【J1採点&寸評】G大阪×川崎|「攻め続けた川崎」と「カウンターを徹底したG大阪」。宇佐美と杉本がともに一撃 SOCCER DIGEST Web 5月16日(土)23時20分配信

ひとりで8本のシュートを放った宇佐美。今季10点目を叩き込むも…。

【試合内容】
序盤こそ川崎がボールを保持して攻勢を強めるも、G大阪が徐々に主導権を握り返すと、堅守からのカウンターが面白いように決まった。試合が動いたのは 43分。速攻でパトリックが競って、こぼれ球を阿部がシュート。一度はDFに防がれるも、宇佐美が素早く反応してゴール右隅に強烈な一撃を叩き込んだ。

後半に入ってもその構図は変わらない。川崎が果敢に攻め込む一方、G大阪はカウンターを徹底。両軍とも決定打を欠いて迎えた81分、左サイドを崩しにかかった川崎は、谷口のクロスに杉本が合わせて同点弾。結局、試合はそのまま痛み分けに終わった。

【チーム採点・寸評】
G大阪 6
中央を締めながら、ショートパスに的を絞った守備が機能。ボールを奪って速攻につなげる形がハマった。「堅守+カウンター」がこれほどハマる試合も珍しいが勝ち切れず。

川崎 5.5
中村をトップ下に配した4-2-3-1が上手く機能せず、森谷と中村のポジションを入れ替えてテコ入れを図る。さらに前半途中から3バックに変え、終盤に辛うじて追いついた。

【G大阪|採点・寸評】
GK
1 東口順昭 6
前半はボールの行方を目で追う時間が長く続いた。後半、レナトに強烈なミドルシュートを浴びるも素早く反応。杉本のヘディングにも身体は動いていたが、わずかに遅れた。

DF
4 藤春廣輝 6
スピードを活かした上がりでエウシーニョを牽制し、裏を何度か突いてチャンスも作り出した。一方で危険なスペースをそつなく埋めて、マークの受け渡しもスムーズだった。

5 丹羽大輝 6
素早い出足でインターセプトを狙い、身体を巧みに入れてボールを奪取。ラインコントロールに大きな乱れもなく、要所でピンチの芽を的確に摘んだ。

8 岩下敬輔 5.5
怪我の影響で本調子とは言えないコンディションながら、終盤、大久保を倒してカウンターの機会を潰した判断はさすが。ただ杉本への寄せがやや甘く、同点弾を許してしまった。

14 米倉恒貴 6
攻撃面でこれと言った見せ場は作り出せなかったが、一方の守備でも大きなミスはなかった。怪我からの復帰戦としては、まずまずのパフォーマンスと言える。

MF
7 遠藤保仁 5.5
26分のFKはバーをかすめて外れたが、的確なポジショニングで守備の穴を作らず。後半はボールを追う時間が増えたが、徐々にボールをカットする回数も減った。

13 阿部浩之 6
自陣の最終ライン付近から相手のエリア前まで何度もランニング。速攻時にもサポートを怠らず、先制点もその献身性から生まれた。

15 今野泰幸 6.5
シュートパスの多い相手に対して、得意の“縦に強い守備”でボールを回収。スライディングで大久保の突破を阻止するなど、一瞬の判断と洗練された技術が光った。

19 大森晃太郎 6
藤春の上がったスペースのカバーリングを怠らず、時に最終ラインの一角として対応。その運動量は目を見張るものがあったが、終盤は押し込まれて足が少しずつ止まった。

FW
29 パトリック 5.5
守備ブロックの合間でボールを受けて攻撃の起点に。先制点の場面でも、素早く裏に抜け出して相手のブロックを崩した。終盤はガス欠気味で存在感が薄れた。

39 宇佐美貴史 6.5
序盤に相手のミスを突いて立て続けにシュートを放つなど積極性な姿勢が光り、前半終了間際には先制ゴール。後半も要所で脅威となっていただけに交代は残念だった。

