【番記者の視点】大阪ダービー4連敗 何かが足りないG大阪 思い出す松田浩前監督の言葉
◆明治安田生命J1リーグ 第11節 G大阪1―2C大阪(3日・パナスタ)
【G大阪担当・金川誉】試合は支配した。チャンスもつくった。しかし、何かが足りなかった。G大阪は、負けてはいけない試合で負けた。C大阪を敵陣に押し込み、何度もゴール前に迫ったが、得点は1点のみ。2度のカウンターから2失点を喫した。ポヤトス監督が「90分、チームはよかったと心から思っています。結果以外は」と語るのは理解できる。しかし記者として、大阪ダービーに敗れた試合を「内容はよかった」と書くことはできない。
試合から一夜明けた4日。G大阪は公開練習を行い、ポヤトス監督は次節・名古屋戦に向けて取材に応じた。当然、取材の大半はC大阪戦の振り返りに。試合直後の会見でも「スタイルを変えず、貫いていきたい」と宣言した指揮官に「細部の微調整が必要な部分は」と質問した。すると「アイデアを改善していく中で、攻撃は背後への動き。守備はアグレッシブさ、コンタクトの強さが必要。ここ2、3年間ずっと下位にいることからみても、改善していかなければいけない。本当に自分たちの小さなミスで失点、敗戦があるので、気をつけていかないといけない」と返ってきた。失点シーンで言えば、相手に体をぶつけて自由に走らせない、などディティールの積み重ねが不足していることを挙げた。
指揮官が掲げる「攻守に支配する」スタイルの構築は、確実に前に進んでいる。J1残留だけを目指して守備的に戦った昨季終盤とは、まったく違うチームになった。しかし毎試合のようにわずかなミスで敗れているように、細部への意識は上がっていかない。
ポヤトス監督はこの問題について「瞬間、瞬間の責任を、一人一人が持つ必要がある」と話した。この言葉を聞いて、思い出したのが昨季途中から指揮を執った松田浩前監督(現J3宮崎)の言葉だ。「目の前のワンプレーにすべてをかける」。J2降格が迫っていたチームを残留に導いた前指揮官が強調し、チームに求めたものだ。どんなスタイル、戦術であろうと、サッカーで勝敗を分けるのは「目の前のワンプレー」という事実は不変。薄れつつある昨季の“遺産”をもう一度掘り起こすことが、立て直しへの近道ではないだろうか。