U-22日本代表 3月ヨーロッパ遠征メンバー発表 大岩剛監督オンライン会見要旨
日本サッカー協会(JFA)は16日、オンラインで記者会見を行い、今月下旬に行われる欧州遠征のU-22日本代表メンバー23名を発表した。
メンバー発表会見では、大岩剛監督が質疑に答えた。パリ五輪世代のU-22日本代表は今月24日にドイツ・フランクフルトでU-22ドイツ代表と、27日にはスペイン・ムルシアでU-22ベルギー代表と対戦する。
●大岩剛監督
「今回ヨーロッパ遠征の強化試合で、非常に強い国と戦うことができる。昨年一年間で積み上げてきたもの、それをベースに今年一年もプラスアルファ積み上げていくという一年にしたいと思っている。そのスタートとして、ドイツやベルギーという国に対して、しっかりとわれわれのスタイルで戦うということ、そういうことを選手たちに表現してほしい」
─U-22日本代表からDF半田陸(G大阪)とDFバングーナガンデ佳史扶(FC東京)がA代表に選出された。
「話し合いは当然密に取っている。日本サッカー協会としての基準は、少しでも上のカテゴリーでやるということが大前提にある。A代表で必要とされる選手であれば、われわれはしっかりとそれに応えていく。当然チャンスを得る選手もいるし、それによってわれわれの選手層が厚くなる。どんどんそういうサイクルにしていきたい。喜ばしい部分ではあると思っている。彼らが定着することが理想ではある。だがわれわれのグループに入ってきたときも、A代表経由パリ五輪行きと言ってきているので、彼ら2人に久保建英も含めて、スタンダードを上げていくというところにしっかりと貢献してほしい。今回23人選んでいるが、DFラインが出場機会を得られていないという現状がある。昨年までの積み上げというものに、プラスアルファを加えていくという意味では、今回の選手たちに期待をしたい」
─最終予選まであと一年、五輪本番まで一年半になる。再始動となる遠征のポイントは。
「昨年アジアカップも含めて大きな大会を戦っていく中で、スピードアップというところを掲げてきた。W杯もあり、現代のサッカーのスタンダードに対してのスピードがより求められている。われわれグループの中でも同じ。昨年まで求めていたものにプラスアルファというところは、すべての面でスピードを上げていくということ。それは、マインドや思考もそう。単純なプレースピード、そういうものはしっかりと選手たちに求めていきたい。スタンダードが、A代表になっていかないといけないという前提がある。そこは求めていきたい」
─最終ラインの選手が所属クラブで出場できておらず、中盤から前の選手も出場機会を得られていない選手が増えた。
「DFラインも、中盤、FWもそうだが、環境が変わったり、求められるものが変わったり、監督が変わったり、そういうことによって出場機会が得られなくなる。この年代では、それが普通だと思って想定をしている。その中で、彼らたちがどういうアクションを起こしているのか、どういう日常を通してゲームに関わっていくのかというものも、しっかりリサーチをしてきている。ゲーム勘なのか、ゲーム体力なのかはわからないが、失われている中で何ができるのか。われわれのスタンダードを上げていく上では、そういうリバウンドメンタリティも含めて、彼らに求めていきたい。なぜなら、今後も起こり得ることであり、最終予選のときにも、そういう環境でわれわれは試合に臨まないといけないということは予想できる。いま何ができるかということにしっかりフォーカスしながら、より高いレベルを選手たちに求めていく。それを日常に持ち帰って、よりパワーアップをしてもらう。そういうサイクルにしていきたい」
─DF中村拓海(横浜FC)が初選出となった。
「ラージグループにはずっと入っていた中で、半田陸、内野貴史との兼ね合いも含めて、なかなか呼ぶ機会がなかった。試合に出続けていること、J2だったり、いまJ1でやっていて、そういう彼の経験というものは、今回呼んだ選手の中でも非常に優れている点でもある。彼の特徴である攻撃的なところは、プラスアルファという言葉で言ったが、われわれのグループの中で攻撃に特化したとき、彼のプレースタイルがよりフィットしてくる、チームのために貢献してくれると考えて、今回招集させてもらった」
─欧州組は5人を選出。こちらも試合に出場している選手は少ない。
