欧州行きを狙う『宇佐美、柴崎、山口』。噂に挙がるドイツ勢から、それぞれの最適クラブを探る SOCCER DIGEST Web 11月25日(水)6時0分配信

成熟度を高めた宇佐美には、左サイドが人材難のフランクフルトも面白い。

 19歳でバイエルンに移籍した頃に比べ、技術的にも精神的にも成熟度を高めた宇佐美が、仮に二度目のブンデスリーガ挑戦に臨むなら、失敗する理由を探すほうが難しい。実際、そのポテンシャルは折り紙付きで、数多くのクラブが興味を示している。

戦術的な相性の良さを感じさせるのは、噂に挙がっているシュツットガルト。攻撃意識がすこぶる強いチームで、仕掛け/崩しの局面では複雑な連係プレーよ り、アタッカーの個人能力に拠る打開を図るケースが多い。退団の噂があるオーストリア代表のFWハルニク、ドイツU-21代表のFWヴェルナーが去るよう なら、宇佐美はポストワーカーのギンチェクと組む2トップの即戦力として重用されるはずだ。

より真価を発揮できそうなクラブを挙げれば、ヴォルフスブルクか。グスタボとギラボギという“ボール回収役”を2ボランチに据えており、シュツットガル トよりアタッカーの守備負担が少ないからだ。つまり、宇佐美が攻撃のためにパワーを蓄えられる環境が整っているのである。

しかも、ボール支配率が高く、相手を押し込む展開が多いため、前線の選手にとっては腕を見せどころが非常に多い。起用されるとすれば、開幕から人選が固まっていない4-2-3-1の左ウイングだろう。

シュツットガルトとともに噂の移籍先に挙がっているフランクフルトも面白い。基本システムは4-2-3-1で、やはり左ウイングが人材難。チームに同胞の長谷部がいるのも小さくないメリットとなりそうだ。

柴崎の移籍先には、ハノーファーも推奨できる。同胞の清武がいるのもメリットだ。

 11月上旬に浮上した噂の移籍先、フランクフルトは柴崎にとって悪くない新天地候補だろう。同じゲームメーカータイプのライナルツが精彩を欠いているうえ、この元ドイツ代表の代役を担いうるパサーが事実上不在だからだ(長谷部は現在、右SBのファーストチョイス)。

フェー監督は4-2-3-1の2ボランチに司令塔と守備的MFを並べる意向の持ち主。ライナルツが不振から抜け出せないようなら、来年1月に獲得予定の新戦力にゲームメークの大役を委ねても不思議はない。

戦術的な観点から見れば、ハノーファーも推奨できる移籍先だ。新天地の水にうまく馴染むようなら、奪ったボールをつなぐのが不得手という課題を抱えるチームの救世主的な存在となるかもしれない。

また、トップ下には攻撃の最終局面で大きな違いを作り出している清武が君臨しているため、自身の長所を知るこの同胞が3列目から飛び出す得意のプレーを上手く引き出してくれそうだ。

純粋にセントラルMFの手駒不足に陥っているのは、武藤が所属するマインツ。新戦力のフライと主将のバウムガルトリンガーが揃って負傷欠場したブンデスリーガ11~12節は、本職がDFのハラを2ボランチの一角で起用する窮地に陥っていた。

山口がフィットしそうなのは、「量」で相手を凌駕しようとするチーム。なかでも、ダルムシュタットは狙い目だ。

 柴崎よりボール奪取力が高く、無尽蔵のスタミナを備える山口がすんなりとフィットしそうなのは、激しい運動量をベースに「量」で相手を凌駕しようとするチーム。ブンデスリーガではハンブルクやマインツ、ヘルタ・ベルリン、ダルムシュタットなどが当てはまる。

もっとも、ハンブルクはスウェーデン代表のエクダルやチリ代表のディアスが先発から外れるケースがあるほどボランチの層が厚く、マインツも山口と同じ ハードワーカーのバウムガルトリンガーがキャプテンとして君臨しているため、レギュラーの座を奪うのが容易ではない。ヘルタ・ベルリンに関しては4位と躍 進中で、チームに手を加える必要がない状況だ。

唯一、ダルムシュタットはレギュラー獲りの難易度がさほど高くなさそうだ。2ボランチを務めるゴンドルフとニーメイヤーは、開幕から13試合連続先発中 と代えの利かない存在となっているが、32歳の後者は試合終盤のスタミナ切れが顕著。フル出場は13試合中6試合に留まっている。25歳と脂に乗る山口が このベテランに取って代わってもおかしくない。

同胞のボランチである細貝がかつて活躍したアウグスブルクも、山口がレギュラー争いに割って入る余地はある。セントラルMFコールのパフォーマンスの波 が小さくないからだ。2ボランチを組むのは司令塔タイプのバイアーで、山口にとっては良い補完関係を築くには打ってつけのパートナーとなる。

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