交代出場
FW
9 リンス 5.5
両軍の陣形が間延びし始めた頃に投入されたが、ボールに関与した場面は少なく、攻撃を活性化できなかった。

MF
11 倉田 秋 -
疲れの見える阿部に代わって出場。チームが押し込まれていたこともあり、攻撃の機会は少なかったものの、シュート2本と気を吐いた。

FW
24 赤嶺真吾 -
85分に投入されるも、チームは守勢に回っている状態で攻撃の機会はなかなか訪れず。プレー時間が短く、特長を発揮できなかった。

監督
長谷川健太 6
堅守速攻が機能し、後半の終盤までは思惑どおりの展開となった。宇佐美を下げるあたりまではよく耐えていたが、押し込まれる時間があまりに長く続き、終盤に追いつかれた。

敗戦のムードが漂うなか、チームを救った杉本のヘディング。

【川崎|採点・寸評】
GK
30 新井章太 6
自身のパスミスからピンチを招く場面もあったが、タイミングの良い飛び出しでカウンターを阻止。序盤からシュートを浴びて苦しんだが、懸命な働きで1失点に食い止めた。

DF
3 角田 誠 6.5
パトリックと激しくぶつかり合う肉弾戦では、吹き飛ばされそうになりながらも対応。1失点を喫したが、カウンターに細心の注意を払ってギリギリのところで攻撃を食い止めた。

4 井川祐輔 5.5
一瞬対応が遅れるシーンもあり、失点シーンでも宇佐美への寄せが間に合わず。ただ以降は身体を張って突破を許さず、後半は相手のシュートを4本に抑え込んだ。

18 エウシーニョ 5.5
14分には大胆な飛び出しで裏のスペースを突き、直後にはシュート性のパスでチャンスを演出。ただ崩した後のパス精度が低く、詰まった場面ではアイデアを欠いた。

20 車屋紳太郎 5.5
高い位置を取って仕掛けるも、なかなか阿部や米倉のマークを外せず。シュートフェイントからの突破は光ったが、崩しの局面でもう一工夫を加えたいところ。

MF
5 谷口彰悟 5.5
パス精度を欠き、ボールの運び役を担えないなどチームのブレーキに。ただ3バックの一角に変わってからやや精彩を取り戻し、杉本の同点ゴールをアシストした点は評価。

14 中村憲剛 6
トップ下でスタートしたが、チームのパス回しが安定せずに森谷と入れ替わってボランチに。潤滑油となってボールを捌いたが、中央を絞った相手の守備を最後まで崩せず。

19 森谷賢太郎 6
攻守のバランスを巧みに取りながら攻撃にも顔を出したが、相手のブロック前でパスを回す形に。いつものようにアクセント役となれなかったが、豊富な運動量で中盤を支えた。

FW
10 レナト 5.5
数人に素早く囲まれて、本来の鋭いドリブルは鳴りを潜めた。それでも強引にこじ開けようと奮闘したが、ギリギリのところで何度も食い止められた。

13 大久保嘉人 5.5
足もとで確実にボールを収めて時間を作るも、前半はシュートになかなか持ち込めず。終盤、一瞬のスキを突く素早い反転から左足の一撃も枠を捉え切れなかった。

15 船山貴之 5
頻繁にポジションを変えながら、動き回って相手のラインを下げようとするも肝心のボールが入らず。周りとの距離感や呼吸が合わず、脅威となれないまま前半のみでピッチを退く。

交代出場
FW
9 杉本健勇 6.5
終盤のカウンターでフリーとなるも、シュートはゴールの枠を捉え切れず。しかしその直後、谷口のクロスを頭で合わせて同点弾。途中出場の役目を果たして今季2ゴール目。

MF
6 山本真希 -
終了間際に攻撃を加速させるべく投入されたが、ボールに絡む回数も少ないまま試合も終わった。

監督
風間八宏 5.5
4-2-3-1でスタートするも機能せず「三回システムを変えた」(中村)。当初の思惑は外れたが、最終的に3-4-3で押し込む形を作り、81分に杉本の同点弾を導き出した。

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