「Jリーグも含めて、試合に参加できていない状況の選手がいる。海外組も環境が変わって、求められるところが変わって、いろいろ試行錯誤をやりながらやっている。何がわれわれのグループの中でできるかとか、そういうものを見ていきたい。今後彼らがチームに戻って、どういう風に活動していくのか、ひとつのキーポイントになってくれればいい。それが今後続けば、当然パフォーマンスにも影響するだろうし、われわれのグループがレベルアップしていく上で、招集できないということにもなるかもしれない。だが、今いるグループの中で必要としているんだということをこちら側が発信しながら、彼らたちに期待をしながら、厳しい目もしっかりと受けて、判断、ジャッジしていければいい。ひさしぶりに間近で見られるということもある。そういうことも含めて、この活動で高いパフォーマンスを期待したい」
─MF斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)の活躍ぶりはどう見るか。
「彼にとっても通常であってほしい。これが特別なことじゃないと彼自身も思っている。われわれもそういう目で見ながら、このグループに来たときに高いパフォーマンスを出すことによって、チームにより推進力を上げていくパワーになってほしい。それが、特別じゃないというスタンダードを作りたいと思う」
─U-20日本代表は5月のU-20W杯で活動を終える。その後の合流はどう考えているか。
「われわれのグループの選手がA代表に行くのと同じように、U-20W杯を最優先でやってもらった上で、その後はわれわれのグループに来る選手がいたり、それを飛び越えていく選手がいる現象が起こっていく。それはその都度選手の成長があっての選手ファーストなこと。そのときが来たときに、しっかりと各監督とコミュニケーションを取りながら招集をしていきたい」
─U-22日本代表は6月にも遠征がある。そこで融合が始まるか。
「U-20W杯の日程上の問題もある。所属クラブの兼ね合いもあるので、そういう条件が揃った中で、招集が可能であればそういう活動にしていきたい」
─MF三戸舜介(新潟)に期待することは。
「昨年から彼はわれわれのグループに参加してもらっている。新潟がJ1のレベルの高い中でも、ああいう高いパフォーマンスができるというところは非常に評価している。彼自身が非常に成長している要因にもなっていると思う。彼がわれわれのグループに来ることで、その好調さを発揮してほしい。われわれのグループがより前進するパワーになってほしいと思っている」
─MF三戸舜介(新潟)のスピードやドリブルはどう評価するか。
「個人的な特長のプレーも期待しているが、彼の場合は複数のコンビネーションで攻撃していくところでも非常に長けている。逆に、ディフェンスのときは技術を発揮しながら、ボールを奪うというところを強度高くできる選手。そういうところも、よりレベルを上げていくような意識でやってほしい」
─Team Camという形での発信はU-22日本代表でもあるか。
「監督の一存では決められない。われわれは発信することに賛成している」
※広報
「ぜひチーム、選手の横顔をたくさんの方にご覧いただきたい。特に今年は11月に国内で試合もある。そういったところに向けて、PRの一環としてぜひ取り組んでいきたい。どのタイミングで始められるかまだ決まっていないが、楽しみにお待ちしていただければ」
─A代表との兼ね合いの選手選考は、森保一監督と2人で話すのか。
「コーチも含めて合同のミーティングは限られている。その中で、A代表で名前が挙がる選手の様子を聞いたり、現地で視察をしているときに特長を共有する。今後のビジョンをお互いに伝えながら、森保さんと私で話をしていくというのが最終ジャッジになる」
─どういう会議の場でやっているのか。
「コミュニケーションの回数は多くある。いろんな場面で立ち話もあるし、それぞれの会議室に行ってしゃべることもある。たくさん情報を共有しているので、久保建英も含めて3人われわれの世代から行くが、評価をしてもらって行っているので、A代表の力になってくれるような活躍をしてくれるといいと感じている」
─3人をA代表に取られた心境か。
「まったくない。これは余談でカタールW杯のデータになるが、U-21世代の選手が各国2、3人は必ず入っていた。われわれは1人、久保建英だけ。われわれの年代の選手たちが、もっとA代表に絡んでいかないといけない。そういう意味では遅いくらい。もっともっと行ってほしい」
─森保監督は2050年のW杯優勝という指標を明言した。パリ五輪世代としてやっていく上での目標は。
