”A代表経由パリ五輪行き”を実現してほしいJリーグのヤングタレント5

”森保ジャパン”はここから二次予選、さらに元旦のタイ代表戦をへて、カタールで行われるアジアカップに挑みます。

二次予選とアジアカップに関しては、おそらく”欧州組”が大半をしめる、可能な限りのフルメンバーで行くと予想されますが、来年4月のアジア最終予選からパリ五輪を目指す”大岩ジャパン”は「A代表経由パリ五輪行き」を掲げており、A代表の常連である久保建英はもちろん、前回のGK鈴木彩艶に続く選手が出てくるか注目したいところです。

アジアカップに滑り込みも!”森保ジャパン”元旦のタイ代表戦のメンバーを考える。」では鈴木の他にFW細谷真大(柏レイソル)を選び「”森保ジャパン”23人のラストピースを個性と武器から考える。」では山根陸(横浜F・マリノス)をはじめ三戸舜介(アルビレックス新潟)、野澤大志ブランドン(FC東京)をチョイスしています。これらで取り上げられなかった選手を対象に、ピックアップします。

松木玖生(FC東京)

今年5月にアルゼンチンでU−20W杯を戦った”03ジャパン”の筆頭格とも言える選手で、2022年のAFC最優秀ユース選手賞に輝くなど、国際的な注目も高まっています。”大岩ジャパン”では2001年生まれの選手が中心であることもあり、メンバーに選ばれても、なかなか主力に入れず、大岩監督も期待込みで、あえて厳しい評価を言葉にすることがありました。

しかし、課題に向き合う姿勢が素晴らしく、持ち前のフィジカル的な強さに加えて、局面の状況判断にも磨きをかけているように思います。そうしたこともあってか、藤田譲瑠チマ、山本理仁(ともにシント=トロイデン)、福井太智(バイエルン)といった期待の欧州組を擁する”大岩ジャパン”の中でも徐々に序列は上がっているようです。

FC東京の主力というより主軸であり、Jリーグの出場時間はパリ五輪世代で突出したものがありますが、ボランチのポジションからでも1得点3アシストという数字をもっと伸ばしていくこと。また相手を見ながらのボールの動かしやゲームコントロールでチームに良い影響を与えていくことが”大岩ジャパン”のみならず、A代表基準での評価を上げるポイントになるはずです。

田中聡(湘南ベルマーレ)

松木と並ぶ中盤のホープで、ボールを奪う能力はパリ五輪世代でも随一でしょう。初めての欧州挑戦となったベルギーのコルトレイクで、加入当初こそ重用されて波に乗るかと期待されましたが、怪我で一度戦列を外れたのを機に監督交代などもあり、評価をつかむことができず。湘南で活躍して、また欧州に行くというのを目標に一念発起しており、残留争いの渦中にある湘南でも目立つ活躍を見せています。

目を見張ったのは首位のヴィッセル神戸との対戦。中盤の攻防で相手を上回るシーンも多く、球際をマイボールにして縦に速い攻撃のトリガーとして躍動。1ー1の引き分けに終わりましたが、湘南が勝ってもおかしくない内容でした。3ー5ー2のアンカーというポジションですが、左足のキック力でチャンスを切り開くこともできます。

”大岩ジャパン”はボランチにタレントが多く、同じ左利きの松木やキャプテンの山本、藤田、ブラジルでプレーする松岡大起(グレミオ・ノヴォリゾンチーノ)、A代表に選ばれた経験のある川崎颯太(京都サンガ)、横浜F・マリノスで主力を担う山根陸など競争は激しいですが、ボールを奪って縦につなげる力強さやダイナミックな展開力という武器を発揮していきながら、リーダーシップも期待されます。

大畑歩夢(浦和レッズ)

サガン鳥栖から浦和レッズに加入してしばらく、怪我の影響にも悩まされて、本来の能力をなかなか発揮できない状況が続いていました。それでも長く日本代表の主力を担ってきた同僚の酒井宏樹をして「歩夢はベテランのようなゲームを読む力がある」と言わしめるほど、観察眼や状況判断力はパリ五輪世代でもかなりハイレベルにあります。

