U-22日本代表初招集・中村拓海はゆるっとマイペースも…パリ五輪にはしっかり意欲「意識はしちゃっていました」
パリ五輪世代のU-22日本代表は19日から欧州遠征をスタートさせる。日本を発つ前に、国内組12名が千葉県内で軽めの調整を実施。初招集となったDF中村拓海(横浜FC)はパリ五輪について「周りからよく言われていたので、意識はしちゃっていました」とマイペースに意欲を口にした。
世代屈指のサイドバックが初招集となった。東福岡高を卒業後、2019年からFC東京でプレー。22年から横浜FCに加入すると、J2リーグ32試合出場でJ1昇格に貢献した。今シーズンも開幕からフル稼働を続けており、12日の第4節・FC東京戦では持ち味である攻撃力を発揮。鋭いクロスで相手のオウンゴールを誘発した。大岩剛監督もメンバー発表時のオンライン会見で「攻撃に特化したときに、彼のプレースタイルはよりフィットしてくる」とその攻撃面に期待を寄せていた。
コンスタントに試合出場を続けることで、攻撃面では「起点を多く作れている」と、守備面でも「相手の足下には強く行けるようにはなった」と自身の成長を語る。今回の遠征では、同世代のドイツとベルギーと対戦。「ビルドアップでは逃げずに顔を出して、あとは前に行ったときのクロスだったり、縦パスは意識してやりたい」とテーマを掲げている。
クラブでは3バックも経験しており、柔軟性高く起用される可能性も。しかし本人は「でも4枚のほうが攻撃に比重を置けるので、そっちのほうが楽しいなという感じです」とあくまで攻撃的な意識を残したいようだ。
19日のトレーニング終了後、大岩監督は中村とMF山本理仁(G大阪)の2人を残し、熱心に説明を行っていた。
山本は「自分は右のインサイドハーフだったり、ボランチの右側をやることが多いので、そこで拓海も初招集だし、2人の関係性でどういったことを求めているかだったり、ワイドを含めて、どうローテーションをして相手のズレを作っていくかという戦術的な話をしました」と指揮官からの説明内容を明かす。
中村はU-20世代までは代表にも呼ばれていたことから、山本とも旧知の仲。大岩監督体制の常連でもある山本は、中村の良さを引き出すつもりだ。「上手い選手とはわかっているので、それを生かしてあげるのが僕の強み。やっぱり守備に追われると彼の良さは生きない。ボールを持っているときに、彼の良さが一番出る。僕だったり、真ん中の選手がしっかりコントロールしてあげて、拓海のことを知らない人もいると思うので、知っている僕らがどんどん引き出してあげたい」(山本)
学年でいえば中村がひとつ上だが、山本も「あんな感じなので(笑)」とマイペースな中村に学年の壁を感じていない。中村は囲み取材でもそのマイペースさを発揮。ここまでの大岩監督体制の印象について「たま~に観ていたんですけど……そうですね、うん……たまに観ていました(笑)」と濁し、取材陣を笑わせた。
それでも代表活動に無関心だったわけではない。「試合に出ていれば呼ばれるだろうというか、結果を残せばおのずとそういうのも見えてくる。入りたいというのはありますけど、目の前のことを大事にするほうがうまくいく。自分の中ではそうなので、頭の片隅にはありましたけど、そんなにそこは意識することなくやっていました」。自然体で全力を尽くしたことが、ひとつの結果をもたらしたようだ。
海外の選手との対戦は、FC東京時代のACL以来になるという。「強豪国が相手。自分も海外の選手とするのもACL以来なので、すごく楽しみです」。緩やかさは保ちつつ、奥底に秘めたやる気をほんの少しのぞかせた。