浦和スコルジャ監督はなぜ2トップを試した? 試合中の4-2-3-1システム回帰も説明
G大阪戦に3-1で勝利
浦和レッズは、5月14日に行われたJ1リーグ第13節ガンバ大阪戦に3-1で勝利した。前半にFWブライアン・リンセンとFW興梠慎三の2トップを試すも機能性は十分でなかったが、後半にシステムを戻した。それでもマチェイ・スコルジャ監督は「いろいろと試したいと言っていたが、そのうちの1つがこの形だった」と、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝を終えての新たなフェーズにチームが入っていることを形で示した。
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浦和は昨季時点でACL決勝進出を決めていたことから、今季就任のスコルジャ監督もこのビッグタイトルを意識。まずはシーズン前半のヤマ場として、多少の保守的なメンバー固定傾向の起用もしながら、成熟度を高めていく手を打った。その結果として、5月6日のACL決勝第2戦でアル・ヒラル(サウジアラビア)に勝利して3回目のアジア制覇を達成。指揮官が「新たなこともやっていきたい」と話していたものの1つとして、リンセンと興梠を2トップに起用する4-4-2でG大阪戦をスタートした。
しかし、その機能性はあまり高まらなかった。当初から「ダブルボランチは『8番』が2人のイメージでいきたい」と、よりミドルゾーンでゲームに絡む2人の並列関係を理想としていたが、このゲームの前半でMF岩尾憲とMF安居海渡のコンビが見せたプレーはどちらかと言えば『6番』が2人のような感じになった。前線と後方が分断傾向になってしまったことで、せっかくの2トップも孤立傾向になって、1-1のスコアで迎えたハーフタイムの交代を伴って4-2-3-1に戻すに至った。
スコルジャ監督は「この形でプレーするとやりにくい部分があるだろうと予想していた。今日の対戦相手はJリーグでポゼッションの最も高いチーム。そして我々は十分な時間、練習できたわけではない。ですので、特にこのシステムにブライアンが順応するのが大変だろうとは思っていた。ブライアンを交代したのはパフォーマンスではなく、この形が上手くいかなかった。練習を積んで上手くできるようにしたい」と話した。
公開練習では5バックで守備を固め、1トップ・2シャドーを行かすシステムもテスト
一方で、そのシステム変更から後半は躍動感を取り戻した。ボランチでのプレーは下がりすぎていた安居も、交代でMF伊藤敦樹が入ってトップ下に配置されたことで基本ポジションを高くしながらゲームに関わった。プレスも上手くハマり始め、後半の立ち上がりに立て続けのセットプレーを得たところから二次攻撃で勝ち越しゴール。さらにハイプレスから奪ったボールから安居が決めて3-1と勝負を決めた。スコルジャ監督は「ACL決勝のあとはいろいろと試したいと言っていたが、そのうちの1つがこの形(前半の4-4-2)だった。ほかにもアイデアはあるので、それもチェックしたい。でも、結果を第一に考えながら、それをやらないといけない」と話す。
一方で、戻る形があるという点においてゲームキャプテンを務めた岩尾は、「長い時間をかけてやってきたシステム、後半のような形も当然、自分たちの1つのベーシックなやり方としてありますけど、それだけじゃないところも作っていくのは、チームとして非常に大事。その中で試して負けて終わるのと、そういうところにトライして、しっかり結果を残すのは全然違うと思うので、今日は後者のほうで結果を得られた。こうやって、自分たちもできたというところを続けていけるようにしたい」と、反省点の多かった前半も前向きに捉えた。
公開トレーニングの中では、まだ公式戦では披露されていない5バックで守備を固めつつ攻撃で1トップ・2シャドーを生かすシステムを導入したこともあった。まだ手のうちにカードを持ちつつ、その熟練度も高めようとしているスコルジャ監督だが、結果とバリエーションの増加を両立しながら戦っていけるのかの手腕に注目が集まる。