「代表を率いる上で、2050年というものは大きな目標として頭の中にある。日本代表というのはU-15からあるが、そういう世代から世界に対して、常に上位争いをするようなところまで持っていかないといけない。より下の年代が、われわれの世代よりももっと下からA代表に突き上げていくような、そういうパワーが必要だと思っている。そのためには2人、3人だけじゃなくて、何人でも入っていくようなポテンシャル、常にそれが準備できているというグループにしなくてはいけない」
─カタールW杯ではカウンターは機能したが、ボール保持時のプレス回避は課題があった。大岩監督もJFAを経てアップデートされているが、U-22日本代表からA代表にどう還元したいか。
「昨年一年間で前線からの守備、後方からのビルドアップは改善し、レベルアップをしながらやってきた。カウンターであろうが、われわれがボール保持をしようが、それがどんな相手でも日常のようにできるようになると、そういう個人的な戦術のレベルアップ、グループとしての共有、そういうものはポジションごとに確立していかないといけない。それはGK、CB、SB、ウイングの役割も含めて、攻守においてしっかりとチームの中で確立されてスタイルができあがる。そういう基準が、われわれのグループの中にもできつつある。各ポジションの選手たちが、A代表の中でも森保さんの要求にしっかり応えられるような個人戦術を身に付けるということは、今後も含めて重要になる」
─CB陣はポテンシャルはあるが、所属チームで苦しんでいる。本番までにレギュラーを取らないといけない。
「いまの現状は期待している通りではない。だが、彼たちが各クラブでどのような日常を送っているのか、そして今後それが覆っていくような日常を過ごしているのかというところも非常に重要になっていく。それが環境を変えるという判断になるのか、いま所属しているチームでよりレベルアップに努めるのかは彼らの判断になる。そういう中で、成長することを望んでいくことしかできない。こういう活動を通して、しっかりとわれわれのスタンダードはここなんだよということは、常にその活動ごとに選手たちに発信をしている。期待もあり、その期待に応えられない選手たちのもどかしさも汲みながら、それに対してこちら側からアプローチをしていく。厳しくも、先を見た目で見守っていきたいと思っている。ただ、これは時間もあること。そういう部分では、スタッフの中でしっかりと議論をした中で、選手の招集はしていきたい」
─CBをメインでやる選手が足りなくなる状況も想定したとき、中村拓海は3バックの右もやっている。今後のオプションにつながるか。
「われわれのグループは、いまシステムを変えたりということはしていない。今後それはプランの中にあるが、昨年からビルドアップのところで可変しながら立ち位置を変えるということであったり、少し役割を変えるということをやっている。引き続き各選手に各ゲームで、相手の特長を踏まえて、われわれが少し形を変えながら前進していくと、そしてゴールを奪って、ゴールを守るというところは、選手たちに戦術として求めていきたい」
─A代表に引き上げられる選手が出てくる中で、選手選考やチーム作りは難しくなるか。
「各クラブでどういう状況にいるのか、どういう日常を送っているのかという部分では、単純にA代表と比べても見るべきところが違う、期待をすることも違う。だが、われわれは年齢制限がある中で、選手たちを招集して、大会に臨んでいかなければいけない。そういう面では、選手の力量を見据えながら、どう彼たちが成長していくのか、どういう選手を呼んだらどういう化学反応が起こるのかというところまで、しっかりとリサーチをしながら、ディスカッションを重ねながらやっていく。違いという部分では感じているが、難しさというよりも、現状の形でやっていくしかないというところは、進んでいく上では起こり得る障害じゃないかなと思う」
─森保監督と先のビジョンについて話している中で、代表ウィークで表裏に活動していく。U-22のチームで進めていきたいことは共有できているか。
「最終予選が来年の2月、3月に行われる可能性が高い中で、その前にA代表でアジアカップがあって、カレンダー的なところはお互いに把握をしている。どの場面で、どういう風な選手っていうのは、現時点ではなかなかお互いが出すことはできないので、その都度ディスカッションになっていくと思う。優先順位的に、お互いの活動に支障がなければ個人昇格が大前提というその基準がしっかりしていれば、コミュニケーションはスムーズに進む。お互いの要望も伝えられると話はしているので、こちら側がお願いしますという場合もある。それはしっかりと話し合いを重ねていきたい」