ガンバ大阪・GK谷晃生インタビュー「W杯まで3年半しかない。試合に出ることで日本代表に近づける」

チームを率いるポヤトス監督は、就任時から「ボールを持つことで時間とスペースを有効に活用し、ゲームを支配したい」と明言している。加えてGKについても「GKもフィールドプレーヤーのひとり。GKだけを孤立させるのは好まない」と話し、ビルドアップの起点になることも求めている。実際、沖縄キャンプではパス&コントロールのトレーニングにGKも参加するなど、その狙いを垣間見るトレーニングも多かった。

「GKとして、足元の技術はガンバだけではなく今後、上のステージにいくほど必ず求められる要素。自分もまだまだ磨いていかなければいけないし、そのうえでビルドアップにもしっかり関わっていければと思っています。

とはいえ、ビルドアップは正直、GKの足元の技術だけでどうにかなるものではないというか。フィールド選手の立ち位置、ポジショニングがあってこそ、初めてGKにもパスコースが生まれる。そう考えても、GKだけではなく、チームとしてビルドアップにしっかり取り組むなかで、僕もそのひとりとして存在感を示せるようになっていきたいと思っています」

今シーズンの目標はチームでの”今”を大事に過ごしながら、再び日の丸を背負って戦う舞台に戻ること。

「次のワールドカップまで『3年半もある』と考えることもできるけど、僕は『3年半しかない』と思っています。ただ、日本代表に選ばれるための近道などなく、まずはチームでのパフォーマンス、結果がすべてだと思うので。実際、ガンバで試合に出ることができれば、きっと日本代表にも近づける。

だからこそ、まずはチームスタイルのなかで自分という個性をしっかり発揮することを心がけていきたいと思う」

思えば、昨年末に谷のガンバ復帰が発表された時から、東口をはじめとするライバルとのポジション争いは注目を集めてきた。これについて、チームを率いるポヤトス監督は「年齢やステイタスはまったく関係なく、パフォーマンスだけを最優先に考えて選手を見極めたい。重要なのは、私自身が彼らのベストな瞬間をしっかり見抜いていくこと」と話すにとどまっており、いまだ答えは出ていない状況だ。

それでも「注目してもらえるだけありがたい」と谷は言う。

「以前に在籍した時は、そういう話にもならなかったと考えても、湘南での3年間は自分にとってすごく意味のある時間になったということ。ガンバを離れる時はすごく不安もあったけど、結果的にこうして今『(東口か谷か)どっちが出るの?』と言われる状況になっているのは……満足はしていないけど、それがこの3年間の一番の収穫かもしれない」

あとは、その自信を胸に突き進むのみ、だ。

「日本にはいろんなすばらしいGKがいて、それぞれに見習うべきところもありますけど、総合的に考えて、僕の思う日本一のGKは今もヒガシさんだし、誰よりも近くでヒガシさんの背中を見てきたからこそ、そのすごさも、大きさも一番理解しているつもりです。そのヒガシさんと冷静に実力を見比べて、まだまだ自分が足りていないということも自覚しています。

それでも、さっきの話じゃないけど、この世界は何を理由に監督からチョイスされるかはわからないので。自分にしっかり目を向けて、日々やり続けることで『チャンスを与えたい』と思える選手であり続けたいし、それをつかんだ時にしっかりと結果で応えられる自分でいたい。少なからず、それができるという自信はしっかり備えて戻ってきたので、この先はとにかく自分次第だと思っています」

力を込めた言葉は、大きな壁を乗り越えてみせるという覚悟の証。と同時に、再び”日の丸”を背負う自分になるための決意表明でもある。

谷晃生(たに・こうせい)2000年11月22日生まれ。大阪府出身。ガンバ大阪のアカデミー育ちで、高校1年生の時に二種登録され、2017年3月にはJ3リーグデビュー。同年12月には飛び級でのトップチーム昇格が発表された。2020年、湘南ベルマーレに期限付き移籍。2022年までの3シーズン、不動の守護神として活躍。2023年、ガンバに復帰した。世代別代表では、2017年U-17W杯、2021年東京五輪に出場。2021年8月、日本代表にも初めて選出された。

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