ガンバ再興への道|ポヤトス監督の“ロマンチック”なチャレンジがいよいよ限界点に。今季の大きな分岐点は…[番記者の見解]

ミスの連鎖も。まさに泥沼

ガンバ大阪が苦境に陥っている。14試合を消化し、1勝4分9敗。目下5連敗中で最下位に沈む。西の雄は巻き返せるのか。報知新聞社の金川誉記者に見解をうかがった。

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G大阪、そしてダニエル・ポヤトス監督のロマンチックなチャレンジが、いよいよ限界点に近づいてきた。

14試合を終えてわずか1勝。クラブが掲げる『攻守に主導権を握る魅力的なサッカーで勝利を追求する』というスタイル構築に向け、開幕から主導権を握って攻める戦いを一貫してきたが、クラブは歴史的な低迷を続けている。

ポヤトス監督は「スペースを支配する」ことに重きを置く。ボールを握り、選手の立ち位置で相手陣内にスペースを作り出し、その場所に共通理解のもとにボールを送ってチャンスを作る。

文章にすれば簡単だが、これを敵のプレッシャーを受けるなかで実行する作業は、決して簡単ではない。それでもシーズン序盤は確かに変化の芽は見えていた。

しかし結果が出ないなかで、数々の問題点が浮き彫りになった。ボールを支配してもゴール前では迫力と精度を欠き、カウンターやセットプレー、自陣でのミスなどで重ねた失点はすでに30を数える。

「試合をコントロールできていたが……」と毎試合のようにポヤトス監督は苦渋の表情を浮かべる。勝てないことで生じた迷いはプレーから鋭さを奪い、判断の遅れ、さらにミスの連鎖も招く。まさに泥沼だ。

それでも指揮官は、自身の考えを貫こうとしている。それは契約時、クラブから中長期的な狙いを持って、攻撃的なスタイルのチーム作りを託されたことが理由のひとつだ。

当然、勝利は最優先だと強調するが「目の前の勝点を取りに行くのか、将来的にタイトルを目ざせるチームを作るのか、2つの選択肢がある。たとえば目の前の勝点を取るために、リスクを冒さず、やることを変えて、その先に何が残るのか」とも語る。

まず守備に人数をかけて、というアイデアを選択するつもりはなく「ロマンチックなことを言っているように聞こえてしまうかしれませんが、サッカーはファンのためにあると思っている。チームのサッカーを見て、楽しんでいただきたい。このスタイルは選手も楽しめると実感している」と自身にも言い聞かせるように語る。

汗かき役が減った陣容で課題が露呈

ここで今季の編成に目を向けると、伝統的にフィジカルよりボール扱いに長けた選手が多いことに加え、新加入のFWイッサム・ジェバリ、MFネタ・ラヴィという外国籍選手もボール保持のなかで特長が出やすいタイプを集めた。

DF半田陸は高い強度を発揮しているが、チーム全体として強度面が持ち味、という選手は特に中盤より前には少ない。昨季はゴール前でFWパトリック(現・京都)の存在が大きく、中盤ではMF齊藤未月(現・神戸)の労を惜しまないプレーが終盤にかけてチームを支えた。

しかしチームのために走るのをいとわなかった汗かき役が減った陣容で、クロスに飛び込む人数が不足、攻守の切り替えで後手に回るなどの課題も露呈している。

また、多国籍な外国人選手が最大5人(ジェバリ=チュニジア、ダワン、ファン・アラーノ=ブラジル、ネタ・ラヴィ=イスラエル、クォン・ギョンウォン=韓国)もピッチに立つ状況も、言語の問題で細かい意思疎通が進んでいかない理由にも映る。

MF石毛秀樹らポジショニングに優れた選手の起用で何とかバランスを取ろうとする苦心が見られるが、まだ現時点ではその最適解は見えてこない。

今季、Jリーグでは開幕から出遅れた鹿島が伝統のスタイルに立ち返り、横浜FCも守備に軸足を置いたスタイルにシフトチェンジして浮上した。G大阪も昨季途中、松田浩監督(現・J3宮崎)のもとでソリッドな4-4-2に転換して守備ベースの戦いで勝点を積み、残留にこぎ着けた。

しかし現状のチームを見ると、鈴木優磨ら馬力ある2トップで前線からの圧力を発揮する鹿島や、昨季J2を制した3バックに回帰した横浜FCのように、確固たる立ち返る場所があるわけではない。

ポヤトス監督は自身のポリシーを貫く覚悟で「ロマンチックな部分と同時に、あとはどんな選手がいるか。フィジカル的にそこまで強くなくても、ボールを持つのが上手い選手たちと自分はよく戦ってきた。ガンバ大阪の選手たちに、アトレチコやアビスパ福岡のような戦いが合うとは思っていない。私はクラブから与えてもらった選手と戦う。このクラブには、自分の考えと合う選手が多くいると思っています」とうなずく。

今季、神戸が首位を走るように、欧州にならってフィジカルの要素が強まる傾向があるJリーグの中で、ロマンを貫いた先にある未来を見ていたい思いはある。しかし、プロの世界ではタイムリミットがあるのも現実。これ以上結果が出なければ、J1残留を最優先とした現実路線に、クラブが舵を切る可能性は十分にある。

残り少ないチャンスを活かし、ロマンを追い続けることができるか。ここが今シーズンの大きな分岐点と言えるだろう。

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