このままだとヤバい…。Jリーグ、大苦戦する5チーム。開幕5試合を終えた現状とは
明治安田生命J1リーグが開幕し、各チームは5試合を消化した。ヴィッセル神戸が首位を走り、3チームが2ポイント差で追う上位争いが注目を集める一方で、なかなか勝ち点を積み上げられずに苦しむチームも多い。開幕からつまずき、このままではまずいチームを紹介していく。
順位:16位(勝ち点3)
成績:0勝3分2敗(6得点11失点)
監督:ダニエル・ポヤトス
開幕節は土壇場で勝利こそ逃したものの、ガンバ大阪は2得点を奪って期待を抱かせた。しかし、その後も勝利を掴めないまま時が過ぎていく。ダニエル・ポヤトス監督を招聘して臨んだ今季は、5戦未勝利という結果で最初のインターナショナルマッチウィークによる中断期間を迎えている。
昨季は怪我でほぼ稼働できなかった宇佐美貴史も含め、半田陸やネタ・ラヴィといった能力の高い選手も加わり、決して残留争いをするような戦力ではない。しかし、ポヤトス監督が目指すサッカーを選手たちに浸透させるにはまだ時間がかかるのかもしれない。呼吸が合わない場面が散見され、合わせようという苦心がボディーブローのようにチーム全体の負荷となり、試合終盤に失点して勝ち点を落とす試合が何度もある。
YBCルヴァンカップで今季唯一の勝利を手にしているが、これは相手の京都サンガが大きくメンバーを落としていたことを考慮しなければいけない。リーグ戦ではヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島といった守備強度の高い相手にことごとく苦しみ、主導権を手放している。まだ29試合を残していると考えることもできるが、3季連続の残留争いは近づいている。
●柏レイソル
順位:17位(勝ち点2)
成績:0勝2分3敗/3得点8失点
監督:ネルシーニョ
昨年8月6日の京都サンガ戦で勝利を収めて以来、柏レイソルはリーグ戦で勝てていない。15試合連続未勝利で、その期間は225日に達した。今季は最下位の1チームしか降格しないレギュレーションであることを加味しても、降格の危機にあると言ってもいいだろう。
4バックを導入して今季の開幕を迎えたが、刷新された最終ラインは開幕からミスが目立つ。勝てていない状況に対するメンタル的な影響もあるのか、肝心な場面で足が止まってしまっていることも多い。第4節の名古屋グランパス戦では3バックに変更して臨んだが、3失点を喫して敗れた。
2得点を挙げている細谷真大も出場した2試合ノーゴール。チームも直近3試合は得点がない。19日のサンフレッチェ広島戦でベールを脱いだフロートが本領発揮となれば柏の攻撃力は格段に上がるかもしれないが、ネルシーニョ監督は昨季後半から抱えるディフェンス面の問題をどう解決するのだろうか。
●横浜FC
順位:18位(勝ち点1)
成績:0勝1分4敗(5得点13失点)
監督:四方田修平
旋風を巻き起こすアルビレックス新潟とは対照的に、同じ昇格組の横浜FCは最下位に沈んでいる。開幕節では名古屋グランパスを相手にボールを保持して試合を進めたが、仕上げの精度を欠き一撃に屈した。その後もボール保持率で上回ることができる試合はあるが、決して試合の主導権を握っているとは言い難い内容が続く。
2021シーズンに横浜F・マリノスのヘッドコーチを務めたジョン・ハッチンソンをコーチとして招聘し、ボールを保持して主導権を握るスタイルを浸透させようとしている。ボール保持率で見れば今季はリーグ2位の58.7%だが、1試合平均の被シュート数16.8本もリーグワースト2位(4節終了時)。ボールを失った後に奪い返すことができず、ピンチを招くシーンが頻発。失点数は5試合にしてリーグワーストの13を数える。
第2節で主将のガブリエウが負傷で長期離脱を余儀なくされ、守備の要が不在の直近3試合でチームは10失点を喫している。リーグトップの4得点を挙げている小川航基がJ1でも結果を残していることは希望だが、守備を整備しなければ浮上することは難しい。
●川崎フロンターレ
順位:14位(勝ち点5)
成績:1勝2分2敗(4得点5失点)
監督:鬼木達
川崎フロンターレは過去6年間で4回優勝し、近年のJリーグを牽引する存在となっていた。しかし、昨季は2017年の鬼木達監督就任以来初の無冠に終わり、今季もここまで5試合で1勝しかできていない。これまでは三笘薫や田中碧、守田英正といった主力の海外移籍という窮地を乗り越えてきたが、今が最大の正念場と言っていいだろう。
ゲームを支配して圧倒するべく、今季はサイドバックの山根視来や佐々木旭を中央に絞らせてボール保持の局面で中盤に数的優位を作る新たな形に挑戦している。しかし、これがまだ浸透しておらず、不用意なボールロストは増加。さらに、谷口彰悟が抜けた最終ラインはジェジエウ、山村和也、車屋紳太郎が相次いで離脱するというアクシデントに見舞われた。
不用意なボールロストからカウンターを受けるシーンも多く、主導権を握れずに得点を奪えない試合も多い。得点期待値はリーグ3位の7.035(4節終了時点)ながら得点数はリーグワースト2位の4得点。逆転勝利を収めた鹿島アントラーズ戦、土壇場で同点においついた湘南ベルマーレ戦など、勝負強さを発揮して最低限の結果を残してはいるものの、負傷者が続出している現状を考えると見通しは良くない。
●サガン鳥栖
順位:15位(勝ち点4)
成績:1勝1分3敗(4得点9失点)
監督:川井健太
昨季は主力を大幅に抜かれながら、残留争いとは無縁のシーズンを過ごしたサガン鳥栖も、川井健太監督就任2年目の今季は苦しんでいる。開幕節では、昨年まで得点力不足に苦しんでいた湘南ベルマーレに5失点を喫して大敗し、ここまで5試合で1勝しか挙げられていない。
昨季、ゴール期待値を上回る得点数を記録していた宮代大聖と垣田裕暉の抜けた穴は大きく、今季は試合数を下回る4得点に留まる。昨季リーグトップだったミドルサードにおけるスプリント回数(73.2回)は43.3回に減少。ボール保持時のスプリント回数もリーグ2位の90.7回から同14位の56.0回に減少しており、このあたりの変化が攻守の連動を生命線とする鳥栖の戦い方に影響しているのではないだろうか。
4節までは毎試合得点が取れていたが、複数得点はない。5試合中3試合は守備で大きく崩されたわけではない。そして、紙一重のところで落としている局面が多いのも事実。中盤で舵を取る河原創の活躍や、圧巻のテクニックを披露する樺山諒乃介など、プラス材料はあり、既存戦力と新戦力が噛み合えば浮上も十分に可能だ。