【番記者の視点】2点差追いつきドローのG大阪 アレンジ力は収穫も止まらぬ“安い”失点
◆明治安田生命J1リーグ 第5節 G大阪2―2札幌(18日・パナスタ)
【G大阪担当・金川誉】2点ビハインドで迎えたハーフタイム、ポヤトス監督からは「練習でやってきたことが、全然できていない」とゲキが飛んだという。前半だけで2失点。3試合連続で立ち上がりに失点すると、さらに目を覆いたくなるようなバックパスと判断ミスから追加点を“プレゼント”した。攻撃面でもチャンスらしいチャンスは少なかった。
この日は前線から積極的にマンツーマンではめ込むように守備を仕掛けてくる札幌に対し、負傷のMF宇佐美に代わってインテリオールで起用されたMFアラーノの飛び出しなどで背後のスペースを使う狙いがあった。しかし前節・広島戦でビルドアップのミスから失点した影響もあってか、相手を動かすようなパスが少なく、最前線へのロングボールが増加。リズムの悪化はミスの重なりを招いた。
悪い流れを断ち切ったのは、後半14分の得点だった。右サイドへの展開から、FW鈴木が自陣まで下がってポストプレー。相手のDFラインが高くなったところで、入れ替わるように右サイド裏に抜け出したDF半田へMFラビから絶妙なスルーパスが届き、最後は中央で途中出場のMF石毛が合わせた。さらに直後の同16分。左サイドを破ったDF黒川のクロスを右FW杉山が折り返し、アラーノが押し込んだ。
2得点ともに絡んだのが、途中出場したMF石毛だ。「前半はうまくいってなかったので、そのバランスをいい意味で崩したかった。身勝手にやるわけではないけど、何かを変えなければうまくいかないと思った」。チームにはアンカーとインテリオールの中盤で逆三角形を形成してボールを動かし、インテリオールは下がりすぎない、など約束事がある。しかし2点目は、左インテリオールの石毛がDFラインの前まで下がってボールを呼び、相手の守備を引きつけた。するとFW鈴木へのパスコースが空き、石毛のポジションチェンジに反応して左サイドへ流れたMFラビへ展開。石毛はボールが動く間にスピードを上げ、再び左サイドへ。ラビからの縦パスの経由点となってDF黒川の突破を促し、同点ゴールが生まれた。
この日の2得点はポヤトス監督が就任から一貫して訴える「どこにスペースがあるのかを認識」して奪ったゴール。その中でも石毛のアレンジ力が光ったことは、チームにとってプラスと言える。しかし結果は勝ち点1で、開幕から5試合で3分け2敗と未勝利。計6得点で1試合平均1・2点は昨季の0・97点を上回る。一方で11失点で1試合平均2・2点は、昨季の1試合平均1・29点から大きく悪化している。攻撃面では進化の兆しも見えるポヤトス・ガンバだが、“安い”失点を減らす守備の改善も進めなければ、浮上への道は見えてこない。