOA枠を『使う』と断言していた大岩監督は、ドイツ1部のDF板倉滉とDF伊藤洋輝、ベルギー1部のDF町田浩樹、英プレミアのMF遠藤航、オランダ1部のFW上田綺世らから『OA枠招集に前向きに応じる』と内諾を得ていた。OA枠以外にもスペイン1部のFW久保建英、デンマーク1部のMF鈴木唯人からも五輪出場OKの言質を取っていた。これまで構築してきた選手との信頼関係を頼りに、実直に外堀を埋めていこうともくろんでいた。が、JFAの山本昌邦ナショナルチームダイレクターは、そんな指揮官の招集プランを知っていたはずなのに、しゃくし定規に所属クラブに直接招集レターを送った。所属先のクラブは基本的に主力選手の派遣には消極的。あの手この手で融通をきかせないといけないのに、山本ダイレクターの行動はかえって『拘束力のない五輪招集には応じない』と<拒否の口実>を与える結果となってしまった」
大岩監督は、開幕前に「(次の28年)ロス五輪の代表監督は本当に大変だと思います」と周辺に漏らしたという。真面目で礼儀正しいと評判の指揮官が、ピッチ外での相次ぐ誤算に心身をすり減らしているとしても不思議ではない。
2戦目のマリ戦は、日本時間28日の午前4時キックオフ。勝てば1次リーグ突破が決まるが……。
【大岩剛監督】相手に退場者が出たのでボールを支配する時間が長くなり、大量得点につながりました。ひとつひとつ勝つだけ。その先に決勝トーナメント進出があると信じています。
【主将のMF藤田譲瑠チマ】凄く大きい勝利だと思います。内容的にも良く、いい流れに乗れる。この勢いで次の試合に向けて良い準備をしていきたい。
【2得点のMF三戸舜介】初戦をしっかり勝ち切れたのは良かった。斉藤選手が(2点目のアシストとなる)クロスを上げる前から目が合い、ドンピシャのボールが来たので決めるだけでした。
【3点目を決めたMF山本理仁】家族が応援に来ている前でゴールという最高の形で勝利に貢献することができました。次の試合も全力で勝ちたいです。
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記事本文中にも登場する佐野について、母校・米子北サッカー部の周辺からは「あの無口で純朴な少年だった海舟が…」「何かの間違いでは…」といった声が聞こえる。周辺取材でわかった佐野容疑者のかつての「意外すぎた素顔」とは、いったいどんなものか。
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