【上位対決となった後半戦初戦で、痛み分けに終わった鹿島vsG大阪(2)】キャプテン・宇佐美は「ポジティブな勝点1」と前向き……堅守のガンバはいかにして得点力を上げていくか
今季J1後半戦スタートとなった26日の鹿島アントラーズ戦を0-0で乗り切ったガンバ大阪。敵地で勝ち点1というのは悪くない結果だろう。それはキャプテン・宇佐美貴史も指摘していた点だ。
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「まあ消耗戦というか、そういった感じは正直、否めなかったですし、日程もタイトな中で普段通りのサッカーをお互いに表現しきれなかった部分もあったと思う。それでも僕らとしては全然ネガティブになるような勝ち点1じゃない。むしろポジティブに捉えていいという話はチーム全体に言いました」と背番号7は試合後に語っていた。
前半25分に濃野公人の決定機を中谷進之介が体でブロックし、44分の仲間隼斗のダイビングヘッドを守護神・一森純が確実に阻止するなど、守備陣の安定感は目を見張るものがある。今季のガンバは総失点14とリーグ最少で、2失点以上したゲームはわずかに2。 「今回も純君のスーパーセーブに助けられた部分もありましたけど、基本的に失点しそうな雰囲気は今、どの試合もない。全員が体を張る中で守り切っているので、本当に守備に関してはいい状態」と宇佐美も強固な守備組織に自信をのぞかせる。
■得点数に「すごく責任を感じてます」
今季のガンバはご存じの通り、中谷が移籍加入し、一森もレンタルから復帰したが、彼ら2人がもたらす効果は絶大だ。後ろに安心できる人材が揃っているから、前線の宇佐美らも思い切ってアタックできる。そういった好循環が生まれているのは確かだろう。
だからこそ、もっとゴール数を引き上げたいところ。ここまでの総得点21はJ1で下から4番目タイ。最多得点者が7点の宇佐美で、その次が3点の坂本一彩。ウェルトンやイッサム・ジェバリ、ファン・アラーノといった外国人アタッカー陣の数字が伸びていないのが気がかりな点だ。
「得点数が少ないところは自分のすごく責任を感じてますし、もっと前にボールを入れていかないといけない。この試合もそうだけど、シュートまでいく形がほとんどなかった。今は試行錯誤しているところではあります。やっぱり自分を含めてゴール前で仕掛けていく回数、ゴール前に入って行く回数を増やさないといけない。外国人選手を含めて、持ってる力を出し切れていない部分があるのかなと感じています」
鹿島戦で宇佐美の背後に陣取った坂本は課題を口にしていたが、今のままでは「宇佐美依存」の印象は拭えない。宇佐美が5キロ減量などの肉体改造を行って、ハイパフォーマンスを維持しているのはガンバにとって非常に大きなプラス要素と言えるが、それだけでトップに立つのは難しい。後半戦は坂本、ウェルトンらを含めてアタッカー陣の得点力アップが至上命題だ。
■次戦への意気込み
「課題は最後の崩しであったり、カウンター気味になった時の最後の質、クロスの質。そのあたりがもう少しよくなれば、もっと点が入りやすくなるかなと。点が入れば守りやすくなるし、守備へのモチベーションももっと上がる。そこは伸びしろかなと思います」
宇佐美のポジティブシンキングがチーム全体に伝わり、得点力アップという形で具現化できれば理想的。さしあたって、30日の次戦・町田ゼルビアとの上位対決にフォーカスすることが肝要だ。
町田とは2月24日の今季開幕戦でぶつかり、1-1で引き分けているが、次はホーム・吹田での一戦。勝ち点3がマストだ。
「町田と神戸も引き上げたので、次、町田に勝つことができれば、この勝ち点1もすごく意味のあるものになる。そうなるようにしていきたいです」とエースが言うように、今こそガンバの底力を示すべき時。次戦が彼らの今後を大きく左右すると言っても過言ではない。 (取材・文/元川悦子)