日本一熱いJリーグ「大阪ダービー」を点取り屋・播戸竜二が語る〈関西発 月イチ! SPORTS〉
30周年を迎えたサッカーのJリーグで、「一番熱い戦い」とも称されるのが、G大阪とC大阪が激突する「大阪ダービー」だ。数多くの代表選手に彩られてきたライバル対決は、G大阪がリーグ戦で23勝7分け14敗とリード。今季初の顔合わせとなる26日のルヴァン杯を前に、両クラブで活躍した元日本代表FW播戸竜二さん(43)が、魅力や期待を語った。(岡田浩幸)
1990年代の「ダービー」は観客8000人
1998年にG大阪に練習生として入団し、翌年にはダービーに出場した。ただ、観客は約8000人。93年のJリーグ開幕時から所属する「オリジナル10」のG大阪に対し、C大阪は95年に参戦し、「当時は特別なライバル関係ではなかった印象」という。
しかし、他クラブへの移籍を経て再びG大阪に戻った2006年、状況は一変していた。「05年に両クラブがリーグ優勝を争い、G大阪が初制覇したのが大きかったと思う。サポーターは『C大阪には絶対に負けるな』というムードで、メディアも対決をあおる。欧州の名門同士のダービーのようで、大阪にとってもJリーグにとってもいいなと思った」と振り返る。
印象深いのは06年9月、当時の本拠地・万博競技場での対戦。自身で2得点を挙げ、「観客は2万人以上。ピリピリした感じもあって、ゴールを決めると紙吹雪が舞った。本当にいい雰囲気だった」。大阪ダービーは複数得点の試合が目立つのも特徴で、「ともに攻撃的な志向があり、サポーターも『1点で満足するな』という空気を作っている」。大宮に所属していた時代に浦和との「さいたまダービー」も経験したが、「大阪ダービーが日本で一番激しく、熱いと思う」と語る。
ミラノより大阪の方がライバル関係が強い?
コロナ禍で無観客となったり声出し応援が禁止されたりした。「無観客の試合を見た時、やはりサポーターがいてこそと感じた。今季はコロナ前に近い形に戻り、負けられない雰囲気でダービーができるのは、選手にとって幸せ」と話す。
海外サッカーに精通し、ACミランとインテル・ミラノによる「ミラノダービー」も現地で観戦した。「同じスタジアムが本拠地で、ミラノでは家族の中で好きなクラブが分かれることもあると聞く。大阪はサポーターが南北の地域で分かれ、家庭内で応援するクラブが違うケースは少ないと思う。ミラノよりもライバル関係が強いんじゃないかな」
日本サッカーの発展には、大阪ダービーの熱狂が欠かせないと考える。「直近6年のJ1は横浜Mと川崎の神奈川勢が優勝を分け合ったが、関西勢が絡まないとリーグは盛り上がらない。大阪の2クラブが優勝を争う中でダービーを戦うのが理想。子どもたちが『この舞台に立ちたい』と思うようなダービーを重ねていってほしい」と期待を込めた。
(※ヤマザキナビスコ杯は「ナビスコ杯」、YBCルヴァン杯は「ルヴァン杯」、アジア・チャンピオンズリーグは「ACL」と表記します)
ばんど・りゅうじ 兵庫県姫路市出身で、1998年にG大阪に入団。札幌、神戸でプレーし、2006~09年にG大阪、10~13年にC大阪で活躍した。鳥栖や大宮などを経て、19年に現役引退。現在は日本サッカー協会のアスリート委員などを務める。J1通算325試合出場87得点。
車いすテニス トップ選手集結
車いすテニスの国際大会「ダンロップ神戸オープン」が、4月6~9日に兵庫県三木市の三木総合防災公園で開かれる。東京パラリンピック女子シングルス銀メダルの上地結衣(三井住友銀行)、今年の全豪オープン男子シングルスで準優勝した小田凱人(ときと)(東海理化)らが出場予定。1993年から開催され、国枝慎吾さんも優勝経験がある伝統の大会で、上地ら同県出身の選手らが中心となり大会を運営してきた。入場無料で、主催者は「世界のトップ選手のプレーを間近で見るチャンス。競技の魅力を感じてほしい」としている。
コラム 福島あゆみの「いい日になりました」…考えすぎの迷路を抜けた
2月のブレイキン(ブレイクダンス)全日本選手権で2連覇してインタビューに答えていたら、涙が出てきました。人前で泣けないタイプなのに、自分でもびっくり。気づかなかったけど、精神的にしんどい部分があったのかな。
「ミスやうまくいかないことにおびえていた」と話していた時でした。数え切れないくらいバトルをやってきて、やればやるほど感じる怖さがある。10年前なら前に向かう気持ちだけでできたけど、今は考えすぎてダンスが硬くなったり、欲が出てわけが分からなくなったりすることもある。新しい動きをどれだけ練習しても、自分を信じられないといいダンスはできない。迷路に入り込んだ時期が長かったから、「やっと乗り越えられた」と自然な感情が出たんだと思います。
決勝では昨年の世界選手権でミスした新技を1ムーブ目で入れました。ぴょんと跳んでから右肘を床につける動きで、志村けんさんのギャグをイメージして「アイーン」と名付けた技。完璧ではないけれど奇麗に決められて、全日本ではやりたいことができた。少しは成長できたかな。
ただ、翌週の国際大会はすぐに負けちゃった。全日本の前から違和感があったのに無理したからか、首を痛めてしまい、以前の大けがに似た症状で「うわー」って落ち込みました。
でも、立ち止まってはいられない。パリ五輪が来夏に迫り、代表争いが本格的に始まりました。ブレイキンでは初めてのこと。この大会後、友人の外国人選手と1週間ほど一緒に過ごして練習していたら、「このプロセスを楽しめたら、やる意味があるんじゃないの」っていう話になって、私も頑張ろうと前向きになれました。楽しいと思えないとしんどくなる。忘れちゃだめだなと強く感じます。
ふくしま・あゆみ 京都市出身。ダンサー名「AYUMI」で活躍し、2021年世界選手権で初めて金メダルを獲得した。39歳。
(関西発 月イチ! SPORTSは、次回の4月から、アーバンスポーツに特化して様々な話題を掲載します。