新生日本代表、基本布陣の最適解を考察。考えるべきは攻守のバランス。両サイドが高い位置を取り主導権を握るのが理想

3月シリーズは苦手な南米勢との2連戦

2026年の北中米ワールドカップ(W杯)で悲願の世界8強を目ざす新生・森保ジャパンが、3月20日から千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドでついに始動した。

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初日はサポーター600人が集結。2020年春に同施設がオープンしてから初めての有観客での代表練習となり、かつてないほどの盛り上がりを見せた。

そういったなか、遠藤航(シュツットガルト)、板倉滉(ボルシアMG)ら16人の選手が参加。バングーナガンデ佳史扶(FC東京)、半田陸(G大阪)の両パリ五輪世代と、新戦力・角田涼太朗(横浜)の負傷辞退によって追加招集された藤井陽也(名古屋)の新顔3人も加わり、フレッシュな雰囲気が色濃く感じられた。

昨年のカタールW杯から顔ぶれが様変わりした守備陣は、W杯経験者が板倉、伊藤洋輝(シュツットガルト)の2人だけ。これまで森保一監督は4バックをベースにチーム作りを進めてきたため、順当ならA代表招集歴のある菅原由勢(AZ)、瀬古歩夢(グラスホッパー)、板倉、伊藤の4バックでスタートさせることになるだろう。

しかしながら、第2次森保ジャパンの船出となる今回の3月シリーズでは、ウルグアイ、コロンビアという強豪国が相手。もともと南米勢を苦手とする日本が新たな編成となるCB2枚と両SBでゴールを守り切れるかというと、やはり不安はつきまとう。

となれば、今回もカタールW杯のコスタリカ戦途中から採用した3バックの継続も視野に入ってくるのではないか。

最終ラインが3枚であれば、板倉、瀬古、伊藤、町田浩樹(ユニオンSG)に加え、名古屋で3バックの一角を占めている藤井も問題なくこなせる。橋岡大樹(シント=トロイデン)と菅原も3バックに入ることはもちろん可能。使えるメンバーの枠が広がるのだ。

両サイドにしても、橋岡は今季シント=トロイデンで右ウイングバックを主戦場にしているため、普段通りの感覚で攻守両面で良さを出せるだろうし、菅原も同ポジションの経験は豊富だ。

半田だけは山形時代も現在も、年代別代表でも4バックが大半を占めており、少しやりづらさはあるかもしれないが、高い位置を取れることでより攻撃センスを発揮しやすくなる。そう考えればポジティブと言っていい。

左のバングーナガンデに関しても、もともと攻撃的なSB。直近の名古屋戦でこの位置に入っており、高い位置を取れたほうが本人も自分らしさを存分に示せるだろう。彼ら新戦力のストロングを活かしたいと思うなら、3バックのほうがメリットが多そうだ。

長友&酒井の後継者探しは重要課題だが…

そこで、1つ考えなければならないのが、攻守のバランスだ。カタールW杯のスペイン戦などでも、1トップの前田大然(セルティック)、鎌田大地(フランクフルト)と久保建英(レアル・ソシエダ)の2シャドーに加え、右サイドに伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)を配置することで、少しでも前に圧力をかけようと試みた。が、前半は相手に押され、一方的に攻め込まれてしまった。そうならないように今回は両サイドが高い位置を取りながら主導権を握りたいところだ。

けれども、最初から伊東を右、三笘薫(ブライトン)や中村敬斗(LASKリンツ)を左といった構成にすると、守備のリスクが高まるのは確か。そこで、右には菅原や橋岡を入れて左に三笘か中村にする形、あるいは左に守備的な町田や伊藤を置いて、右は伊東で勝負に行き、2シャドーに堂安律(フライブルク)と久保を並べるといった形を考えるのもありだろう。

フランクフルトで3バックに慣れている鎌田をボランチで使うパターンにトライすれば、中盤の攻撃力はアップする。戦い方の幅は確かに広がりそうだ。

日本代表の左右のSBを長く担ってきた長友佑都(FC東京)と酒井宏樹(浦和)の後継者探しは日本サッカー界にとっての重要課題だが、適任が見つからないのなら、思い切って基本布陣を変えてしまうという決断もあっていい。それはカタールW杯で森保監督自身が有効だと感じたことの1つだろう。ゆえに、今回も3-4-2-1をベースにする道を真剣に模索していいのではないか。

「チームの約束事はありながらも、選手の特長を活かした戦い方を考えていく」と指揮官は口癖のように語っているが、まずは今回のメンバー26人の特性や長所、チームバランスを見極めることが先決だ。そのうえで24日の初陣・ウルグアイ戦でどのようなフォーメーションを採るのか。新戦力抜擢に踏み切るのか。その動向を注視していきたい。

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