まずは地固め、7番継承に主将就任のエース中心にポヤトス体制シーズンイン【J1開幕直前ガイド|ガンバ大阪】
17日、いよいよ2023シーズンの明治安田生命J1リーグが開幕を迎える。
開幕から30周年を迎える2023シーズン。2024シーズンから全カテゴリが20クラブになるため、今季は降格チームが1つという状況。新時代の幕開けとなるシーズンを迎える。
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開幕を前に超ワールドサッカー編集部が、補強診断、戦力分析やシーズンの目標、注目の選手をピックアップした。
【直近3シーズンの成績】
2022シーズン成績:15位(9勝10分け15敗)
2021シーズン成績:13位(12勝8分け18敗)
2020シーズン成績:2位(20勝5分け9敗) 《
補強診断:A》(評価:S~E)
【IN】
GK谷晃生(22)←湘南ベルマーレ/復帰
DF半田陸(21)←モンテディオ山形/完全移籍
DF江川湧清(22)←V・ファーレン長崎/完全移籍
DF佐藤瑶大(24)←ベガルタ仙台/復帰
Mf杉山直宏(24)←ロアッソ熊本/完全移籍
MFネタ・ラヴィ(26)←マッカビ・ハイファ(イスラエル)/完全移籍
MF高橋隆大(18)←静岡学園高校/新加入
MFダワン(26)←SCサンタ・リタ(ブラジル)/完全移籍移行
MF塚元大(21)←ツエーゲン金沢/復帰
FWイッサム・ジェバリ(31)←オーデンセBK(デンマーク)/完全移籍
FW南野遥海(18)←ガンバ大阪ユース/昇格
【OUT】
GK加藤大智→未定/契約満了
DF昌子源(30)→鹿島アントラーズ/完全移籍
MF小野瀬康介(29)→湘南ベルマーレ/完全移籍
MFウェリントン・シウバ→未定/契約満了
MFチュ・セジョン(32)→大田ハナシチズンFC(韓国)/完全移籍
MF芝本蓮(23)→FCティアモ枚方/完全移籍
MF高橋隆大(18)→奈良クラブ/期限付き移籍
MF齊藤未月(24)→湘南ベルマーレ//期限付き移籍終了
FWパトリック(35)→京都サンガF.C./完全移籍
FWレアンドロ・ペレイラ(31)→ペルセポリス(イラン)/完全移籍
FW坂本一彩(19)→ファジアーノ岡山/期限付き移籍
FW南野遥海(18)→テゲバジャーロ宮崎/期限付き移籍
守護神の東口順昭とエースの宇佐美貴史を早々にケガで失った影響も響き、最後の最後に残留を決めた去年。わずか1ポイント差で残留圏ギリギリの15位フィニッシュにも危機感を煽られてか、今オフはこれまでのブラジル&韓国で大半を占めた外国籍選手の獲得を含め、近年と毛色の違うチーム作りに出た印象だ。
その今季はというと、パトリックに小野瀬康介と驚きの契約満了があったほか、昌子源をはじめとするネームのある選手が抜け、やや不安に駆られたが、オフシーズンの後半に差しかかるにつれ、補強の動きが形に。J1初挑戦の新戦力が多いが、いずれも実力と実績が備わり、さらに将来性もと楽しみなスカッドだ。
大きな血の入れ替えにより、チームの成長に不可欠な競争力も昨年以上に高まるなか、注目は谷晃生が3年間の修行中に日本代表から声がかかる存在となり、ひと回りもふた回りも大きくなって帰還したGK陣。守護神の東口はチーム最年長の36歳ながら衰え知らずで、一森純に石川慧も控えており、熾烈さを極める。
今季を迎えるにあたり、パトリックがいなくなってポイントに挙がったストライカーでは先のカタールW杯にも出場したチュニジア代表のイッサム・ジェバリが加入。プレシーズン中の紅白戦では強さと巧さを発揮して、ゴールを決めたりとさっそく一線を画しており、昨季途中加入の鈴木武蔵と軸になりそうだ。
また、右サイドバックにパリ五輪世代屈指の担い手である半田陸のほか、ウィンガーの杉山直宏とセンターバックの江川湧清といったJ2指折りの人気銘柄を獲得。極めつきはイスラエル代表のネタ・ラヴィを中盤センターの新たなキャストに迎え入れ、その陣容をより分厚くした。今オフの補強ぶりは合格点といえる。
◆チーム目標:ACL圏内
チームが掲げる目標はACL圏内だが、今季にまずやらなければならないのは近年、“ガンバらしさ”を追い求めるあまりに抽象化してしまっているスタイルの再確立。それを託されたのが昨季まで徳島ヴォルティスを率いたスペイン人指導者のダニエル・ポヤトス新監督だが、基本的なポジショニングからボールの動かし方、そして守りにも攻めの姿勢までしっかりと重んじるものがあり、受け身ペースの戦いだった昨季までのやり方から大きく変わる。方向転換の度合いが大きいが故に、定着は一朝一夕といかなさそうだ。
さらに薄れつつある勝者のメンタリティも再び取り戻す時間が必要とあってか、毎年恒例の各メディアによる開幕前の順位予想ではさほど高く期待されていないようだが、即効性も高そうな新戦力の顔ぶれを鑑みれば、そこに新戦術の浸透度次第で反攻の1年もあり得るのではないか。ともあれ、今年は地固めを。その今季は最下位しか降格しないというレギュレーション下の戦いであり、昨季に貫けなかったやり通すという部分にもチャレンジもしやすい。あわよくば、ACL、さらにタイトルと狙っていきたい1年だ。
◆期待の新戦力
GK谷晃生(22)
上述したように、今季のチームにおけるポジション争いで最も見どころは守護神争いの行方だ。それを盛り上げるのが単なるレンタルバックの生え抜き選手として帰ってきたわけではない谷の存在。在籍9年間でケガを除いて、一度もその地位を譲った過去がなく、昨季も抜群の存在感だったJ1通算373試合の出場数を誇る東口が大きく立ちはだかるが、東京五輪の正GKを務めたりとかなりの成長曲線を描く今、どこまで脅かしていけるか。東口とのハイレベルな争いでしっかりとアピールしていければ、日本代表での守護神争いにも再び入っていく道が開ける。
◆編集部イチオシ選手
FW宇佐美貴史(30)
昨季の大半を大ケガで棒に振り、今季に期するものを元々秘めるなか、尊敬してやまない遠藤保仁が退団してから空く7番を継承。さらに、主将のバトンも倉田秋から受け継ぎ、これまでのエースとしての役割だけではない部分でも責任を一身に背負うシーズンとなる。
一気に背負いすぎな感もあるが、先のキックオフカンファレンスでは充実ぶりをうかがわせ、新監督の下でインサイドハーフというポジションも任されうるなか、2015年を最後に遠ざかる二桁ゴールを個人目標に。宇佐美におんぶに抱っこのチームではいけないが、誰よりもガンバを愛する男の活躍が今季も浮き沈みの鍵を握る。