【J30ベストアウォーズ】ベストゴールのボレー・オーバーヘッド部門はFWエムボマ
Jリーグの開幕30周年記念イベントが15日に都内で開催され、「ベストゴール」が6つの部門に分けて発表された。
▽ボレー・オーバーヘッド部門
FWエムボマ
97年4月12日J1ファーストステージ開幕節ガンバ大阪-ベルマーレ平塚
【復刻】1997年(平9)4月13日付日刊スポーツから
エムボマ劇場が、スーパーゴールで幕を開けた。観客の驚嘆、歓声がスタンドを支配。これぞ、世界最高峰の技術だった。「あんなゴールは生涯初だ。自分でも興奮して覚えていない」。試合後のエムボマの鼓動が激しい。
序曲は、松波のパスから始まった。受けたエムボマ自らがドリブル突破。DFに囲まれると、右足のつま先でボールを浮かす。さらに左足のつま先でも浮かせてDFをかわす。そして、そのボールの落下点で左足を振り抜いた。その間に体は1回転。究極の個人技で、J初得点をもぎ取った。
「左斜め45度のシュート角度は得意。あとはテレビを見ながら解説しないと」というエムボマ。「あれは日本人では不可能。世界でもレオナルド(元鹿島)くらいでしょう」と松波も舌を巻いた。
ナビスコ杯でも5試合4得点の活躍。だが、本拠地万博では未勝利だった。その謝罪の意味も込めて、試合後はユニホームを観客にプレゼント。前日11日に入園式を済ませた長男ヨハン君(3)も、スタンドで大喜びだ。クゼ監督(44)は「観客と選手に勇気を与える最高の白星だった」と評した。
今季から万博での勝利給が5万円増の25万円になり、「エムボマのおかげ」と、最終ラインを守り抜いた新人斎藤も感謝だ。ナビスコ杯予選敗退のG大阪には、何より結果が欲しかった。それが実現、加えて「チーム一丸」という副産物をもたらせた。
6日にはカメルーン代表として、W杯アフリカ予選のジンバブエ戦に出場した。1-0で白星に貢献し、9日に再来日したばかり。それでも「この強行日程も慣れてしまえば平気」という。愛称“浪速の黒豹(くろひょう)”は、やっぱり史上最強の助っ人だった。
◆パトリック・エムボマ 1970年11月15日生まれ、カメルーン出身。シャトール、パリSG、メス、パリSGを経て、今季からガンバ大阪入りした現役カメルーン代表。185センチの大型FWで、左足のシュートには威力がある。趣味はゴルフでベストスコアは96。家族はエステール夫人に2子。推定年俸は7000万円。185センチ、85キロ。血液型はO。
※所属、年齢などは当時のもの