連戦回避の川崎Fが悪い流れを断ち切るか? 指揮官不在の中、強行軍のG大阪を迎え撃つ!
第7波の入り口かと懸念される中、川崎フロンターレも新型コロナウイルス感染症に振り回れさている。サガン鳥栖に複数の陽性者が出て、7月4日夜に『明治安田生命J1リーグ』第20節の中止が決定。試合延期を受けて悪い流れを断ち切ろうと準備を進めていた7日昼に鬼木達監督が濃厚接触者に判定されたのだった。
ここ最近、川崎Fは負のスパイラルに陥っていた。6月18日『明治安田J1』第17節・北海道コンサドーレ札幌戦では4年ぶりの連敗&10年ぶりの3試合連続無得点のうっ憤を晴らす5-2の大勝劇をやってのけた。頼れるベテランアタッカーの家長昭博と小林悠がそれぞれ2ゴールをマークし、後半戦へ向けていいリスタートとなったと思われたが、22日の『天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会』では3回戦で早くも敗退。J2の東京ヴェルディに0-1のアップセットを許した。
気持ちを切り替えて臨んだはずの25日の第18節・ジュビロ磐田戦では前半から相手を圧倒。先制点は33分、CB谷口彰悟の狙い澄ました浮き球のパスを、ゴール前に侵入した右SB山根視来がズバリ。ゴールラッシュの幕開けかと思いきや、チャンスは作れどゴールは遠い。逆に85分、磐田のセットプレーで追い付かれた。同点弾を喫する3分前にCFレアンドロ・ダミアンとMFジョアン・シミッチを投入し、セットプレー対策を施していたにもかかわらず、手痛い1-1に終わった。
7月2日の第19節・セレッソ大阪戦もキックオフとともに川崎Fが主導権を握り、決定機を連発。チャンスをなかなかゴールに結びつけられなかったが、36分MF脇坂泰斗のCKを谷口がヘディング一閃。しかし59分にFKからヘッドで同点にされると、試合はヒートアップ。互いに好機を作るスリリングな展開に。そして試合終了間際の92分、またもやセットプレーからヘディングを決められて1-2、『JリーグYBCルヴァンカップ』プライムステージ準々決勝で当たるC大阪にダブルを食らったのだ。
7月5日・鳥栖戦の中止を受けて、2週連続となる週1の試合となった川崎Fは有意義に時間を使うことができたのか。7月7日・メディア対応でレアンドロ・ダミアンが前向きなコメントを発した。 「チームにとって時間が空いたので、休養と次の準備の時間に充てられたのはよかった。ここ最近はここ数年のようなチームの形を出せていなかったので、確認作業に費やすことができた。ただ今季もまだタイトル争いをしている状態。ここでチームとして成長していきたい」 得点力不足を指摘される今季のチームだが、ダミアンは攻守両面での改善の必要性を説く。
「ゴールに注目されているが、今季は失点数も多くなっている。攻撃と守備を分けて考えるのではなく、トータルで両面改善していかないといけない。複数得点にフォーカスして自分たちにプレッシャーを掛けても仕方ない。チームとして細かいところをすり合わせてやっていきたい」 川崎Fらしいサッカーは徐々にできつつあると言う。
「サッカーのスタイルを取り戻しつつあると思う。しっかりボールを保持して試合を進める形ができている。ボールをしっかり握ることで自分たちのチャンスも作ることにつながっている。大きく言えば自分たちのスタイルでプレーできているが、細かいところで勝点を落としている」
リーグ戦は3試合連続で途中出場だが、ダミアンはチームに貢献することだけを考える。「ピッチに入った時には100%チームの力になろうと思っている。攻撃だけではなく、守備でも前からプレッシャーを掛けてチームに貢献したいと思っている。ベンチにいることで試合状況も把握できる」
自身もここまで3ゴールとストレスが溜まるシーズンを送っているが、昨季得点王は我慢強く継続していくことが大事だと口にした。 「ゴールが遠のいている時期に何をするか。守備での貢献も必要だし、ゴールができなくてもアシストができるかもしれない。ゴールができない時期も辛抱強く、やり続けることが必要」
第18節に戦線復帰したユーティリティプレーヤー塚川孝輝はゴール前でのダイナミックさが足りないと指摘した。
「腰をケガしていた時に、中へ飛び込んでいく枚数や勢い、ダイナミックさがあればいいなと感じていた。ダイナミックさが出れば、相手も怖いと思う。中へ入っていくプレーは自分も得意なので、試合に出られれば出していきたい。ダミアンとか悠さんがいる中、2列目の選手が入っていけば、相手も見失うだろうし、相手に待ち構えられても点と点で合わせれば、ゴールできると思う」 慣れない左SBからも飛び込んでいくつもりである。
「左SBから飛び込むのは有利だと思う。磐田戦でもアキ(家長)さんのクロスからしっかり入って行ってヘディングすればチャンスだった。相手が目に入って、引いてしまった。もう一回気合いを入れ直して、次は飛び込んでいきたい」 自身の役割を勝ち切るためのタスクの遂行だと塚川は理解している。
「自分がメンバーに入っているということは勝ち切るための戦術、そのタスクが求められていると思う。そういう意味で磐田戦は勝っている状態で入って、結局引き分けに終わった。次チャンスが来た時に結果を出せるようアピールしていきたい。交代選手で出ていく以上、強度を出していかないといけないし、仲間の分も走らないといけない。ただ途中で入るのは難しい。相手のペースだと、なおさら難しい。ベンチで試合をしっかり見て、試合に入る準備をしていきたい」
