【番記者の視点】降格圏転落のG大阪 なぜMF斉藤未月は試合後に“激高”したのか

明治安田生命J1リーグ第30節 神戸2―1G大阪(18日、ノエスタ)

まさに悪夢だった。1―1の後半ロスタイムに失点し、残留を争うライバルの神戸に逆転負け。ホイッスルの瞬間、倒れこむ選手や頭を抱える選手がいる中で、MF斉藤未月は感情を抑えきれなかった。MFダワンに詰め寄り、一触即発の状況に。チームメートが駆け寄りふたりを引き離したが、J2降格圏の17位に沈んだチームが陥った苦境を物語っていた。

試合後のミックスゾーン。冷静さを取り戻した斉藤は、怒りの理由について説明した。2失点目につながったダワンの対応について、自らの意見をぶつけていたのだという。「奪われ方が悪かったからこそ、あそこは(ダワンが)ファウルで止めるべきだったと、個人的には思いました。“たられば”だから、これ以上どうこう言うつもりはない。でもチームとして、今シーズン何度もああいう形で失点しているので」と振り返った。

問題のシーンは、前線でのパスミスから、カウンターを受けた場面から始まった。中盤のブロックが崩れた中で、神戸MF小田のドリブルにボランチのダワンが遅れ気味に対応。背中から小田をマークする形となり、ダワンはボールを奪いきることも、ファウルをすることもなく、カバーにきたセンターバックのDF昌子に任せた。続く昌子がファウルで小田を止め、ふたりがもつれて倒れた中で、ボールは神戸FW武藤につながり、主審はアドバンテージを判断。昌子が倒れたことで生まれたゴール前のスペースに、武藤から大迫のラストパスが通り、決勝点が生まれた。

斉藤は、失点の責任を追及したかったわけではない。「(失点は)誰かのせいじゃない。チームの問題なんで。チームの雰囲気、練習、今シーズンやってきたことが、ピッチに落ちているだけ。自分たちが招いたことなので。やっと団結して戦えている部分があるからこそ…」と言葉をつなげた。今季、終了間際の失点で勝ち点を失ったのは7試合にも及ぶ。勝負所で見せてしまう、ほんのわずかな隙。その積み重ねが、今の順位に反映されている。

チームとして何度も同じミスを繰り返しているからこそ、斉藤は黙っていられなかった。ピッチで見せたその振る舞いは、決してほめられたものではない。しかし「おれは本当に勝ちたかったから…」という言葉の通り、体を張ったプレーを見せた斉藤が発した感情は、沈みゆくチームを食い止める最後のくさびになるかもしれない。負けて、下を向くよりはいい。残りは4試合。まだ戦うべき試合は残っているのだから。

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