今季絶望から魂の復活!ガンバ宇佐美貴史はなぜ自らフル出場を申し出たのか。「チームの悪いイメージしか浮かばなかった」
強い想いでチームを牽引「チームをJ1に残したい」
[J1第32節] 横浜0-2G大阪/10月8日/日産スタジアム
「体力的に疲れていると思われるのは嫌だった」
【動画】宇佐美のCKから2発!アラーノ&パトリックのゴールをチェック
右アキレス腱断裂の大怪我で、一時は今季絶望と見られていたが、前節の柏レイソル戦(0-0)で7か月ぶりに復帰。2試合連続の先発となった横浜F・マリノス戦ではフル出場を果たしたガンバ大阪の宇佐美貴史が、試合後、こう口にした。
4試合勝利のない17位G大阪は、首位横浜のホームに乗り込み、2-0の勝利を収めた。スコアだけを見れば快勝。しかし90分間、苦しい内容のゲームとなった。
立ち上がりから相手の猛攻を受けるなか、8分、宇佐美の右CKにファーサイドで反応したダワンがヘディングで折り返す。これにファン・アラーノが頭で合わせて押し込んだ。
「キッカーとしてあそこに蹴るというのは、狙っていた通りだった。しっかり思ったところに蹴れればチャンスになると思っていた」(宇佐美)
ワンチャンスをモノにして先制。ただ、その後も自陣に押し込まれる時間が続き、防戦一方となるなか、守備陣を中心に粘り強く守る。そして79分にまたしても宇佐美の右CKからパトリックがネットを揺らし、追加点。耐えて、耐えて、耐え抜いた末に、貴重な勝点3を獲得し、16位に順位を上げ、自動降格圏を脱出した。
この一戦で宇佐美は、圧巻のパフォーマンスを披露。セットプレーからの高精度キックだけではなく、ボールを持てば、力強いキープでカウンターの起点になるなど、存在感を放ち続けた。
長期離脱から復帰2戦目で、開幕戦以来のフル出場。これは監督の意向ではなく、自らの判断で、自分に対する自信の表われからだった。
「内容で代えられる分にはいいけど、体力的に疲れていると思われるのは嫌だった。まだまだ全然できることがあると思ったし、自分が抜けてからのチームの悪いイメージしか浮かばなかった。自分が一手前で収めて、タメを作ってというのは、一つポイントになると思っていたので、マツさん(松田浩監督)にも、『体力は大丈夫なんで、その面では代えないでください』と60分くらいから残してくれというのは伝えていました」
久々にピッチに立った前節の柏戦後は筋肉痛となり、横浜戦の前日まで痛みが取れなかった。決して本調子ではなかったが、「チームをJ1に残したい」という強い想いから、身体に鞭を打ってでも最後まで戦い抜いた。
チームを勝利に導いた宇佐美は試合後、チームメイトに呼び込まれるようにして、初めて先頭に立ってG大阪恒例の勝利の儀式、“ガンバクラップ”を行なった。
「雰囲気がなかなか良かったですね」と笑顔を見せたG大阪のエース。勝利の喜びを噛みしめながら、今季残り2試合に向け、「自分の身体をしっかりマネージメントしながら、来季につなげていくためにもあと2試合を死ぬ気で頑張りたい」と闘志を燃やした。