7月4日にもメディア対応は実施された。家長と並ぶ4得点でチーム最多ゴールのマルシーニョと、ここ3試合左SBとして先発している橘田健人はこのように意気込みを述べた。
マルシーニョ「今なかなか難しい状況だが、そもそも簡単なゲームは1試合もない。とにかく自分たちがやっていくことに目を向けないといけない。次も難しいゲームになるだろう。どのチームもフロンターレと当たる時は強い気持ちで向かって来る。次はホームゲーム。ホームの後押しを受けてゴールをしたい。ゴールも1点だけではなく、追加点が重要になってくると思う。
ピッチに入った時、チームに貢献できるようにいつも考えている。いつ呼ばれても自分のやるべきことをやれる準備をしている。ピッチに入れば走ること、マークすることは求められている。その中でゴール、アシストを望まれていると思う」
橘田「(C大阪戦は)先制できたが、後半セットプレーでやられてしまった。セットプレーのところは一人ひとりが責任感を持ってやるということと、もっと早い時間に追加点を取れていたら違った展開になっていたと思うので、追加点を取らないといけない。チャンスも何回か作っていて、以前よりチャンスは増えているので、そこを決め切ること。さらにチャンスを作ること。個人的にもチームとしても複数得点はこだわっているので、もっとゴール前に行く人数や質のところを向上させないといけない。個人としてもゴール前へ行く、そこでの質は課題だと思っているので、まず前へ行く回数をどんどん増やしていきたい」
7月4日のオンライン取材には鬼木監督も登場。
「一番はやり続けること。内容は少しずつ向上している。ただ結果が付いてきていないので、そこは求めていかないといけない。悲観はしていないが、やり続ける我慢強さと、向上しているからいいというわけではないという両面がある。 チャンスの時に決め切ること、チャンス自体を増やすことはこれからもやり続けたい。追加点にもっと貪欲にやっていかないといけない」 課題であるセットプレーからの失点についてどう修正するのか。
「セットプレーに関しては毎試合前必ずやっているので、その都度修正を図ってきた。その中、磐田戦に続き、C大阪戦でも失点した。もったいないファウルからのセットプレーだった。一瞬でも隙を見せたり、疎かにするとやられてしまう。みんな頭ではどこが危ないかわかっている。もう一度チームで共有していかないといけない。ただ意識しすぎると体が動かなかったりする。誰が止めに行くのか、どれが取りに行くのか。共有したい」
指揮官はゴールを奪うために主導権を握らなければならないと改めて言う。
「主導権を取るということが重要だと思う。自分たちがボールを握れば攻撃回数を増やしていける。ただボールを持つことで攻撃に迫力がなくなったら意味がない。相手が嫌がるサッカー、相手が怖がるサッカーをしていかないといけない。
サッカーはスコアで動くと思う。主導権を握るため、攻撃の回数を増やすため、チャンスを増やすためにボールを握る。ボールを握ることが目的ではない、あくまで手段。ボールを握ることで満足する、ボールを握ることで油断があったりしたのかもしれない」
鬼木監督はゴールの予感を感じている。
「得点はチームで作り上げるものだと思っているので、FW陣だけというわけではない。でもFW、前線の選手が得点することでチームが勢い付く。そのためにはFWがゴールの近くでプレーする時間を増やしていくことが大事。それは徐々に近付いているのかなとも思う。FWに加えて両サイドの選手、インサイドハーフもゴールできるようにと思っている。徐々に回数は増えてきていると思っている」
一方、ガンバ大阪は9連戦の7試合目。6月26日・第18節では札幌に0-1のスコア以上の完敗を喫したが、29日・第15節・サンフレッチェ広島戦では耐える時間が多いながらも、効果的な攻撃から立て続けにゴールを奪い、最後まで集中したディフェンスを見せて2-0。続く7月2日・第19節・浦和レッズ戦は速攻と遅攻を使い分けた多彩な攻撃で圧倒するも得点は33分、鮮やかなカウンターからの齊藤未月のゴールにとどまる。そして試合終了間際に痛恨のPK献上、1-1で勝点2を失った。
6日の第20節・湘南ベルマーレ戦では前半は湘南、後半はG大阪のペース。前半の内に得点した湘南に対して、G大阪は57分にFWパトリック、MF奥野耕平、左SB藤春廣輝を投入するとゴールへの圧力を高めるも1点が遠かった。80分には数的有利となるも最後までゴールネットを揺らすことはできずに0-1。試合によってパフォーマンスの波が激しいG大阪は5勝6分9敗・勝点21の15位と下位から抜け出せずにいる。
リーグ戦の通算対戦成績では14勝7分14敗と全くの五分。だが直近5試合の成績では4勝1分と川崎Fが相性の良さを見せ付けている。
果たして、川崎Fが悪い流れを断ち切るのか、強行軍のG大阪が日程のビハインドを跳ね返すのか。『明治安田J1』第21節・川崎F×G大阪は7月9日(土)・等々力陸上競技場にてキックオフ。チケットはチケフロ(Jリーグチケット)にて発売中。試合の模様はDAZNにて生中継。