CLも自分の夢、さらにW杯は…夢舞台に燃える堂安律「家族、友達、日本国民を背負っている」
日本代表MF堂安律(PSV)が19日、東京都内で行われたイベント終了後に報道陣のオンライン取材に応じ、11月開幕のカタールW杯に向けて「本当に初戦が全て。初戦でドイツを叩ければ間違いなく歴史を変えられる。初戦に全てをかけてもいいくらいの気持ちで、5か月準備していきたい」と決意を語った。
W杯本大会出場をかけた今年3月のアジア最終予選では代表から落選。一時はW杯出場の夢が遠のきかけたが、6月シリーズのパフォーマンスによって再びサバイバルレースに返り咲いた。
この日のイベントでは「嫌なことがあった時の切り替え方」について問われ、「僕はめちゃくちゃ考える。答えはないけど考えて答えを出そうとする。そうしたら起きた時には頭が整理できて切り替えられている。忘れようという考えはない。なぜそうなったのか、理由を常に考えるようにしている。それが成長につながる大事な時間になる」と語った堂安。今年3月の苦境もそうして乗り越えていたという。
「代表から落選して腹も立ったし、その当時自分が調子良かったという自覚があった。ただそれと同時に何か理由があるわけで、自分に矢印を向けて突きつけて、じゃあチームで結果を出すしかないという答えに至った。そういう経験があったから今日皆さんの前でそういう発言をした。3月はそういうマインドセットだった」
落選後には自身のSNSを通じて「逆境大好き人間頑張りまーす!」とライトな表現で決意を示していたが、その裏には焦燥感があった。「常に焦っているから軌道修正が利く。このままじゃダメになるという危機感が常にある。プロに入ってからも全然夢を叶えていないから焦りが常にあるし、何かそのために変えないといけないという思いがある。その軌道修正は他の人より優れていると思う」。まさに“逆境”を力に変え、再びW杯への選考レースに生き残った。
この日のイベントは「夢の宣誓書」がテーマ。6年後には「(A代表で)キャプテンを任されるような存在に」、12年後には「ガンバ大阪にタイトルを」というロードマップを描いた堂安だが、実は20歳の時にも同じような未来予想図を描いていたのだという。 「代表に入って少しずつ堂安律というサッカー選手の存在が世に出始めた頃だったので、どうやって15年後、自分が35歳になった時にいい人間でいいサッカー選手でいられるかを1枚の紙に書いた」
ところが「五輪で金メダルを取るとか書いていたけど、夢は一つも叶っていない」。いまもその紙はオランダの自宅にあるというが、A代表に関しても「W杯に出るタイミングではもっと中心でバリバリやっている自分の姿を想定していたし、そうじゃない自分の今の立ち位置を理解している。そういう意味で夢が全然叶っていない」と焦りを隠さない。
それでも堂安は「これからどこかでそれを叶えられればいい」と前を向く。堂安はこの日、子どもたちに「簡単な夢じゃないから面白い」と力説。「夢に嘘は書かないこと。自分と向き合う時間なので嘘を書いてもいいことはない」とも熱を込めて語っており、そうした姿勢をここからの形で体現していく構えだ。
そうした中、5か月後のカタールW杯は“夢を叶える”ための絶好の機会。それも「チャンピオンズリーグは個人的な夢で、ワールドカップは家族の夢」という持論を掲げる堂安にとっては「自分だけの夢じゃない」というほどの大事な大会となる。
「それを思ったのは代表初ゴールを取ったときのウルグアイ戦(2018年10月16日・○4-3)。家族とか友達とか周りの反響がすごくて、『これ自分のためだけにサッカーしているわけじゃないわ』というのを実感した。PSVでゴールをしても自分はすごく嬉しいけど、友達からの反響はないし、そういう意味で感覚が違うなというのがある。サッカー選手は所属チームのキャリアと、日本代表のキャリアがあると思うけど、日本代表のキャリアというのは家族、友達、日本国民を背負っていると思っている」”日本国民の夢”のため――。堂安律は誰よりも大きなものを背負い、5か月後の大舞台へ燃えている。