横浜FM藤田譲瑠チマ、U―22ベルギー戦を終え「サッカー楽しいものだなって」ミランの選手も刺激に
U―22日本代表はドイツとベルギーと戦い、1分け1敗で欧州遠征を終えた。ここまで中盤の主軸とされてきた横浜FMのMF藤田譲瑠チマはドイツ戦はベンチスタート。2―3と敗れたベルギー戦は先発出場でキャプテンマークを託された。フル出場したベルギー戦では、改めて「世界の高い基準」を味わった。
「やっぱり90分間出てみると、サッカー楽しいものだなって認識することができた」 実感の込められた言葉だった。横浜FMでは、リーグ戦途中出場3試合と、思うように出場機会をつかめていない。「プロ4年目で、正直焦りはある。とにかく試合に出たくて出たくて仕方ない」と、もがき苦しんでいることは明らかだった。パリ五輪代表入りも、試合に出場しなければたぐり寄せることはできない。そうした状況で挑んだ欧州遠征。「もうやるしかないです」とかける思いは並大抵ではなかった。
ベルギー戦は前半、3バックで圧力をかける相手に屈し、後手に回った。ミス絡みで2失点。普段から積極的な発信でチームを引っ張る藤田も、流れを変えることができないまま45分間が過ぎた。「自分たちのポジショニングの問題もあったけど、相手の態勢が崩れたシーン、サイドの選手が後ろ向きで持った時にもっと勢い持っていければ、あんな簡単にサイドからいかれることはない。立て続けに失点して、自分たちの気持ちも少し後ろ向きになってしまった。もう少し自分の声とかで落ち着かせて、バラバラにならないでできれば良かった」。
反省の言葉が並んだ前半。それでも後半は吹っ切れた。日本は3バックに、対してベルギーは4バックに変更。再び対応力が求められたが、後半開始に投入された東京V時代の同僚であるMF山本理仁(G大阪)と息の合ったプレーを発揮。ピッチ内でフォーメーションに関する意見を叫ぶなど、少しずつ”らしさ”を取り戻した。藤田は2点目のアシストをするなど、一時は同点に追いついたが、結果は終盤の失点で2―3と敗戦。「自分たちのミスからまた失点して。後半は勢い持って自分たちの強みは出たと思うし、逆にああいう弱みもわかってきた」。厳しい結果を突きつけられたが、悔しさと次につながる収穫を得た90分間だった。
何より藤田に大きな刺激を与えたのは、同じ背番号8をつけたベルギーの選手だった。アステル・ヴランクスはACミランでプレーする20歳。「正直そこしか見てなかった。本当にレベルが高かったので、早く追いつけるように、負けないように、まだまだ強くならないといけないなって目標ができた」。
自チームでのもどかしさや悔しさをピッチでぶつけ、改めて決意した。「1回1回の遠征で世界を知ることができて、本当に貴重。基準が一つ上がったので、そういったものを無駄にせず、腐らずにできたらいいなって思う」。横浜FMのボランチは、渡辺皓太、喜田拓也、さらにU―20世代で存在感を示す山根陸らと、J1屈指の層の厚さ。ピッチに立つことは簡単ではないが、欧州で得た代えがたい財産を糧に不断の努力を重ね、自分と向き合っていく。