「魅力的だけど、難しいんじゃないかな」宇佐美貴史がJリーグの秋春制移行を考える「何チームかを置いていく判断はできない」

「多くの積雪に見舞われるチームは『どうすんの?』」

日本サッカーが変革期を迎えるのか――。

Jリーグが「外部環境の変化をきっかけに、最適なカレンダーを考える」ため、年をまたぐ“秋春制”に移行する考えを明らかにした。

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外部環境の変化には、アジア・チャンピオンズリーグが2023-24大会からシーズン移行を実施するほか、クラブワールドカップが32クラブに拡大される点、インターナショナルウィンドウが2026年に「9月2試合+10月2試合」から「9-10月4試合」へ統合される点などを挙げている。

シーズン移行後のカレンダーは、現時点ではまだ素案の段階で、様々な視点での検討を進めていくことを前提に、開幕は7月最終-8月1週頃とし、12月3-4週頃まで開催、ウインターブレイクを挟み、2月1-2週頃から再開し、閉幕は5月最終-6月1週頃としている。

すでにファン・サポーターの間で大反響を呼んでいるこの大胆な変革案を、他でもない選手はいったいどう捉えているのだろうか。かねてより秋春制を取り入れている、欧州でのプレー経験もある宇佐美貴史に尋ねた。

「メリットはパフォーマンスが出しやすくなるとことですよね。夏場のゲームは本当にきついので。パフォーマンスが向上するし、良いピッチコンディションというか、良い状態でプレーさせてもらえるってなるのは選手としてはありがたい」

しかし、当然メリットだけではない。今季からガンバ大阪の主将に就任した31歳は、表情を引き締め、「移行するには、全チームをしっかりリスペクトした判断をしないといけない」とも主張する。

「やっぱり札幌や新潟とか、冬に多くの積雪に見舞われるチームに関しては、『どうすんの?』と。トレーニングができないとかになってくるので。そういうチームをしっかりリスペクトした判断ができれば、魅力的なアイデアではあると思いますけど……。結論としては難しいんじゃないかなと思います」

現状、Jリーグから欧州クラブに移籍する場合は、すでに日本でシーズンを戦ったうえで、身を寄せることになり、トータルで丸1年以上戦うことに。古橋亨梧ら日本人5選手が在籍するセルティックを率いる、アンジェ・ポステコグルー監督は以前、「アジアでのフルシーズンをこなしたばかりの選手たちの負担が過多となる」と口にしていた。

その課題は、Jリーグが欧州仕様となることで改善されるが、宇佐美の頭の中ではデメリットがメリットを上回るようだ。

「欧州の移籍の時期にしっかり合わせられるのは、ヨーロッパと同じ流れで進めるこのアイデアの魅力のひとつだと思います。だけどやっぱり、何チームかを置いていくような判断はできないと思うので、難しいかなとは思いますね」

宇佐美はJリーグに対し、全チームをリスペクトした共存共栄の判断を求めている。

取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

https://www.soccerdigestweb.com/

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