浦和では明本考浩、荻原拓也などとの競争でベンチ外の時期もありましたが、腐ることなく励んできたことがマチェイ・スコルジャ監督の評価を高めて、シーズン後半戦の出場時間を伸ばす要因にもなっています。もちろん浦和は過密日程が続き、明本の怪我など、大畑が起用される外的な要因もありますが「紅白戦はセカンドチームの方が良いぐらいなので」と語るなど、チャンスをもらったからには試合で生かすという意欲にも溢れています。

スペシャリティは相手から位置的優位を奪えるポジショニングとビルドアップの能力、気が付けばスペースに走り込んでいるセンスなど。課題は厳しい局面でのフィジカル的なインテンシティーです。怪我なく順調に来ていれば、そうした部分も現段階で上がっていたかもしれないですが、ここから伸ばせる部分でもあります。”大岩ジャパン”にもようやく招集されるようになり、当面の目標はパリ五輪となりますが、浦和はACLの他にクラブ・ワールドカップというJリーグのライバルに無いアピールの舞台が待っています。そこでメキシコのレオンや欧州王者のマンチェスター・シティを相手に好パフォーマンスを見せれば、一気に道が開かれるかもしれません。

馬場晴也(北海道コンサドーレ札幌)

”森保ジャパン”にもいないタイプのディフェンシブなタレントです。センターバックとボランチの両ポジションをハイレベルにこなし、右利きながら左右のキックで後方から攻撃の起点になることができます。大岩剛監督が率いたアジア大会でも最後は韓国に敗れたものの、キャプテンマークを巻いてチームを統率しました。

ここからA代表はもちろん、個人として世界で飛躍を目指すのであれば、ボランチを主戦場にしていく方が良いかもしれません。ただ、札幌のように3バックをベースとしながら攻撃で4バックになっていくようなシステムだと、バックラインでも馬場の特長が生きてくるので、流れに応じて可変する現在の”森保ジャパン”ではサイドバックも選択肢になりえます。

東京ヴェルディの出身で、アンダーカテゴリーから代表の中心的な存在だった馬場ですが、膝の怪我により状況が大きく変わってしまいました。それでも諦めずにやってきたという馬場は札幌に加入した当時、攻守の切り替わりでの守備などで後手を踏んでしまうシーンもよく見られました。それでも常にリスクが隣り合わせの攻撃的なスタイル中で、リスクマネージメントの感覚を研ぎ澄ませており、アジア大会のパフォーマンスにも生かされていました。札幌でも発揮していませんが、実は強烈なミドルシュートも備えています。苦労の末に、ようやくJ1残留が決まった札幌で、フィニッシュに関わることも含めて、思い切ったプレーが期待されます。

半田陸(ガンバ大阪)

モンテディオ山形のアカデミーで育ち、2019年のUー17W杯ではキャプテンマークを巻き、現在”大岩ジャパン”の主力でもある鈴木海音(ジュビロ磐田)とセンターバックのコンビを組んでいました。そこから右サイドバックとして覚醒的な成長を遂げて、大岩剛監督もA代表の有力候補として名前をあげていました。

”第二次・森保ジャパン”の立ち上げとなった今年3月の活動で初招集。久保建英をのぞけば、バングーナガンデ佳史拭(FC東京)と共に最初の”A代表経由パリ五輪行き”のルートに乗った選手と言えますが、7月に左足の脛を骨折するという大怪我に見舞われて、Jリーグの戦線からも離脱していました。

復帰戦はいきなり大阪ダービー。試合には敗れましたが、ルヴァン杯でもマッチアップしたカピジャーバとのマッチアップは熱いものがありました。本当なら「アジアカップに滑り込みも!”森保ジャパン”元旦のタイ代表戦のメンバーを考える。」でもピックアップしたかったのですが、数試合のパフォーマンスを参考にしたため対象から外しました。しかし、J1の残り3試合でパフォーマンスを高めていけば、一度”A代表経由パリ五輪行き”ルードに乗っている選手だけに、森保監督が抜擢してもおかしくありません。

https://news.yahoo.co.jp/expert/authors/kawajiyoshiyuki

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