森保ジャパン、カタールW杯メンバー26人を日本代表OBが予想 大舞台で期待する2人とは?
【専門家の目|明神智和】守備陣は冨安&吉田を中心とした形で変わらず
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、今年11月に開幕するカタール・ワールドカップ(W杯)に臨むメンバー26人を11月1日に発表する。ドイツ(同11位)、コスタリカ(同34位)、スペイン(同6位)という難敵と同じグループになったなかで、どのようなメンバーで戦うのか。2002年の日韓W杯に出場した経験を持ち、現在はガンバ大阪のジュニアユースコーチを務める元日本代表MF明神智和氏に26人の顔ぶれを予想してもらった。
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システムで言うと、「4-2-3-1」か「4-5-1(4-1-4-1)」。GKは3人、最終ラインは4人(4バック)と考えた時に、同じポジションに2人ずつ選ぶとして8人、MF(中盤)は5枚×2組で10人、FWは2トップも見据えると4人は必要だと思います。
【GK/3人】
権田修一(清水エスパルス/33歳)
川島永嗣(ストラスブール/39歳)
シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/30歳)
権田選手と川島選手は経験を含めて堅いと思います。GKはおそらく3人なので、残る1枠をシュミット選手と谷晃生選手(湘南ベルマーレ/21歳)が争う構図ではないでしょうか。ただ、おそらくW杯を経験させるというだけでは入れず、実力に左右されるはず。そう考えると、シュミット選手が優勢だと考えます。
これまで権田選手が数多くの試合でゴールマウスを託されてきたのでレギュラー争いは一歩リードしていると思いますが、9月シリーズでのシュミット選手のアピールをどう評価するかもポイントになりそうです。
【DF/8人】
冨安健洋(アーセナル/23歳)
吉田麻也(シャルケ/34歳)
谷口彰悟(川崎フロンターレ/31歳)
板倉 滉(ボルシアMG/25歳)
酒井宏樹(浦和レッズ/32歳)
山根視来(川崎フロンターレ/28歳)
長友佑都(FC東京/36歳)
中山雄太(ハダースフィールド・タウン/25歳)
現在の守備陣は6月にブラジルを1点に抑えたことを考えても、経験、個で守る力もレベルは高いと思います。そのなかでセンターバック(CB)の冨安選手と吉田選手は外せないですし、この2人が守備の中心になっていくのは間違いありません。
右サイドは酒井選手と山根選手、左サイドは長友選手と中山選手になるでしょう。残るCBは谷口選手、そして板倉選手が怪我(左膝の内側靭帯部分断裂)から回復が間に合うのかが気になるところですが、もし間に合わないとなれば、伊藤洋輝選手(シュツットガルト/23歳)選手だと思います。
ベテランの長友選手もポジション争いをしている1人だと思います。ただ、経験は群を抜いていますし、計算できる選手であり、Jリーグでは右サイドも左サイドもこなしています。彼の経験はきっとチームに落ち着きを与えてくれます。大会登録人数が23人から26人になって、選手交代の部分ではいろんな選択肢が増える部分はあると思いますが、実際の試合では交代枠が決まっているので、何かあった時に複数のポジションをこなせるのはやはり有利だと思います。
明神氏はG大阪ジュニアユース出身の堂安&鎌田に期待
【MF/11人】
遠藤 航(シュツットガルト/29歳)
守田英正(スポルティング/27歳)
田中 碧(デュッセルドルフ/24歳)
伊東純也(スタッド・ランス/29歳)
鎌田大地(フランクフルト/26歳)
三笘 薫(ブライトン/25歳)
久保建英(レアル・ソシエダ/21歳)
堂安 律(フライブルク/24歳)
南野拓実(ASモナコ/27歳)
原口元気(ウニオン・ベルリン/31歳)
旗手怜央(セルティック/24歳)
