【代表4戦4発と驚異の決定力、中村敬斗の現在地(2)】左サイド筆頭・三笘薫をどう超えるか、森保ジャパンで生きる道……「走れない、守れない、戦えない」の烙印からの脱却
その中村敬斗だが、カナダ戦の後半11分、抜け出そうとした場面で相手DFアリスター・ジョンストンに背後からタックルを受け、左足首をネンザ。タンカで運ばれ、交代を余儀なくされてしまった。
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翌14日のトレーニングも不参加。状態が気がかりではあるが、代表離脱はせず、次戦の地・神戸に向かった。
今回は三笘も前田大然(セルティック)も不在。追加招集された奥抜侃志(ニュルンベルク)も体調不良で新潟遠征に帯同しておらず、左サイドの人材難が顕著。カナダ戦途中には南野拓実や旗手怜央(セルティック)がその位置に入ったが、中村敬斗がプレーできるなら次戦も使いたいというのが森保一監督の本音ではないか。
「敬斗については1試合ごとに成長しているし、貪欲にチーム戦術を吸収しながらよさを出すというところでいいトライをしてくれている。彼の特徴でもあるゴールに向かってプレーできる、決められるところを示してくれていると思います」と指揮官もカナダ戦後の会見で前向きな発言をしていたが、それだけ23歳の新星への期待値が高いのだ。
■「走れない、守れない、戦えない」の烙印
ただ、彼にも足りない部分はあるのは事実。ドリブル突破力や推進力という部分はやはり三笘に比べて見劣りするのは否めない。世界屈指のドリブラーと比較するのは酷かもしれないが、本人も「自分の仕掛けてタテにいけるようになりたい」と強調しているだけに、そこはブラッシュアップが必要。三笘や前田のようなスピードがない分、駆け引きや間合いを磨いていくことが必須テーマだろう。
「自分の武器はゴール前やペナルティエリア付近でのチャンスメーク含め、シュート・ドリブル・パスとかアイディアだったり、そういうもの。よりクロスに入っていくようなチャンスがあれば生かしたいですね」と9月シリーズの際、彼は自分自身が三笘とは全く異なるタイプのアタッカーだと評していた。
ただ、サイドにいる以上、どうしても打開力が求められてくるのも確か。現代サッカーのサイドアタッカーは敵を剥がして数的優位を作れるのがベースと言えるだけに、彼はその課題に徹底的に取り組むべきだ。
守備のハードワークや運動量、戦況を見極める目も磨ける余地がある。ガンバ大阪時代に宮本恒靖監督(現JFA専務理事)から「走れない、守れない、戦えない」と烙印を押され、U-23チームに落とされ、鍛え直されたという彼はもはや別次元の存在になっているが、もっと高い領域に上り詰めないと、三笘という高い壁を超えることはできない。賢い中村敬斗はその現実を誰よりもよく分かっているはずだ。
■26人から23人へのメンバー減
「僕は全然まだまだだし、ボーダーラインだと思っているので。(代表に)入るか入らないかはいつも危機感を持ってやっています。出た時にアピールできるかが大事だと思っているので、毎回100%でやっていく感じです。
アジア予選からメンバーが26人から23人に減るということで、この2試合はすごく大事。それプラス、チームに帰ってから11月までに4試合あるので、そこでのパフォーマンスも大事だと思います」
つねに先を見据え、努力しようとしている中村敬斗。今はプロキャリアの中で重要なタイミングと言っていい時だけに、ケガで長く離脱するような自体だけは回避したいところ。イケメンアタッカーが復帰し、ガムシャラにゴールに突き進む姿が見られることを切に祈りたい。