タイトル狙うC大阪、雪辱期す神戸、G大阪、京都も上位うかがう…関西J1展望
30周年を迎えるサッカーのJ1が17日夜に開幕する。関西に本拠を置く4チームは、18日に今季初戦を戦う。C大阪は元日本代表MF香川が復帰し、タイトルを狙える陣容が完成。昨季13位からの巻き返しを期す神戸は契約最終年となる元スペイン代表MFイニエスタの起用法が浮沈の鍵を握る。残留争いを演じたG大阪と京都は心機一転のシーズン。G大阪はワールドカップ(W杯)カタール大会に出場したチュニジア代表FWジェバリをどう生かすか。京都はG大阪から加入したFWパトリックに得点力アップの期待がかかる。
【C大阪】唯一無二の香川が復帰
アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場を目指した昨季は終盤の6試合で4分け2敗と息切れし、5位。2年連続で決勝に進出したYBCルヴァン・カップも準優勝に終わった。
2021年のシーズン途中から指揮を執る小菊監督は「昨季は自身初めて開幕からチームを任されて不安もあった。今季はワクワク感の方が強い」と言い切り、上積みを強調する。強度の高い練習と公平な競争をポリシーに掲げ、チームに活気を生み出している。
横浜Mで2季連続2桁得点のFWレオセアラ、福岡でコンスタントに試合に出場し続けたMFクルークスと、計算できる外国人選手を補強した。キャンプから好調だった主将の清武が左太もも裏の故障で離脱したのは痛手だが、U-20(20歳以下)日本代表に選出されたFW北野らが台頭。レジェンドの香川が12年半ぶりに復帰し、タイトルを狙えるピースはそろった。
指揮官が「唯一無二の存在」と形容する香川は「自身の持っているものを表現したい」と話す。経験に裏打ちされた精神面の強さをチームに植え付けることもその一つ。勝負強さを身に付け、シルバーコレクターからの脱却を図る。
【神戸】イニエスタ復調誓う
J1屈指の戦力を誇りながら、3度の監督交代を経験した昨季は13位に沈んだ。「悔しい思いをした」(吉田監督)との反省はチーム全体で共有している。
ただ、昨季も吉田監督就任後の16試合は9勝2分け5敗。ボール保持にこだわらず、ロングボールも併用した臨機応変の戦い方には手応えもあった。恒例となっていたオフの大型補強を見送った今季は、昨季に築き上げたベースにどう上積みし、バリエーションを増やしていくかがポイントとなる。
若手のDF小林友、FW小田が海外移籍し、加えたのはMF斉藤、DF本多ら堅実な選手。FW大迫、武藤、MF山口、DF酒井らチームの軸となる選手の顔触れは変わらない。
問題は38歳のMFイニエスタと、右膝の故障で昨季を棒に振ったMFサンペールをどう起用するか。日本で最後のシーズンとなるかもしれないイニエスタは「少しずつ調子を上げていき、いい形でチームに入れるようにしたい」と強調する。練習試合の結果を踏まえ、吉田監督は「チームとしてゴールを決めきるところなどの課題を解決していきたい」と話す。ベテランが多い分、戦術に加えて柔軟なベンチワークも問われる。
【G大阪】宇佐美「7」引き継ぐ
残留争いに巻き込まれた昨季は8月に片野坂監督を解任。経験豊富な松田監督の下、堅実な戦いで残り10試合を4勝3分け3敗で乗り切り、J1に踏みとどまった。
今季は新たなスタイルを構築するべく、J2徳島からポヤトス監督を招聘(しょうへい)。クラブ初のスペイン人指揮官は「攻守に圧倒的に支配するサッカー」を掲げ、ボール保持を重視する戦術の浸透を図っている。チームのレジェンドであるMF遠藤(現J2磐田)がつけていた背番号7を受け継ぎ、主将にも就任したFW宇佐美を中心とした攻撃の組み立てで、得点力アップを図る。
チュニジア代表としてW杯カタール大会に出場した長身FWジェバリ、守備的MFとして高い能力を持つラビの新外国人選手2人が早期にフィットすれば、上位をうかがえる陣容。J2山形から移籍したパリ五輪世代の半田も右サイドバックの定位置を奪いそうだ。
宇佐美は「チームに一本、筋が通った感じがする。監督が求めることを選手が完璧にこなせれば、間違いなくボールを保持できる」と手応えを口にする。ポテンシャルを発揮し、反攻のシーズンにできるか。
【京都】ハーン新守護神となるか
12年ぶりにJ1の舞台に戻ってきた昨季は16位に終わり、熊本とのJ1参入プレーオフ決定戦を引き分けて辛くも残留を果たした。J1復帰2年目となる今季は戦力を上積みして臨みたかったが、チーム最多の9ゴールを挙げたFWウタカがJ2甲府へ、堅守を支えたGK上福元は川崎へ移籍した。攻守の軸が抜けた穴をどう埋めていくかが現実的な課題となる。
期待されるのは、G大阪から加入したJ1通算86得点のFWパトリック。昨季は5ゴールに終わったが、高い得点力を誇り、ポストプレーでも抜群の強さを発揮する。曺貴裁(チョウキジェ)監督が目指すアグレッシブなスタイルとマッチすれば、ゴールを量産する可能性もある。FWの軸が固まれば、J1の18チーム中ワースト2位タイの30得点に終わった攻撃力の改善が見込める。一方、守護神候補のスリナム代表GKハーンは来日が遅れたのが気がかりだが、潜在能力は高い。
若手が多く、規律の取れたプレーとハードワークには定評のあるチーム。曺監督は「一体感が武器になっていかないと、われわれのサッカーは成立しない」と話す。貪欲に特徴を磨き、上位進出をうかがう。