【番記者の視点】G大阪、FW山見大登の同点ゴール呼んだ交代策の変化…主力からのギアチェンジに光明
◆明治安田生命J1リーグ 第25節 鳥栖1―1G大阪(26日・駅スタ)
【G大阪担当・金川誉】ドラマはラストプレーに残されていた。1点を追う中、いつ試合終了のホイッスルが鳴ってもおかしくなかった後半51分。MF山本のロングボールにFW鈴木が競り勝ち、山見が左サイドを抜け出した。スピードを殺さず、コントロールも失わずにゴールへの最短距離を突き進むトーン、トン、トーンの絶妙なタッチでゴールに迫ると、左足で鮮やかにネットを揺らした。
約3か月半ぶりの出場で、結果を残した山見は「開き直って、何も気にせずに自分の思うようにやろうと決めていました」と振り返った。やっと巡ってきたチャンスに自らの力を証明した山見の働きがチームを救ったわけだが、その前段階としてチームに変化を感じたシーンがあった。1点を追う後半21分、ポヤトス監督がFWジェバリをFW宇佐美に代えたシーンだ。
この交代はジェバリが負傷を抱えていた4月6日の川崎戦(後半18分交代)に次ぎ、2番目に早い時間だった。4月以降、出場停止を除くすべての試合で先発しているジェバリは攻撃の中心。一方でチームが主導権を握って相手を押し込む展開が続くと、ボールを持ちすぎる“悪癖”もある。指揮官は宇佐美投入の理由を「彼(宇佐美)はしっかりとボールに絡むことができる。彼がボールを受けて相手を引き出し、2対1の局面を作り出したかった」と明かした。この日は得点には結びつかなかったが、違うバリエーションの攻撃で鳥栖の守備をこじ開けようとした。
さらに後半38分には山見、MF石毛を投入し、同44分にFW鈴木をセンターFWに投入して宇佐美を中盤に下げた最後のオプションへ移行。結果、鈴木の高さと山見のスピードが同点ゴールに繋がった。好調のチームにおいて、ジェバリだけでなく信頼する中心選手を長時間プレーさせることが悪いわけではない。ただ今季、後半31分以降のゴール数はこの試合が2点目とリーグ最少で、交代カードを生かしたギアチェンジは課題だ。山見が新たな攻撃カードとしてアピールしたこの試合は、引き分けに終わったとはいえシーズン終盤への光明となる。