【FC東京】アルベル監督の理想が理想のままで終わる可能性も。アウェーのG大阪戦で是が非でも白星を掴みたい
GKスウォビィクが目立つということは…
2022年1月、FC東京の新体制発表会の席でアルベル新監督は自身の哲学(ポジショナルプレー、ポゼッションサッカー)を浸透させるうえで、以下のようなことを言っていた。
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「最初の6か月は苦しむ時間が続くでしょう。いろいろと試して、調整するので。6か月経ってようやく新しいチームのコンセプトを理解したうえでプレーできます。ただ、ミスは継続的に起こります。それを1年間続けたのち、2シーズン目は良いスタートが切れると思います。そのプロジェクトが3年続けば、3年目はより良いパフォーマンスを披露できる」
その2シーズン目の今季、FC東京はJ1リーグの16試合を消化して5勝4分7敗の12位(首位の神戸と勝点14差)に甘んじている。多摩川クラシコで久しぶりに川崎から白星を挙げたかと思えば、神戸、横浜FMにいずれも2−3で敗れるなど不安定な戦いを続けており、勢いも感じられない状態だ。
天皇杯の2回戦で福島に勝ったとはいえ、続く6月11日のG大阪戦(アウェー)で負けるような事態になれば……。チームの士気が下がる可能性がある。
今季は何よりGKスウォビィクの活躍が光るが、これこそ問題に映る。守護神が目立つということはそれだけピンチの数が多いとの見方もできるわけで、実際、今季J1リーグでのここまでの失点数はワースト6位タイの「25」と厳しい結果だ。中村、バングーナガンデと左右のSBを怪我で欠くアクシデントがあったとはいえ、それでも不甲斐ない数字である。
ピリッとしないのは攻撃陣も同じだろう。主砲のD・オリヴェイラが7ゴールを決め、新戦力の仲川が徐々にフィットしてきたが、全体的にはまだ仕掛けや崩しの局面でチグハグさが目立つ印象だ。昨季チーム得点王のアダイウトンは絶不調で、開幕直後は異彩を放った高卒ルーキー・俵積田も左サイドからのカットインを相手に読まれてから苦戦中と、打開力に優れたふたりも振るわない状況なのである。
昨季よりも縦へのスピードは感じるが、それでも怖さが足りない。例えば中盤の3人がより積極的にシュートを打つなどしてゴールへの意識を高めないと、攻撃へのこだわりが強いアルベル監督の理想が理想のままシーズンを終えてしまう可能性もある。松木や俵積田など若手を抜擢する采配は目を引くも、肝心の結果を残さないと少なくとも求心力は低下するだろう。
まずはアウェーのG大阪戦。ここで勝ち星を掴んで、リーグ後半戦に向けて弾みをつけたい。