【G大阪】藤春広輝の退団発表「今まで泣かなかったのになあ…」と涙 神戸戦ラスト、一筋13年
ガンバ大阪の元日本代表DF藤春広輝(35)が2日、大阪・吹田市内での非公開練習後、取材に応じた。
この日、クラブから契約満了による退団が発表され、クラブ一筋13年の大ベテランは、涙を流しながら胸の内を明かした。
「いつかは(退団が)来ると覚悟していた。13年という長い間(クラブに)いたので寂しいが、サッカー選手として試合に出ていないと、チームにはいられないのかなと感じた。それはしょうがない」
東大阪市生まれで、東海大仰星(現東海大付大阪仰星)、大体大を経て11年にG大阪入り。持ち前のスピードと無尽蔵の体力を武器に、1年目から左サイドバックで活躍。14年度の3冠獲得や、J2降格など多くの苦楽を体験。15年に日本代表入りも果たし、16年リオデジャネイロ五輪にはオーバーエージ枠で出場した。
「五輪やA代表、タイトルを取ったり、J2に落ちて、いろいろ経験をして濃い13年だった。すべての監督に心から感謝している」
西野朗、長谷川健太といった名監督の下、J1通算270試合8得点の数字を誇るが、近年はDF黒川圭介(26)の台頭があり、21年は19試合、22年は18試合、今季は1試合しか出番がなかった。
今季ここまで唯一の出場となった8月6日のアウェー川崎F戦は、フル出場して4-3という土壇場での劇的勝利を演出した。黒川の出場停止で巡ってきた代役だった。
「正直、自分がプロになって出た時より緊張した。走れるかなと心配したが、体はうそをつかなかった」
その川崎F戦の時点で、既に今季限りでの退団を予感していたという。当時はこう語っていた。
「これが最後という気持ちで俺はやっていた。G大阪のユニホームを着てプレーするのはラストかなと思い、涙も出た」
この日は約18分間の取材に応じたが、スタートから7分を経過したあたりで突然、言葉が出なくなった。約2分間の沈黙。その間は涙を流すだけとなり、「今まで泣かなかったのになあ…しゃべるとだめですね、(これまでのことが)思い浮かんでくる。きつかった」と、苦笑いした。
今後は他クラブで現役続行を希望している。「自分の中ではG大阪で(現役を)終わるのがベストだったと思うが、ここ1年半くらいはほとんど試合に出ていなかったので、まだまだやりたいという思いの方が強い」
今季最終戦となる3日のホーム神戸戦は、藤春にとってもG大阪でのラスト試合になる。約3万4000人の大観衆が詰めかける見込みで、背番号4は途中出場でサポーターに別れを告げる予定だ。