鹿島は「柴崎復帰」が頼みの綱? 戦力アップかダウンか、J1リーグ今夏に勢力図大きく変化も〈dot.〉

 その他、現在8位(勝点31)の広島は、広島ユース育ちの加藤陸次樹をC大阪から“強奪”する形で獲得した。泥臭く動き回るプレースタイルはすぐにチームにマッチするはずで、故障者続出の前線において貴重な戦力になる。その加藤を放出した5位(勝点35)C大阪は、J2で今季日本人最多の13得点を挙げていた藤枝のエース・渡邉りょうの獲得に成功した。得点力は加藤以上のものがあり、渡邉個人の飛躍の意味でも楽しみ。チームにフィットしてレオ・セアラとの強力2トップが機能すれば、加藤の放出も「悪くなかった」と言えるだろう。

一方、上位陣で戦力値マイナスと言えるのが、現在6位(勝点33)の鹿島だ。控えだったとはいえ、DFキム・ミンテとFW染野唯月の2人をレンタルで放出し、さらに右サイドバックの常本佳吾が海外(スイス)に移籍した。常本は本来ならば不動のレギュラーとして期待できる人材だっただけに、今後のチーム作りという意味でも方針転換を迫られることになる。ここで気になるのがMF柴崎岳だ。スペイン2部レガネスとの3年契約が満了と報道される元司令塔の復帰が叶えば、チーム全体の期待値を大きく上げることができるが、果たしてどうなるか。

その他、現在首位(勝点44)の神戸は、MFイニエスタとMFサンペールの元バルサコンビが退団した。現在のチーム戦術には合致しないとはいえ、戦力的にマイナスになることは間違いない。代わりの外国人補強が注目される。同じく現在7位(勝点32)の川崎も、MFチャナティップ、MF小塚和季、MF永長鷹虎の3人を放出した。レギュラーではなかったとはいえ、ここから優勝争いに加わるためには彼らに変わる新戦力を獲得したいところ。低迷を脱して復調した12位(勝ち点)のG大阪も人材は豊富だとはいえ、MF山本理仁がベルギーへ移籍したことでオプションの1つを失っている。

そして出入りが激しいのが、現在12位(勝点26)のFC東京だ。主力MF安部柊斗がベルギーに移籍したことが大きな動き。さらに今季リーグ戦未出場だったとはいえ、FWレアンドロとの契約解除もあった。その代わりにC大阪から実力派ボランチのMF原川力を獲得し、ポルトガルからFW田川亨介も復帰させた。

さらに京都から獲得したDF白井康介は両サイドバックでプレー可能な人材で、貴重な戦力になるはず。チーム内での連携を高める時間は限られているが、経験のある選手たちが多く、すぐに効果はあるはずだ。

下位チームに目を向けると、現在14位(勝点24)の新潟が大黒柱のMF伊藤涼太郎がベルギーへ移籍したことで大きなマイナスとなっている。一方、15位(勝点23)の京都は、ベルギーから191センチの長身FWの原大智を獲得し、新エース誕生に期待が高まっている。最下位18位(勝点13)の湘南は、エース・町野修斗のドイツ移籍が大きな得点力ダウンになるが、MF田中聡をベルギーから復帰させ、鹿島からDFキム・ミンテを獲得したことで守備陣の立て直しには期待が持てる。この補強が今後の残留争いにどう影響するのか。まだ移籍期間は残されており、今度の動向にも大いに注目したい。

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