遠藤選手、守田選手、田中選手のトリオは堅いでしょう。そして、ボランチとインサイドハーフの両方をできると考えると、旗手選手と原口選手を入れたいところです。右で言えば伊東選手と堂安選手、左は南野選手と三笘選手。2列目のほかにインサイドハーフもできる鎌田選手、これでもう10人になります。FWとの兼ね合いでもう1枠MFに割り当て、久保選手を選ぶのではないかと予想します。
伊東選手は森保ジャパンの武器で、武器は使い倒したほうがいい。その武器を徹底的に使うのは戦術的にありなので、個人で行けるなら行くべきです。サッカーは相手があることですが、「得点が取れないかもしれない」という心配はそこまでありません。ただ、伊東選手を抑えられた時にどこから攻めるか。そのオプションをもう1つ、2つ持っていると、相手は集中して守りづらくなるはずです。
三笘選手は今季所属クラブを変え、新たな挑戦をしています。現状はレギュラーではありませんが、そこまで心配はないと思いますし、個人で打開できる能力を持っているので期待しています。クラブで思うように結果が出ていない南野選手も今までの経験・実績があるので、森保監督の信頼も厚いでしょうし、僕は選ばれると思っています。
個人的には、堂安選手と鎌田選手に注目しています。ガンバアカデミー出身でもある2人は見ていて面白い。大舞台でも平然と相手を手玉に取ってくれると期待したいです。
【FW/4人】
大迫勇也(ヴィッセル神戸/32歳)
古橋亨梧(セルティック/27歳)
前田大然(セルティック/24歳)
上田綺世(セルクル・ブルージュ/24歳)
大迫選手はとにかく怪我の状態次第。グループリーグ初戦から戦えるコンディションであるならば、当然メンバーに入ってくると思います。サイドもこなせる古橋選手も、タイプ的には選んでおきたいところです。
怪我(右膝の内側側副靭帯断裂)をしている浅野拓磨選手(ボーフム/27歳)は、厳しいかもしれない。間に合うなら浅野選手、間に合わないなら同じスピードを武器にしている前田選手かなと。やはり、技術やスピード、これという武器があるのは大きいですね。
残る1枠は高さがある上田選手か町野修斗選手(湘南ベルマーレ/23歳)のどちらかではないでしょうか。町野選手が入れば、今回のメンバーのなかではどちらかと言えばサプライズ枠に近い。でも、常にゴールに向かい続けるし、守備でもプレッシャーをかけ続けられる。相手のCBからしたら一瞬も息をつくことができない選手です。まだ伸びしろもあって、Jリーグで活躍して日本代表に入っていければ、Jリーグでプレーしている選手たちの励みになると思います。
W杯GLドイツ戦は90分間の中で“受けない時間”を作れるか
今回、グループリーグではW杯優勝の経験を持つドイツ、スペインというトップクラスの国と同居することになりました。客観的に見て、難しいグループに入ったのは間違いありません。ただ、決してネガティブになる必要はなく、決まった対戦相手にどうやって勝てる確率を上げていくかを森保監督は考えているはずです。
グループの勢力図で見ると、ドイツとスペインが上で、日本とコスタリカがそれを追う形。コスタリカ戦で絶対に勝ち点3が欲しい。もちろん、コスタリカも同じことを考えているわけで、グループリーグ第2戦はものすごく大事になると思います。
ドイツは言うまでもなく強いですが、サッカーなので何が起こるか分からない。10回対戦したらもしかしたら7回は負けるかもしれませんが、3回は勝てるかもしれないなかで、それをなんとか初戦に持っていきたいところです。相手の攻撃を受けてしまうと苦しくなるので、90分間の中でどれだけ受けない時間を作れるか。日本らしい戦い、初のベスト8に行く日本を見てみたい。いちファンとしても、日本代表を応援しています。
[プロフィール]
明神智和(みょうじん・ともかず)/1978年1月24日生まれ、兵庫県出身。柏ユース―柏―ガンバ大阪―名古屋―長野。J1通算497試合26得点、J2通算20試合0得点、J3通算38試合0得点、日本代表通算26試合3得点。シドニー五輪や日韓W杯でも活躍した職人タイプのボランチ。2020年から古巣であるガンバ大阪のアカデミーコーチを務め、日本サッカー界の発展に尽力する。