23歳・中村敬斗を成長させた2つの要因 驚異の決定力を作り出したG大阪時代と「伊東純也」【コラム】
日本代表は13日にカナダ代表戦に臨む
森保一監督率いる日本代表は10月13日にデンカビッグスワンスタジアムでカナダ代表戦に臨む。森保監督は体調不良で不参加のMF三笘薫の代役にMF中村敬斗を指名。国際Aマッチ3試合3ゴールの結果を残してきた中村は9月のキリンチャレンジカップ・トルコ戦(4-2)に続いて2試合連続でのスタメン出場となる。11月から始まる北中米ワールドカップ(W杯)予選を前に巡ってきたチャンスを生かし切れるか。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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肌寒さを感じる新潟の地で中村の表情は終始リラックスしていた。9月にベルギー・ゲンクで行われたトルコ戦では2ゴールをマーク。国際Aマッチわずか3試合の出場で3ゴールを記録している。左サイドは三笘という絶対的な存在がいながらも、少ない出場時間で結果を残してきた。日本代表の中でも圧倒的な決定力を誇る中村は、ゴールへの強い意識をのぞかせた。
「トルコ戦が45分、エルサルバドル戦も45分、代表経験は浅いほうだと思うので、これからカットインからのシュートとかゴール前のアイデアも増えると思う。チャンスをもらったことに感謝してやっていきたい。自分の形じゃなくても(点を)取れるようにならないとだめだと思うし、いろいろな形で点を取れれば幅が広がるので、カットインからのシュートには固執せずやっていきたい」
今夏、オーストリア1部LASKリンツからフランス1部スタッド・ランスに移籍。開幕から出番を増やすなかで9月17日のリーグ・アン第5節スタッド・ブレスト戦で初アシストをマーク。次節リール戦で初ゴールを記録した。チームメイトのMF伊東純也とはクラブでも両翼を担っており、中村も厚い信頼を寄せる。
「(ランスでは)伊東純也選手が右サイドにいて間違いなく突破がある。純也くんが突破したときに逆サイドからクロスに入る意識は前より強くなったと思う。1枚つぶれて僕のセカンドが絶対にあるし、そこが一番点を取れるタイミングだと思うので、一番のスプリントで入っていきたい」
今夏からチームメイトになった伊東。クラブの練習でも影響力は圧倒的だという。紅白戦でほとんどの選手はサブと入れ替わりながらプレーするのに、伊東は絶対に主力から変わらない。ランスでも監督の信頼を勝ち取り、外せない存在になっている。中村はその姿を一番近くで見ており、いい“お手本”にしてきた。
「純也くんと同じチームになって本当に良かった」。試合前には伊東の妻がおにぎりを渡してくれることもあるといい、慕っている。だからといって、日本人選手同士でずっといるわけではなく、「その距離感もいい」という。
伊東とプレーするようになって、得点感覚も磨かれた。より前へ、よりゴールへ向かう姿勢、伊東のスピードに対する意識、運動量も増えてきた。だからこそ日本代表でも3戦3発という決定力の高さを誇っている。そして、その正確なシュートはガンバ大阪時代にも土台がある。
17歳の時、三菱養和SCからG大阪でプロキャリアをスタートさせた。J1複数クラブの争奪戦となりながら、1年目の2018年に指揮を執っていたレビー・クルピ監督の存在や将来海外でプレーすることを視野にG大阪を選んだ。鳴り物入りで加入しつつも、18年夏から率いた宮本恒靖監督には厳しい言葉もかけられた。それでも、熱心に居残り練習を続けて、シュートの決定力を磨いた。中村が練習場から引き揚げてくるのはトップチームの選手が帰宅した後だった。海外クラブではコンディションを管理されるため、なかなか居残り練習ができない現状だが、中村は自身を作り上げた土台を信じて下を見ずにプレーしてきた。
今年に入ってから日本代表に4回連続で招集され、しがみついてきた。左ウイングには三笘という絶対的な存在がいるが、実は中村は全く気にしていない。
「まだまだボーダーラインだと思っている。危機感を持ってやっているし、出た時にアピールできるかが大事だと思うので、毎日100%でやっていく」。新潟のピッチで全力を尽くす中村の姿が必ず見られるはずだ。