すぐ行くべき? 海外クラブに推薦したいJリーガー5人。さらなるスケールアップに期待の実力者は

今や日本人選手の海外移籍は珍しいことではない。今夏にも伊藤涼太郎、町野修斗、小川航基らがJリーグから世界へと羽ばたいていった。そんな彼らに続くのは、果たして誰なのだろうか。今回は、海外のクラブでも十分に通用しそうな実力を持つJリーガーを5人紹介する。※成績は13日時点

MF:伊藤敦樹(いとう・あつき)

生年月日:1998年8月11日(24歳)

所属クラブ:浦和レッズ

今季リーグ戦成績:20試合2得点3アシスト

リカルド・ロドリゲス元監督に才能を見出され、浦和レッズ加入1年目から公式戦50試合以上に出場した伊藤敦樹は、その後も勢いを落とすことなく成長を続けている。指揮官がマチェイ・スコルジャに変わった今季は、ここまでリーグ戦全試合に出場中。天皇杯では2戦連続で決勝ゴールを奪っており、チームに欠かせないピースとしてサポーターに笑顔をもたらしている。

身長185cmという恵まれた体格を誇る伊藤は、攻守においてダイナミックなプレーを連発する、まさに最高のボックス・トゥ・ボックスだ。視界にとらえた獲物は逃さない激しいボール奪取でピンチの芽を摘み取れば、勢いのまま一気に前線へ飛び出していき、決定的な仕事を果たし続ける。とくに、上記した天皇杯にも言えるが、“ここぞ”という場面での勝負強さは光るものがある。

浦和で絶対的な地位を築き上げ、今年6月には追加招集という形でサッカー日本代表に初選出され、デビューも果たした伊藤。次なるステップは、やはり海外挑戦ということになるだろう。今年で25歳になることを考えても、いつ決断したとしても不思議ではない。

FW:細谷真大(ほそや・まお)

生年月日:2001年9月7日(21歳)

所属クラブ:柏レイソル

今季リーグ戦成績:20試合6得点0アシスト

元日本代表DFの井原正巳監督率いる柏レイソルは、リーグ戦20試合を消化した時点で16位と残留争いで苦しんでいる。そんなチームにおいて唯一とも言っていい希望が、パリ五輪世代屈指のストライカーである細谷真大だ。今季のJ1でワースト2位の得点数(17得点)に留まる柏の中で、下部組織出身の21歳はチーム最多の6得点をマークと孤軍奮闘を続けている。

昨年にJリーグ・ベストヤングプレーヤー賞を受賞した細谷は、国内屈指の万能型FWである。ゴールへの嗅覚に優れていることはもちろん、裏へ抜け出すタイミングが抜群で、受け方も巧いため、ボールを収めてからシュートに至るまでが早い。それに加え、身長177cmと特別大柄なタイプではないものの、簡単には当たり負けしないパワーも備えているため、あらゆる面で存在感を放つ。

今夏には、横浜FCの小川航基と湘南ベルマーレの町野修斗がそれぞれ欧州に旅立った。彼らと同じく、Jリーグで結果を残す細谷にも同じ期待がかかるのは、当然のことと言えるだろう。よりレベルの高い舞台で飛躍することができれば、その後のパリ五輪や日本代表での活躍にも繋がるはずだ。

DF:藤井陽也(ふじい・はるや)

生年月日:2000年12月26日(22歳)

所属クラブ:名古屋グランパス

今季リーグ戦成績:20試合1得点2アシスト

名古屋グランパス下部組織出身の藤井陽也は2019年にトップチームへ昇格した。そこからしばらくは出場機会に恵まれず、出ても不安定なプレーでアピールできずにいたが、昨季に長谷川健太監督の元で主力に定着すると、試合を重ねるごとに逞しく成長。満を持して迎えた2023シーズンはさらにパフォーマンスレベルが向上し、3月には追加招集ではあったがサッカー日本代表にも選出された。

身長は187cmと世界基準から見ても申し分なく、現在22歳とポテンシャルも確かだ。地上・空中問わず対人戦で強さを発揮するだけに留まらず、見た目には似合わぬ機動力と優れた危機察知能力を活かしたカバーリングや鋭い読みでも相手のチャンスをかき消してしまう。スピード感のある現代サッカーに求められるDF像と言え、もともと定評のあった名古屋の守備は藤井の台頭でより強固となった。

同じポジションの先輩・吉田麻也は名古屋から世界に羽ばたき、日本代表の大黒柱となった。そしてアカデミー時代の同期でもある菅原由勢は、現在ヨーロッパで著しい成長を遂げ、日本代表の主力に定着しつつある。さらなるスケールアップのために、藤井が欧州を意識しない理由はないだろう。

MF:渡辺皓太(わたなべ・こうた)

生年月日:1998年10月18日(24歳)

所属クラブ:横浜F・マリノス

今季リーグ戦成績:20試合1得点0アシスト

ケヴィン・マスカット監督の元、J1連覇に向け順調な歩みを見せる横浜F・マリノスで非凡な活躍を披露しているのが渡辺皓太だ。2019年夏に東京ヴェルディから加入して以降しばらくは途中出場がほとんどだったが、徐々にチームへ馴染むと、昨季後半戦から見事なパフォーマンスを継続。今季はここまでリーグ戦全試合に出場と、確固たる居場所を築き上げている。

渡辺は優れた戦術眼と技術を兼ね備える最高のリンクマンだ。最終ラインからボールを引き出して前を向けば、機を見たドリブルや意外性とアイデアに溢れるパスで前線を活発化させる。アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウス、エウベル、西村拓真という破壊力のある攻撃陣の能力を引き出し、余すことなく活かす上で、渡辺という男の存在が中盤には欠かせないのだ。

身長165cmと小柄だが、ピッチ上で体格のハンデを感じさせることは少ない。球際での競り合いでそう簡単に負けず、ボールホルダーを潰しきる守備も目立つ。MFとしての能力は申し分ないだけに、マリノスの小さな巨人が海外でどこまで通用するのか、ぜひ確認したいところだ。

DF:半田陸(はんだ・りく)

生年月日:2002年1月1日(21歳)

所属クラブ:ガンバ大阪

今季リーグ戦成績:19試合1得点1アシスト

21歳の半田陸は年代別代表の経験が豊富なエリートで、未来のサッカー日本代表を背負っていかなければならない逸材だ。下部組織時代から過ごすモンテディオ山形でプロデビューを飾り、今季より活躍の場をガンバ大阪に移した。これが半田にとって初のJ1挑戦となったが、トップカテゴリーでも実力を遺憾なく発揮しており、ここ最近の好調を支えている。

現代のサイドバックには運動量や走力だけでなく、多くのものが求められている。半田はその“多くのもの”を兼ね備えている選手だ。特筆すべきはIQの高さだろう。計算されたポジショニングでビルドアップをサポートするだけでなく、コースとタイミングが絶妙な縦へのランニングで攻撃を活性化させる。1対1の駆け引きも上手く、粘り強さも相まって簡単には自由を与えない。

半田は今夏のハーツ(スコットランド1部)移籍が噂されたが、どうやら破談になった模様。いずれにせよ、すでに海外から注目されるレベルに達していることは間違いない。欲を言えば、その類稀なセンスとインテリジェンスを欧州5大リーグで見てみたいところだが。

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