【番記者の視点】G大阪、内なる迷いから3失点大敗 豊富な交代カードも今季逆転勝利なし
◆明治安田生命J1リーグ第28節 G大阪0―3鳥栖(3日、パナスタ)
内なるわずかな迷いが、G大阪の勢いにブレーキをかけた。前半15分に自陣でのパスミスをきっかけに失点。しかしまだ試合は序盤で、十分に取り返す時間はあった。攻撃の圧力は増し、相手ペナルティーエリアに迫る回数は増えた。しかし最も肝心なゴール前では、どこか思い切りを欠いたような判断が目立った。
1点を追う前半17分、MFダワンが中盤での見事なパスカットから鳥栖ゴールに迫った。しかし一瞬の遅れから右でフリーのFWパトリックには出せず、決定機にはつながらなかった。同43分にもMFアラーノがカウンターのチャンスを迎えたが、さらにチャンスを広げようとゴール前へ縦パス。これを相手DFに読まれカットされた。どちらのプレーも、確実に決定機を作りたい、という迷いがプレーを遅らせたように映った。後半8分に2失点目を喫すると、迷いは焦りへと形を変え、攻撃の質は下がっていった。
鳥栖の3ゴールは、一瞬の隙を見逃さない思い切りのいいクロスから。松田浩監督は「リードしたチームの余裕と、追いかけるチームの焦りみたいなものが最後まで出た試合かなと思います」と表現した。心理状態の違いが、繊細かつ大胆なプレーが必要となるゴール前で、大きな差となって浮き彫りになった。
この敗北で、今季は先制を許すと13試合未勝利に。逆転勝ちが一度もないという結果は、負傷者の続出もあり、シーズン中盤までベンチメンバーの層が薄かったという点も影響している。しかし現在は違う。ストライカーにはFWパトリック、鈴木、レアンドロ・ペレイラと3人の“9番”タイプがそろう。内科的なコンディション不良を抱えていたMF小野瀬、左肩脱臼で長期離脱していたMF福田も復帰。サイドハーフの交代カードも厚みを増している。
この日は結果につながらなかったが、松田監督は「交代選手にも、流れを変える、何とかしようというフレッシュな脚を使ってやる意気込みは十分見せてもらった。その辺はある意味、今日の収穫として手に入れたものだと捉えたい」と語った。連勝は止まり、再びJ2とのプレーオフ圏の16位に転落。勝ち点差4の17位・神戸より2試合消化は多い中で、残りは6試合。打つ手がない、という最悪の状況は脱している。今は内なる迷いと向き合い、乗り越えていくしかない。(G大阪担当・金川誉)